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KDDIは23日、「ダブル定額ライト」やPCサイトビューアーの定額化を発表したことにあわせ、都内で報道関係者向け説明会を開催した。同社 au事業企画本部の多田 一国氏から新料金プランの狙いや、定額制導入後のユーザーの動向などが説明された。
■ 定額ユーザー拡大によるauの狙い
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KDDI au事業企画本部の多田 一国氏
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月額1,050円のパケット通信料割引サービス「パケット割WIN」を改定し、上限額を設けて定額サービスとする「ダブル定額ライト」は、基本料が「ダブル定額」の半額となる。多田氏は、「当初、月額4,410円のEZフラットで定額制サービスを開始したが、入りやすいようにダブル定額に改定したところ、利用者数の伸びはEZフラットの時よりも3倍になった」と語り、基本料の値下げがユーザー拡大に繋がるというデータを示した。
月額1,050円から利用できる「ダブル定額ライト」は、より多くのユーザーを取り込むための施策と位置付けられている。定額制ユーザーの拡大による同社の狙いについて、同氏は「データ通信量、つまりリッチなコンテンツの利用拡大が見込める。また、定額という安心感で利用が促進され、従来、通信料がさほど大きくないユーザーでも上限額まで利用してもらえる」と説明。実際、昨年7月を境に、ダブル定額によって通信料が増加したユーザー数は、低減したユーザー数を超えたというデータを示した。
一方、多田氏は、「ダブル定額の料金体系自体は、ヘビーユーザーだけではなく、たまに通信料が高くなるというユーザーの分まで上限を定めてしまい、収益面でリスキーなところはある。そこで最初は完全定額にしていた」と指摘したが、同社で行なったマーケティング調査の結果、定額制を求める潜在需要が高いことが判明し、4,410円に固定されるEZフラットよりも変動制にして利用しやすい形にしたほうが良いと判断したという。
また同氏は、着うたフル対応機と非対応機のユーザーにおけるコンテンツ情報料を比較したデータを提示。「推測の段階だが」と前置きした上で、「着うたフル、着うたなどのコンテンツ自体も定額制の普及に貢献しているのではないか」と語った。
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ダブル定額の登場で、利用者数の伸びは3倍になったという
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定額制により、コンテンツ利用が促進されたというデータも
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着うたフルなどのコンテンツの登場も定額制普及に貢献していると分析
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■ ヘビーユーザーの取り込みを
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定額化によって、PCサイトビューアーの利用を促進したい考えだ
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パソコン向けサイトを閲覧できる「PCサイトビューアー」の定額化に触れた多田氏は、「ダブル定額ライトが、利用者の裾野を広げる“下からの攻め”であるのに対して、PCサイトビューアーの定額化は、ヘビーユーザーに対する“上からの攻め”だ」と説明。
現在、au端末のラインナップで、同機能をサポートしているのは「W21CA」のみ。同氏は「W21CAユーザーのうち、13%がパケット割ミドルを、2%がパケット割スーパーを契約している。数値だけ見れば小さいと感じるが、他機種のユーザーでは数字として表現できない程度の割合であり、W21CAユーザーは両プランの契約率が非常に高い。またトラフィックデータなどを見れば、W21CAユーザーはPCサイトビューアーの利用を控えている傾向がある」と語り、同機能の定額化は、パソコン向けサイトの広告価値を高めたり、EZwebサイトで充実していないとされる一般サイトがカバーできたりするといった効果に加えて、同機能を積極的に利用して欲しいという狙いがあるとした。
また同氏は、「今後の1X WINのラインナップで、PCサイトビューアー搭載機種は複数出てくるのは確実。結構な割合で出てくるだろう。ただし、全機種への搭載は時間かかるのではないか。少なくともW21CAの1機種だけではない」と語った。
このほか、NTTドコモのFOMA端末などで利用可能なブラウザアプリ「jigブラウザ」が登場していることについて、多田氏は、「月額あたりの利用総額では、確かにjigブラウザのほうが安く感じるかもしれない。ただし、利用するかどうか決定する段階では、当社のほうが入口が広いのではないか。また使い方次第で、5,985円以下になる可能性もある」とした。
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PCサイトビューアー定額化の概要
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W21CAユーザーの割引サービス利用率を示したグラフ
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■ 定額制拡大は他社との差別化に繋がる
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auユーザーのパケット通信料割引サービスの利用率を示したグラフ
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「正直言って、定額サービスを利用するユーザーがどれだけ増えるか、予想できないが、潜在需要は存在する」と語る多田氏は、auユーザーにおけるパケット通信料割引サービスの利用率を紹介した。
そのデータによれば、新規加入の1X WINユーザーの6割がパケット通信向けの割引サービスを利用している。また、累積加入者数から見た割引サービスの利用率は、1X WINで30%後半、CDMA2000 1xで20%半ばとなっている。ダブル定額導入によって、CDMA2000 1xユーザーの割引サービス利用率は徐々に減少しているが、「これは1X WINに移行してダブル定額に切り替えているということ」と同氏は分析、まだ残っているユーザーは、定額サービスへ移行する可能性がある潜在ユーザーとした。
「ダブル定額」に加えて、「ダブル定額ライト」「PCサイトビューアーの定額化」という施策を打ち出したauは、リッチコンテンツの普及や、EZwebの利用に消極的なユーザーの通信料を底上げするといった点だけに狙いを定めているわけではないという。
多田氏は、「他社と異なり、auではどの料金プランでも定額サービスを利用できる。あるキャリアでは“~ダケ”と宣伝しているが、充実した定額制は“auシカ”できない。これは、CDMA2000 1xEV-DOというインフラを導入しているからこそ実現可能なことだ。さらに、着うたフルなど、付随するサービスが、他社に対する優位性を確保する。料金面だけではなく、サービスを含めて、auは他社より良いというブランドを確立できる」とアピールし、定額サービス拡充による目的を明確に語った。
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全ての料金プランで利用できることは、他社との差別化に繋がるという
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定額サービスの拡充は「auシカ」できないとアピール
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■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
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(関口 聖)
2005/03/23 20:07
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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