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携帯周波数の検討会、「新規事業者に1.7GHz」という意見も

 25日、総務省で「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第7回会合が開催された。前回、構成員から寄せられた疑問、要望に応える形で総務省側から800MHz帯再編に関する技術的問題や海外各国の状況などを紹介する資料が提示された。会合のほとんどが資料の説明にあてられた。


2012年までに使用可能な800MHz帯

 現在、NTTドコモとKDDIが使用し、新たにソフトバンクBBが割り当てを求めている800MHz帯の取り扱いは、これまでの議論で重点が置かれた項目の1つ。今回総務省側が提出した資料によれば、まず2012年7月までに、利用効率の向上や国際ローミングの実現、地上アナログテレビの終了に伴う700MHz帯および900MHz帯の利用できるようにすることを再編の目的としている。

 再編にあたっては、既存ユーザーに不利益がもたらされないようにすることが前提とされ、再編終了後はドコモ・KDDIが使用している計88MHz幅が60MHz幅に集約される。再編中は、実際にパケット通信や音声通話で使用する帯域に加えて、干渉を避けるためのガードバンドや、携帯電話のサービスを維持するために必要な制御チャネルを確保する必要があるという。

 ガードバンドは、W-CDMA方式とCDMA2000方式というように異なるシステムが隣り合った周波数帯を使用すると、干渉の発生が懸念されるため、それを防ぐために設けられた空白地帯。また制御チャネルは、基地局が携帯電話の位置情報を確認する際に使う通信用帯域だ。どちらも、「既存ユーザーに迷惑をかけない」という観点から、再編が終了するまで維持しなければならない帯域とされている。

 これらを踏まえると、800MHz帯のうち、2012年までに使用可能となる帯域は、825~835MHzの10MHz幅と、870MHz~880MHzの10MHz幅で、計20MHz幅が確保できるという。ただし、実際に使用するには、既存システムを停波し、全国ではなく限られた地域での利用になる。新規参入者に割当可能とも言えるが、既存事業者のサービスをどう扱うか、既存ユーザーにどの程度不利益があるのか、今回の会合では、総務省側は明言していない。


1.5GHz帯や2.5GHz帯も3G向けに利用できる

 前回の会合では、1.7GHz帯のうち、携帯電話に使用できる具体的な周波数幅が示された。今回は、新たに1.5GHz帯や2GHz帯、2.5GHz帯、そしてアナログテレビ終了後の700/900MHz帯の使用可能な周波数幅が明らかにされた。

 既にドコモのFOMAなどで使用されている2GHz帯だが、国際的に2010~2025MHzの15MHz幅がTDD方式(時分割複信方式)用に分配されており、総務省では技術的な要件を定めるべく検討会を開催中だ。また、700MHz帯と900MHz帯は、800MHz帯の再編を経て、アナログテレビ終了後に携帯電話用として30MHz×2が使用できるという。

 2.5GHz帯については、IMT-2000、いわゆる3G方式用に使用するとITU(国際電気通信連合)で検討されており、総務省では今年中にも検討結果が明らかにされると見ている。その結果、25~45MHz幅のTDD方式、あるいはFDD方式(周波数分割複信方式)で利用できる可能性がある。

 現在、ツーカーグループやボーダフォンなどが使用している1.5GHz帯は、国際的な取り決めとして、3G向けに使うことにはなっていない。しかし総務省側は、「国内だけの使用に限った場合、(1.5GHz帯は)3G向けに使える」と説明した。


海外の現状も紹介

 日本より、やや遅れて3Gサービスが展開されつつある海外各国については、欧米や韓国、香港など12の国と地域に関する周波数の利用状況が明らかにされた。日本と同じく、審査を経て周波数を割り当てているのは、フランスやフィンランド、韓国など6カ国。一方、オークション方式を採用しているのは米国や英国、香港などの6つの国と地域だ。各国ともに、基本的には800MHz帯と900MHz帯、1.7GHz帯と1.8GHz帯は2G向けであり、3G向けは2GHz帯のみ。

 本検討会では、各社から800MHz帯のほうが2GHz帯よりも電波の伝搬特性に優れているとする声が挙がっていたが、ドイツやスペインでは実際に800MHz帯を利用する事業者がトップシェアを占めているという。ただし両国ともに1位となっているのは、旧国営企業をベースとした事業者。一方、英国では、800MHz帯を使用するO2は3位、Vodafoneは4位となっており、1.7GHz帯を使用しているOrangeが1位、T-Mobileが2位となっている。

 またドイツや英国などでは、3G向けに周波数を割り当てる場合、人口カバー率を一定の割合にしたり、ローミングを義務化したりするといった条件を求めているケースもあるという。


新規事業者には1.7GHzを与えるという意見も

ソフトバンクBB 代表取締役社長の孫 正義氏は、今回も傍聴
 構成員からは、総務省側から示された資料について細かな質問が寄せられた一方、日本経済新聞 編集委員の関口 和一氏は、「海外の事例を見ても、新規事業者に新しい物を割り当てるのは素直なこと。1.7GHz帯を新規事業者に割り当てるべきではないか。ボーダフォンもその周波数帯を求めているが、需要の増加にあわせてあらためて2GHz帯などを割り当てることなどを検討しても良いのではないか」と語り、具体的な周波数の割り当て方に言及した。また別の構成員からは、「2G用とされている1.5GHz帯を3G用に割り当てても良いのではないか」といった意見も出された。

 これまでの議論、各事業者の主張を踏まえ、総務省側は次回でまとめに入るとして、第7回会合は終了した。

 傍聴していたソフトバンクBB 代表取締役社長の孫 正義氏は「総務省側は結論ありきで、その結論が導き出されやすい資料を用意している。反論の機会が与えられれば、いくらでもできる」と総務省の姿勢を批判。また同氏は、800MHz帯の再編案に対して昨年9月に募集されたパブリックコメントがまだ公開されていないことについて「何か公開できない事情でもあるのか。これは異常なことではないのか」と語った。



URL
  携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/keitai-syuha/

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(関口 聖)
2005/01/25 14:45

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