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携帯周波数の検討会、1.7GHz帯の利用可能帯域が明らかに

第6回を迎えた、携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会
 11日、総務省で「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第6回会合が開催された。これまで各社から出された主張を踏まえ、今回より構成員のみによる検討に入った。しかし、具体的な議論は進まず、「どのような検討をすべきか」という論点の整理に留まったほか、総務省からは1.7GHz帯で割り当て可能な帯域が明らかにされた。

 構成員のみの検討会だが、傍聴席にはソフトバンクBB 代表取締役社長の孫 正義氏やイー・アクセス 代表取締役COO 種野 晴夫氏の姿も見られた。


ソフトバンクBB 代表取締役社長 孫 正義氏の姿も イー・アクセス 代表取締役社長兼COO 種野 晴夫氏も傍聴

1.7GHz帯、全国と東名阪で利用可能な帯域が明らかに

 総務省が今回示した資料によれば、1.7GHz帯で利用できる帯域は、全国で15MHz×2、東名阪だけに区切った場合で20MHz×2になるという。この帯域は、2006年4月以降に確保できる見込みしたが、東名阪用の帯域を全国に拡大することは困難とも説明された。

 これまでの検討会では、イー・アクセスから「1.7GHz帯は最大2社の新規事業者のみ割り当てるべき」との主張がなされたほか、ボーダフォンは「既存キャリア間で公平な競争条件にするため、ボーダフォンに1.7GHz帯を割り当てるべき」としている。またソフトバンクBBは、800MHz帯をメインに使用しつつ、1.7GHz帯は補助バンドとして利用したい考えだ。

 「今回明らかにされた利用可能な帯域は、複数の事業者に割り当てられるのか?」という疑問が構成員から投げかけられたが、総務省側は、「技術的な詳細を詰めていない」と説明する一方、「7.5MHz×2という形が想像できるが、3G方式は5MHz幅×2を1ブロックにしている。また音声用周波数とデータ通信用周波数を分けて利用するケースが想定されるため、(細かく配分するのは)難しいのではないか。周波数を細分化することは有効利用とは言えない」と述べ、複数の企業に割り当てるのは難しいとの見解が示された。


「周波数配分にオークション方式を」という意見も

 どのようなルールに基づき、周波数を割り当てるべきかという点について検討を重ねる本会合だが、基本的な考え方について議論を進める際に構成員からは「どのように決めれば良いか困惑している」との意見が出された。

 まず京都大学大学院 情報学研究科 教授の吉田 進氏が「数年後の事業やトラフィックを予測するのは非常に困難」と語ると、法政大学 経済学部 教授の黒川 和美氏は「各社から出された意見のうち、最大限を取り入れて、天真爛漫に配分するというのはあり得ない。欧米で実施されたオークション方式を検討すべきではないか」と述べ、必要な周波数帯に対して事業者間で競り落とす方式が合理的と説明した。

 これを受けて、千葉大学 法経学部 教授の多賀谷 一照氏は「あまりにも外部的要因が多すぎるという指摘だろうが、周波数を得たからといってどの程度収益が見込めるか、計算できない。欧州でもオークション方式を実施したことで反省の声も上がっており、オークションはそんな単純な解決法とは言えない」と指摘した。

 また野村総合研究所 理事長の村上 輝康氏は「公平性を担保して、競争政策を正しくするという目標がある。マーケットに公平性をもたらすというよりも、利用者に何をもたらすかが問題。まず配分してみて、どのように有効利用されているか、たとえば3年後に評価するという手法を採用すべきではないか。事前に最適な状況を決めるのはおそらく不可能だ」とした。

 これに対して、吉田氏は「技術からの予測と、実際にサービスが実る時期は異なるのではないか。3G方式は日本企業が率先してきたが、技術的観点の予測よりも伸びていない状況だ。努力した企業にある程度見返りがなければ、誰も(新技術や新サービスの開発を)やりたがらないかもしれない」と述べた。


800MHz帯の配分、技術的ポイントは次回提示へ

 これまでの検討会で最も紛糾したのは、800MHz帯の取り扱いについてだ。この周波数帯は、各社ともに最も伝搬特性が優れていると指摘しており、携帯電話事業の展開において有利とも言われる。総務省では細切れで利用されている現状を整理する案を示しており、既存キャリアやイー・アクセスなどは再編案に賛成しているものの、ソフトバンクBBが強く反発している。

 再編を進めながら、新規事業者へ800MHz帯を割り当てることが技術的に可能かどうか、総務省側がポイントをまとめて次回の検討会に提出することが明らかにされた。

 新規事業者に割り当てるべきか、あるいは再編案通りに進めるべきか、今回の検討会では具体的な結論は出せない状況となったが、構成員の黒川氏からは「技術的に不可能だった場合、どのような方針を出すべきか」という意見が出された。

 総務省の説明によれば、現在NTTドコモとKDDIに割り当てられている800MHz帯の周波数帯は、使用期限を迎えるため、2012年以降は利用できなくなる。同氏は「まず2012年以前に800MHz帯を新規事業者に割り当てるべきかどうか、という点を議論する必要はあるが、もし“技術的に不可能”と総務省が結論づけた場合、新規事業者にとっては公平な競争ができないという機会損失が想定される。この損失に対して、補償すべきかどうかも検討すべきではないか」と語った。

 吉田氏は、以前の検討会での発言を繰り返し、「新規参入を希望するのであれば、800MHz帯に固執せず、1.7GHz帯や2GHz帯をどのように有効利用できるか提案して欲しかった。少なくともそういう意気込みを持ってる事業者に割り当てていくべきではないか」と述べた。また、村上氏は「周波数が異なることで、設備投資のトータルコストはどの程度異なるのか、資料を提示して欲しい」と総務省側に求めた。

 このほか構成員からは、「国民が今回の議論に参加しやすいよう、周知に注力すべき」という意見が出された。また、「1.7GHz帯は、2006年にも利用可能になるとのことで、いつまでに検討会の意見をまとめればよいのか」との質問が出され、総務省側は「一刻も早く、検討会の意見を踏まえた免許方針を作りたい」と回答した。

 次回以降の検討会では、より詳細な点について議論が進められる予定だ。



URL
  携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/keitai-syuha/

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(関口 聖)
2005/01/11 18:29

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