KDDIは、CDMA 1X WIN向けの楽曲配信サービスであるEZ「着うたフル」や新機種を発表したことに伴い、13日都内で記者発表会を開催した。代表取締役社長の小野寺 正氏から全体の概要が述べられたほか、執行役員 コンテンツ・メディア本部長の高橋 誠氏からEZ「着うたフル」が紹介された。
なお、EZ「着うたフル」や新機種の詳細は別記事を参照いただきたい。
■ auは“感動ケータイ”を目指す
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KDDI 代表取締役社長の小野寺 正氏
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新サービスの概要に触れた小野寺氏は、「2002年に着うたをスタートし、FMラジオ機能も提供するなど、auは携帯で音楽を楽しむことに対して、さまざまなスタイルを提案してきた。なかでも着うたは、1億2,700万ダウンロードを記録しており、auの代表的なコンテンツに成長したと言える。その一方で、ユーザーからは『気楽に楽しみたい』という声があった」と語り、EZ「着うたフル」は、そういったユーザーの声に応えるサービスであり、CDMA 1X WINの通信速度やダブル定額という環境が整ったからこそ実現したと述べた。
続けて同氏は、「新サービスは、携帯電話に直接ダウンロードして、そのままで楽しめる。デジタル音楽プレーヤーが人気を呼んでいるが、それらはパソコンを経由しなければならない。しかし、携帯電話では直接楽しんでいただける」と述べ、シンプルな使い勝手をアピールした。なお、今後登場する1X WIN端末は、全てEZ「着うたフル」に対応することが明らかにされた。
最後に小野寺氏は「携帯電話は、生活必需品としての存在感を増しているが、我々は感情に訴えかける製品作りをしていき、新たなライフスタイルを提案していきたい。auが目指すのは“感動ケータイ”だ」と今後も意欲的に新サービス、新機種の開発へ取り組んでいく姿勢を示した。
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着うたは、1億2,700万というダウンロード数を記録したという
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これからは「感動ケータイ」を目指すという
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■ 高橋氏、「他社が追随できない我々だけのサービス」
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KDDI 執行役員 コンテンツ・メディア本部長の高橋 誠氏。プレゼンテーションでは、EZ「着うたフル」のデモも行なった
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EZ「着うたフル」の概要を説明した高橋氏は、現状の1X WINについて、「WINユーザーのうち、20代までの契約者が全体の52%を占める。ダブル定額も10~20代のユーザーが全体の53%。WINは当初30代のユーザーを想定していたが、若年層に受け入れられている」と述べ、予想以上に若年層のユーザーに1X WINが利用されていると指摘。
同氏は音楽配信についても触れ、「当社の独自調査では、音楽のダウンロード配信に興味を持っている若年層のユーザーは、高校生のうち男子が75%、女子が53%、大学生のうち男性が73%、女性が48%だ。着うたも2004年9月の段階で1億2,700万ダウンロードに達した」と述べ、1X WINのユーザー層は、音楽配信に対して高い関心を持っているとした。
かつてauは、音楽配信機能に対応したcdmaOne端末「C404S『DIVA』」をリリースしたという体験を持つ。それに触れた高橋氏は「やはり携帯電話だけで利用できなければ、ユーザーにとってはシンプルとは言えない。またストレスなく30~40秒という時間でダウンロードできなければならない」と述べ、小野寺氏同様に1X WINやダブル定額と環境が整った現在だからこそ実現できたサービスで、「(他社が)そんな簡単に追随できるものではない」(高橋氏)と自信を見せた。
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WINユーザーの約半数が20代以下のユーザー
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ダブル定額も若年層のユーザーに広く受け入れられている
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高校生、大学生には音楽ダウンロードに強いニーズがあるという
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なお、今回のEZ「着うたフル」で利用される音声コーデックは、HE-AAC(High Efficiency AAC)と呼ばれるもの。2002年に登場した着うたは、まずMP3を採用し、その後AACに切り替えていたが、今回のHE-AACは、AACと同じ音質でも高い圧縮率を実現できるとのことで、AACで3MBになる楽曲の場合はHE-AACであれば1.5MB程度になるという。
高橋氏は「音楽配信に対するニーズはあっても、どの程度の音質が求められているのか。ユーザーからはCD並のクオリティを求める声が多かった。しかしCD並の音質で従来のコーデックであれば、auのネットワークが持たない。HE-AACは新たなコーデックであり、端末メーカーは非常に苦労したそうだが、やっと実現した」と同程度の音質で高い圧縮率を誇るHE-AAC採用の理由を明かした。
同氏は続けてEZ「着うたフル」をデモンストレーションした。デモに用いられた楽曲のビットレートは48kbpsだが、実際にコンテンツプロバイダーから配信される場合、ビットレートは各社が決める形になるとのこと。ただし、高橋氏は、現実的なラインとして48kbpsに落ち着くとの考えを示した。
このほか、電話番号を鍵としてEZ「着うたフル」のコンテンツを外部メモリカードに保存できる機能や、「EZ Music!」といった新サイトの開設が明らかにされた。
また同氏は、レコード会社が「EZ『着うたフル』がCDを脅かすのではないか」という懸念を持つのではないかという質問に対して、「レコード会社と関係は、確かに非常に難しい問題。CDビジネスに影響があると捉えられることもあるようだが、実際のところ、会社によって温度差がある。ソフトランディングできる方法がないのか、模索していく」と述べる一方、「あくまで着うたフルは、音質面などでCDの一歩手前、というイメージ。本物により近づいたものと言える」とも語った。
最後に高橋氏は、「本物だけが本当の感動を届けられる」とEZ「着うたフル」の実力をアピールした。
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EZ「着うたフル」の特徴
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音声コーデックは、HE-AAC
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KDDI、レコード会社、端末メーカーはそれぞれ協力していく
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■ URL
ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/1013a/
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(関口 聖)
2004/10/13 17:38
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