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ソフトバンク孫氏、「3Gエリア拡充を前倒しで」

ソフトバンク孫氏

ソフトバンク孫氏
 ソフトバンクは8日、2006年度(2007年3月期)第1四半期決算を発表した。あわせて、ボーダフォンからも決算が発表されている。

 プレゼンテーションを行なった同社代表取締役社長の孫正義氏は、開口一番、「朝から晩まで携帯事業について考えている。あらためて振り返ると、買収できて本当に良かった。良いタイミングで良い企業を買収できた。他社も力のある企業であり、簡単な競争ではないが、3年、5年、10年というスパンで見れば、我々も十分に戦えると感じている。最近では“大人のソフトバンク”がキーワードであり、あまり無茶するつもりはない」と携帯事業への注力ぶりをアピールした。


ソフトバンク連結決算

ソフトバンク連結決算概況

ソフトバンク連結決算概況
 今回、ソフトバンクの連結決算には、買収によってボーダフォンが初めて連結対象に含まれている。ただし、3カ月分の業績ではなく、5月1日からの2カ月分となっている。

 ソフトバンクグループの今期の売上高は約4,942億円で、前年同期よりも2,355億円増加した。内訳を見ると、ボーダフォンによる移動体通信事業が2,315億円を占めたほか、日本テレコムによる固定通信事業が818億円、BBインフラ事業が627億円、ヤフーによるインターネット・カルチャー事業が444億円、イーコマース事業が558億円となった。

 ボーダフォン事業を除いた、従来からの事業での売上高は約2,627億円となっており、前年同期から見るとほぼ横ばい。前期(2005年度第4四半期)と比べると、イーコマース事業の売上高が約250億円減少しているが、同社によれば「これまでは全ての売上を計上していたが、今期より粗利益に関するものだけ計上している」と説明している。

 営業利益は543億円で、前年同期よりも575億円の増加、経常利益は259億円で前年同期よりも390億円の増加、当期純利益は14億円で前年同期より125億円の増加となっており、利益については赤字から黒字に転じている。営業利益の内訳を見ると、ボーダフォンが272億円、その他の事業が279億円となったほか、モデムレンタル事業の売却影響額が8億円のマイナスと計上されている。

 なお、ボーダフォン買収時に行なわれたブリッジローンによる借り入れ1兆2,800億円については短期的なものとして、9月末頃を目処に長期的なパーマネントローンに切り替えるべく、現在準備が進められていることが明らかにされた。


売上高の内訳 営業利益の内訳
売上高の内訳 営業利益の内訳

ボーダフォンのオペレーションデータ

各種オペレーションデータ

各種オペレーションデータ
 ボーダフォンだけの第1四半期決算を見ると、売上高は3,523億2,100万円、営業利益が311億6,200万円、経常利益が288億3,300万円、当期純利益が178億9,500万円、設備投資費は、560億3,000万円(キャッシュフロー計算書ベースで677億6,500万円)となった。

 ARPU(1加入者あたりの月間平均収入)は、5,590円と前期より10円減少したが、前年度のデータを四半期毎に見ると、第1四半期は5,870円、第2四半期は5,930円、第3四半期は5,840円、第4四半期は5,600円となっており、孫氏は「今期でAPRUは下げ止まった。今後は、よりARPUの向上が見込める3Gの拡充を目指す」と説明した。

 また、解約率は1.50%(前年同期より0.19ポイント減)、買換率は1.99%(前年同期より0.06ポイント減)と低下傾向となった。その理由について孫氏は「買換率は、プリペイドユーザーも含まれているため、一般的なユーザーの動向については、他社と同レベルと見ている。ただ、MNPを前にして、買い控えしているかもしれない」と述べた。

 このほか新規ユーザー獲得費用(インセンティブ)は1ユーザーあたり44,400円となり、「LOVE定額」契約数は6月末時点で約120万契約になっている。


今後の移動体事業、ポイントは4つ

基地局展開は予定を前倒しして実施される

基地局展開は予定を前倒しして実施される
 孫氏は、今後のボーダフォンについて4つのポイントを掲げた。これらは、株主総会でも明らかにされていた内容だが、あらためて報道関係者および証券関係者に向けて説明が行なわれた形となっている。

 1つ目は「3Gネットワークの増強」だ。孫氏は「3年かけて行なう予定だった基地局展開を前倒しし、6月末時点で22,771局ある3G基地局を今年度内に46,000局にする。ドコモさんは今年度の目標として44,000局の達成を公表しているが、それよりも少し多い形になる」と述べ、3Gのエリア拡充に注力するとした。

 このうち、HSDPAについて同氏は「今秋には主要都市で繋がるという状況になる。基地局のうち、6,500カ所については10月1日にHSDPAが繋がる。その後は9,200局まで拡張していく。HSDPA対応機種が10月に登場するかどうかは未定で、インフラが整い始めるのが10月1日頃から。新設する基地局については、機材はHSDPA対応となっている」と述べた。

 これらの基地局展開にかかる設備投資費としては、4,000億円以上になる見込みが明らかにされた。孫氏は「2005年、ボーダフォンでは2,600~2,700億円ほど投じており、2006年~2008年もその程度の計画だったが、前倒しすることによって今年は4,000億と数百億になる。そのため、2007年、2008年は1,000億円単位になる」と語った。


AQUOSケータイの好調さがアピールされた

AQUOSケータイの好調さがアピールされた
 2つ目は「3G端末の充実」。AQUOSケータイ「905SH」が6~7月の累計販売台数で、他社のワンセグ対応よりも多く売れ、販売数1位になったことやシャープ製の「705SH SLIMIA」については販売が順調で、「一部で品切れ」(孫氏)になったことが明らかにされた。ただし、今後発売される具体的な新機種情報は明らかにされなかった。

 3つ目は、「コンテンツ強化」とされ、7月初旬からボーダフォンライブ!のトップページにヤフーのモバイルサイトへのリンクが設けられたことが紹介された。孫氏は、「今後の移動体事業では、ヤフーの利用を徹底的に行なっていきたい。(リンクを入れたことで)ボーダフォン端末からヤフーへのアクセスは、その日から6倍になった。今までいかにユーザーが飢えていたか、いかに従来のコンテンツが不便であったかということ。さらに使いやすく、ヤフーのコンテンツを携帯に融合させていく」とした。

 また、今後リリースされる携帯電話については「Yahoo!ケータイ(現ボーダフォンライブ!)へアクセスできるヤフーボタンを配置して、10月1日からサービスしていけるよう、現在準備を進めている」とした。


ヤフーとの連携強化が図られる 端末には「ヤフーボタン」が設けられる
ヤフーとの連携強化が図られる 端末には「ヤフーボタン」が設けられる

ブランド力強化も力を入れていくという

ブランド力強化も力を入れていくという
 最後のポイントは、ブランド力と営業体制の強化だ。ブランドについては、10月よりサービス名称が「S!メール」「S!アプリ」「Yahoo!ケータイ」などに変更されることがあらためて紹介された。孫氏は「MNPの開始時期は、一部報道によれば10月24日とされているが、その頃に始まるだろう。それに向けて、10月くらいからブランド変更を行ない、店舗の内装なども変えていく」と語り、MNPに向けてブランド強化を努めていく姿勢を示した。

 営業体制は、法人部門に関する内容となっており、従来ボーダフォンの法人営業が約100人で構成されていたのに対し、新たに日本テレコムの営業陣も加えて、約1,500人体制で法人市場に取り組む。商品としては、携帯電話と固定網を融合させるFMCサービスが紹介されたが、具体的な内容は明らかにされていない。

 また同氏は、「NTTさんは今後5年間で、ネットワークをIP化していくというNGN(次世代ネットワーク)構想を明らかにされているが、我々は5年前にフルIP網を構築済。今後は、ボーダフォンのネットワークとの融合も図っていきたい」とした。

 質疑応答で、インセンティブについて尋ねられた孫氏は「端末のビジネスモデルについては、日々、思考を巡らせて準備しているが、詳細についてはコメントできる時期ではない。一部でSIMロックを解除するユーザーが存在し、それはルール違反と認識しているが、技術面とルール面で対処できるようにしている。現状では減ってきたと思う」と述べた。



URL
  ソフトバンク 2006年度第1四半期決算(PDF形式)
  https://www.softbank.co.jp/irlibrary/results/pdf/softbank_results_2007q1_001.pdf
  ボーダフォン 2006年度第1四半期決算(PDF形式)
  http://www.vodafone.jp/japanese/release/2006/20060808j.pdf

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(関口 聖)
2006/08/08 20:26

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