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KDDI小野寺社長、定例会見で次世代サービスに言及
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KDDIの小野寺正社長は6月15日、社長定例会見を行ない、次世代通信インフラである「ウルトラ3G」構想と、次世代CDMA2000の2009年以降の導入計画、auのデータ通信専用インフラであるCDMA2000 1xEV-DO方式の次期サービスとなるEV-DO Rev.Aの来年度中の導入計画などについて説明した。
■ ウルトラ3G構想
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KDDI
小野寺正社長
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au/KDDIの3Gシステムの進化
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定例会見において、これだけまとめて次世代サービスについて方針を明らかにしたのは久しぶりのことだ。今回発表した中でも、最も注目されるのがウルトラ3G構想である。
小野寺氏は、「ウルトラ3Gは、第3世代から第4世代への直線的な進化とは一線を画したものであり、さまざまなアクセス手段を包含した、固定・移動の連携統合を図るもの」と位置づけるとともに、「一般的に、ビヨンド3Gと呼ばれる考え方を、KDDIなりにモディファイしたもの」とした。
また、「W-CDMA陣営がスーパー3Gと呼んでいるものは、第4世代を睨んだものであり、今回のウルトラ3Gは、それとはまったく異なり、アクセス手段に依存しないもの」ともコメントしている。
ITU-R勧告(M.1645)をベースに、新たな無線方式、固定電話を含む多様なアクセスを相互連携させ、統合したサービスを提供する「ウルトラ3G」は、現行のCDMA2000やEV-DOといった携帯電話網、IEEE802.11a/b/gおよびn/e/iといった無線LANアクセスを統合利用できるだけでなく、第4世代のCDMA2000やIEEE802.16eといった次世代アクセス、DION ADSLや光プラスなどの固定網までもを統合する。
「例えば、移動中のバスのなかではテレビ電話がかかってきても、それを受信しながらテキストで返事を返すといったことができるし、また、外では携帯電話で音声通信をし、家の中では、無線LANで家庭用のテレビに、テレビ電話の画像を映しながら、FTTHの回線を利用して通話ができるというように、複数の通信環境を1台の端末でシームレスに提供することができるようになる」という。
また、「ウルトラ3Gに対する投資金額は精査していないが、少なくとも3Gよりもビット当たりの単価が下がらなくては使ってもらえないだろう。3GPP2で規格化を進めている次世代携帯電話通信網のMMDに準拠したものになるが、この部分の開発はこれからになる」などとした。
「最終的には、次世代CDMA2000などを含めたシームレスな環境の実現を目指すが、部分的な融合ができた段階から、早期にサービスを開始したい」と話した。
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「ウルトラ3G」とは
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次世代CDMA2000提供企業
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ウルトラ3G構想
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固定移動統合網
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■ 2006年には1xEV-DO Rev.A導入
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1xEV-DO Rev.Aでの強化点
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来年の導入開始を明らかにした1xEV-DO Rev.Aは、現行の1xEV-DO(社内的には1xEV-DO Rev.0と呼んでいる)に比べて、上り速度を大幅に強化したのが特徴。下りは2.4Mbpsから3.1Mbpsへと強化したのに対し、上りは154kbpsから1.8Mbpsへと大幅な強化が行なわれる。
「上り速度の劇的な向上は、W-CDMA陣営のHSDPAの次の規格であるHSUPAと呼ばれるものに相当する。また、QoS(Quality of Service)の強化も今回の特徴」と小野寺氏。QoSの強化では、現行のEV-DOが、サービスの内容を選別せずにすべてのパケットが同等にベストエフォートでの通信対応が図られているのに対して、EV-DO Rev.Aでは、サービスの種類に応じたパケットの優先制御が可能になる。
「この機能を利用することで、リアルタイムでの通信が必要なものには優先的に利用できるようにするなど、混み合っていても、十分な品質を提供できるようになるなど、双方向リアルタイム通信が可能になる。また、これまでは、上り方向の速度が遅いことは大きな問題となっており、具体的には、2メガピクセルのカメラが携帯電話に付属していても、撮影した写真や動画を、そのまま送信できないなどの問題も出ていた。これを解決できる意味は大きい」とした。
EV-DO Rev.Aは、現行のEV-DO対応機器はそのまま使えないが、サービス開始にあわせて導入されるEV-DO Rev.A対応機器は、現行EV-DOのサービスも利用できる。料金については、「EV-DO Rev.Aだからといって、現行サービスより引き上げることは考えにくい」と語った。
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マイデータセンター
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また、小野寺氏は、ウルトラ3GでEV-DO Rev.Aを包含することにより、「マイデータセンター」と呼ばれる新たな利用環境も提案してみせた。これは、マイデータセンターの形態にはさまざまな手法が考えられるとしながらも、「仮に、各家庭にデータセンターのようなものを置くと想定した場合、プロバイダーにキャッシュされる形で運用する形になる。これにより、ドライブ中に家庭内にあるコンテンツを呼び出して車の中で見たりといったことも可能になる。また、屋外で撮影した動画をマイデータセンターに蓄積し、すぐに公開したりといったことも実現できる」などと説明した。
なお、2006年度以降は10Mbps程度の次世代のEV-DOの導入を経て、100Mbpsを超える通信速度を実現する次世代CDMA2000へとつなげる予定だ。
一方、次世代CDMA2000に関しては、今年3月の「Enhanced CDMA 2000」として3GPP2で要件をまとめ、5月の会議では、CDMA事業者10社、通信機器メーカー19社の合計29社が具体的な使用の検討に着手しはじめたことを示し、「2007年半ばには、標準規格として確立し、2009年から2010年での実用化が見込まれる」とした。
■ 法人向け市場、機種変更ニーズを狙う
今回の会見では、次世代のサービスに焦点が集まったが、質疑応答のなかでは、昨今の市場動向にも触れ、「携帯電話市場は、新規契約数は昨年度に比べてシュリンクしている。だが、法人向けサービスはまだまだ伸ばせる余地があると考えている。また、機種変更による機器のアップグレードニーズは健在で、携帯電話の総出荷台数では昨年度と大きな差はないだろう。純増数はシュリンクしているが、市場全体ではシュリンクしている状況にはない」とした。
また、NTTドコモが無線LANとの融合製品をビジネス分野向けなどに投入していることについては、「現行の無線LAN環境では、当社が品質を保証することができない状況にある。その点が問題であると考えている。ただ、ユーザーからは要望があるのは事実。時期は未定だが、こうした製品も出していくつもりではある。ただし、ユーザーにはサービス品質を保証できないことをわかった上で使ってもらうことになる。次の802.16eは携帯電話と無線LANの中間的な無線規格となり、この規格ならば、こうした問題も解決できると期待している」などと語った。
固定電話事業に関しては、「メタルプラスは順調に進捗しているが、開通件数などについては四半期ごとに開示したい」として具体的な数値については明言を避ける一方、「これ以上、メタルプラスの料金を下げようとは思っていないが、各社の料金引き下げが出揃い、料金競争も安定化してきた。FTTHもそれなりに伸びているが、需要が本格的に立ち上がるタイミングを見計らって、どこかでもう一回、本格的にやりたい」などとした。
さらに、マイラインについては「マイラインを将来に渡って提供し続けていても、アクセスチャージがかかり、収益性が悪くなる。将来的にはマイラインサービスは無くなるものと理解している」として、メタルプラスを中心とした事業拡大へとシフトしていく方針を、改めて強調した。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
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・ KDDI、「EV-DO Rev.A」を2006年導入~固定網との融合も
(大河原克行)
2005/06/15 17:54
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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