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ウィルコム、PHS通信部分だけ独立させた「W-SIM」開発

ウィルコムの代表取締役社長の八剱 洋一郎氏

モジュール化のメリット
 ウィルコムは、PHSの無線通信部分をモジュール化した「W-SIM(ウィルコムシム)」を開発し、さまざまな環境で利用できるようにすることを目指す新団体「WILLCOM コアモジュール フォーラム(仮称)」を設立すると発表した。

 今回開発された「W-SIM」は、PHSの無線通信部分を独立させた本多エレクトロン製の小型モジュール。音声通話機や、データ端末、PDAなどに装着できる多用途通信モジュールとなり、ウィルコムは「W-SIM」対応製品を総称して「WILLCOM SIM STYLE」と呼ぶ。また、今回の「W-SIM」、そしてCSCが提供するウィルコムのPHS網を利用したマシンコミュニケーションサービス「MyAccess サービス」向け通信モジュール「CSCエンジン」なども「WILLCOM コアモジュール」として展開していく。

 「W-SIM」の大きさは25.6×42.0×4.0mmで、重さは10g以下。32kbpsを4つ束ねて利用する「4x」対応で最大128kbpsの通信が可能となっている。回線交換およびパケット通信に対応するほか、台湾・タイでの国際ローミングサービスも利用可能。W-SIM内部にアンテナを搭載し、データ通信カードのように抜き差しして利用できる。また、ユーザーメモリとして約600KBの領域が確保されており、700件の電話帳も記録できる。価格は未定とのことだが、発表会でウィルコムの代表取締役社長の八剱 洋一郎氏は「10,000円以下を想定している」と話していた。


W-SIM WILLCOM コアモジュール CSCエンジンとW-SIM

WILLCOM SIM STYLEの音声端末(試作機)

音声通話およびメールに対応
 これに伴って、WILLCOM SIM STYLEの音声端末(試作機)も発表された。モジュールと同様にこちらも本多エレクトロン製で、ウィルコム網を利用した音声通話やメールなどが行なえる。ただし、Webにはアクセスできない。ディスプレイは、1.4インチ、65,000色表示のTFT液晶。大きさは47.8×102.1×19.8mm。説明員によれば、今回の端末はあくまで試作機で、例えば端末メーカーがメガピクセルカメラやフルブラウザを搭載したハイスペックな端末を開発すれば、そうした製品も十分提供できるとしていた。このほか、USB接続のデータ通信用端末なども紹介された。

 なお同社では、WILLCOM SIM STYLEの音声端末、およびUSB接続のデータ通信端末を早ければ年内にも提供するとしている。

 W-SIMでは、PHS通信部分を標準インターフェイス化することで、幅広い機器にデータ通信、および音声通話機能を持たせることができる。従来の端末メーカーは、無線部分の開発が不要となるため、開発コストが低減できるほか、無線技術を持たないメーカーも通信機能の搭載が容易になるとしている。

 同社は、かねてより“ジャケットフォン”の名前で、さまざまな機器に通信機能を付加できる端末を参考出品してきた。「WILLCOM コアモジュール」では、W-SIMで用途やTPOに合わせて接続機器を選択可能なモジュールを提供し、もう一方のCSCエンジンで法人市場を視野に完全な組込型モジュールを提供する考えだ。

 また、新設される「WILLCOM コアモジュール フォーラム(仮称)」では、パートナー企業に対して、モジュールやウィルコムネットワークの技術仕様や新規情報が提供されるだけでなく、パートナー企業の要望を受け付けるネットワークサービス改善プログラムにも参加できる。さらに、機器の検証環境が用意され、有償の開発キットなども購入できる。


端末は手にすっぽり収まるサイズ 下部にストラップホール 試作機は5色用意されていた

側面部 側面部 上部にW-SIMが装着されている

上部にモジュールが収まる 装着されると自動的に電波をキャッチして通信可能な状態になった

待受画面 メニュー画面

USBで接続するデータ通信端末 こちらはCSCエンジン搭載製品

WILLCOM コアモジュール フォーラム(仮称)の主旨に賛同した企業
 また、新設される「WILLCOM コアモジュール フォーラム(仮称)」では、パートナー企業に対して、モジュールやウィルコムネットワークの技術仕様や新規情報が提供されるだけでなく、パートナー企業の要望を受け付けるネットワークサービス改善プログラムにも参加できる。さらに、機器の検証環境が用意され、有償の開発キットなども購入できる。

 発表会では、フォーラムの概要説明に対し、その主旨に賛同した企業の名前が紹介された。NECインフロンティア、本多エレクトロン、セイコーインスツル、京セラ、三洋、日本無線といったウィルコム端末を提供する企業のみならず、松下電工、カシオ計算機、東芝、日本HP、バンダイ、日立、マイクロソフト、日本IBM、アップルコンピュータも名を連ねている。さらに、山本寛斎事務所、リーディングエッジデザインなどのデザイン会社のほか、システムインテグレーターや、ソフトメーカー、コンテンツプロバイダーの名前も紹介された。

 なお、W-SIMの利用料や料金体系については、現在未定とされている。ただし、音声、データ、テレメトリング向けなど、その製品用途によって料金は変わる見込みで、製品化までに検討を重ねるという。

 さらにモジュールは現在、4x(最大128kbps)に対応しているが、今後通信速度の向上も検討しているとのこと。ハイスピードのモジュールが発売された場合に、モジュールを変えるだけで引き続き端末を使えるようにすることも可能で、メーカーが柔軟に開発できるとした。

 また、従来型の端末についても「ある程度の数が出そうなら、W-SIMを使わずにイチから設計する場合もある」(八剱氏)という。フォーラムなどで、無線LANといった他の通信手段への要望があればPHS/無線LANモジュールについても検討する方針とのこと。また販売方法で、インセンティブ方式を採用するかどうかなど、製品用途によってパートナー企業とともに検討するとしている。

 ウィルコムでは、来年の春商戦にはWILLCOM SIM STYLEの製品を多数展開したい考えだ。


モジュールを核に各社と結束 さまざまな機器に繋がる


URL
  ウィルコム プレスリリース
  http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2005/07/07/index.html

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(関口 聖, 津田 啓夢)
2005/07/07 14:29

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