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クアルコム、ワンセグ・MediaFLO対応のワンチップモジュール

クアルコムジャパンの松本氏
 クアルコムジャパンは、同社が推進する「MediaFLO」に加えて、ワンセグや欧州の地上デジタル放送「DVB-H」に対応したシングルチップモジュール「UBMソリューション」を発表した。これに伴って26日、クアルコムジャパンの取締役会長兼、米本社上級副社長の松本徹三氏がMediaFLOの国内展開などを説明した。

 UBMソリューションは、ユニバーサル・ブロードキャスト・モデム・ソリューションの略称で、ワンチップでMediaFLOとワンセグ、DVB-Hを実現するためのモジュール。MediaFLOが国内でサービスを開始した場合、UBMソリューションとクアルコムMSMチップセットを組み合わせることで、MediaFLOとワンセグが閲覧できるようになる。

 北米以外のマーケットでMediaFLOを普及させるためのチップソリューションとなり、広いUHF帯(470~862MHz)に対応する。また、必要なチャネル帯域幅も5~8MHzをサポートし、単一周波数のほか、複数の周波数を使うことも可能となっている。CDMAおよびUMTSに対応。2007年第1四半期にもサンプル出荷される予定だ。


松本氏、新チップは「天下無敵」

UBMで可能になる世界
 説明会の冒頭、松本氏は「UBMソリューションは、日本のMediaFLOにとって非常に大きな意味がある」と語った。米国では、2006年内にもベライゾンがMediaFLOの商用サービスを開始する予定だが、国内では、周波数の割当てられるかどうか、確定していない。こうした状況に対応するため、UBMソリューションでは幅広い帯域をサポートしている。松本氏は「幅広い帯域の中で、さまざまな国に対応できる、文字通り全世界モデルだ」とした。

 また、ベライゾン向けに提供される第1世代のFLOチップは、単一周波数のみ利用可能だが、第2世代となるUBMでは、複数の周波数を使うことができる。例えば、地域毎に異なる周波数でMediaFLOを提供しても放送波をつかむことが可能だ。

 このほかワンセグとワンチップ化することで、消費電力も小さくできるとした。同氏は、「携帯電話にMediaFLOが使えて、ワンセグも使えれば天下無敵ではないですか? 我々はユーザーのどんなニーズにも応えていきたい」と語った。


UBM対応周波数 放送と通信の全体像

2011年までは周波数を借りてサービス提供

MediaFLOチップセットの比較

国内のビジネスモデル
 クアルコムジャパンは昨年、KDDIとともに国内でMediaFLOを立ち上げるための企画会社 メディアフロージャパン企画を設立し、商用サービスに向けて取り組んでいる。また総務省では、これまでアナログテレビで使われていた帯域を2011年までにデジタルテレビ放送に切り替え、周波数の有効利用に向けて検討を重ねている。

 デジタル放送に全て切り替われば、これまでの470~770MHz帯から470~710MHzまで使用帯域を小さくすることが可能で、放送用の帯域と通信用の帯域の境界線には710~722MHzの空きができる。クアルコムでは、この帯域を獲得してMediaFLOを展開したい考えだ。なお、総務省は、2006年7月までにこの帯域の割当て方針を決定する予定。

 しかし、仮にこの帯域がMediaFLOに割り当てられたとしても、使えるようになるのは2011年以降だ。早ければ2007年にもサービスを開始したいクアルコムジャパンでは、アナログテレビ放送や地上デジタル放送に使われている周波数の隙間にあたる未使用部分で帯域を借り受け、2011年まではその帯域でサービスを提供したい考えだ。

 松本氏は、「2011年までは地域毎に異なる、使われていない帯域をお借りできませんか? ということ。周波数は国有地のように国民の資産で、それを管理するのが総務省だ。いろいろな場所の空いている国有地を少年たちの野球場に使わせて下さいよ、というのに等しい」と説明した。通信とは異なり、受信のみとなる放送ではこうした利用方法も可能だという。


松本氏「ワンセグはもっとも力強い仲間」

 松本氏はこのほか、ワンセグとMediaFLOの違いなどを説明。「地上波と同じものを無料で見られる。MediaFLOはこれにさらにチャンネルを加える。我々はワンセグをもっとも力強い仲間だと思っており、もし仮にワンセグが無かったとしたら、携帯電話でテレビが観られることをユーザーに説明していかなければならなかった」と述べた。

 さらに同氏は、MediaFLOの大きな特徴として、コンテンツが蓄積できる点を挙げた。放送で受信したものを携帯電話の中に保存しておき、オンデマンドで好きな番組を楽しむようなイメージだという。

 同社では、サービス開始当初、20チャンネル程度でMedhiaFLOを提供したい考え。松本氏はチャンネル数について「20チャンネルに加えて、ワンセグも観られるので、当初は十分ではないか」とした。

 気になるコンテンツだが、ワンセグではテレビが携帯電話で観られるのに対し、MediaFLOはケーブルテレビのような位置づけになるという。つまり、NHKと民放各局が放送しないサッカーJリーグの全試合や、全国放送されないプロ野球中継など、スポーツやニュースなどで特に有効だという。

 なお、説明会では、松本氏は5月31日付けでクアルコムジャパンの会長職を辞任することが告げられた。会長職は空席となり、代表取締役は従来通り山田純氏が務める。同氏は、本社の上級副社長に専念し、発展途上国などでの普及の足がかりを築いていくという。



URL
  ニュースリリース
  http://www.qualcomm.co.jp/press_room/archives/n060526.html

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第265回:MediaFLO とは
KDDIとクアルコム、携帯向け放送「MediaFLO」企画会社設立


(津田 啓夢)
2006/05/26 18:10

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