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【ドコモ定例記者会見】 プリペイド携帯の廃止を検討、iモード FeliCaは40万台出荷へ
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NTTドコモ 中村維夫社長
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NTTドコモの中村維夫社長は、9月30日、定例の社長会見を行ない、プリペイド方式に関して廃止を前提とした検討を開始していることなどを明らかにした。
中村社長によると、同社のプリペイド型携帯電話の利用者は、「現在わずか9万契約に留まっており、加入の際に通常の携帯電話の契約同様に氏名、生年月日を明示するように制度を変更したところ、さらに利用者は減っている。利用者数が少ないこと、犯罪などにプリペイドが利用されていることなどを考えても、日本の社会にはプリペイトは必要ないと考えている。将来的な廃止を踏まえて、どうするかといったことを検討している段階にある」とした。
具体的な廃止時期は明らかにしたなかったが、「現在も利用者がいるサービスであり、まずは新規契約の停止といったように、段階を踏んでいくことになるだろう」と語った。さらに、「プリペイド方式については、各社とも厳密な対応を図りはじめているが、業界としてどうするかといった点でお互いに話し合いの場をもつことも必要だろう」とした。
■ FOMAは当初計画を上回る契約数に
会見の冒頭、中村社長は、就任から3カ月を経過したことに触れ、「お客様への訪問や、2週間かけて海外の投資家に対するIR活動を行なってきた。お客様第一主義や、第2の創業期という言葉を掲げたが、まずはやれるところからやっていく。すぐに成果はでないがやらなければ前には進まない」として、これまでのいくつかの取り組みや、今後の新サービスなどについて触れた。
中村社長は、「投資家などの最大の関心は、FOMAへのマイグレーションを今後どう考えていくのかという点だ。定額制の導入、ファミリー割引率の拡大によって収益性はどうなるのか、また、新たなサービスであるFeliCaの将来性などにも関心がある。その点では、携帯電話が大きな転換点を迎えているのは事実。契約者数が対前年比75%(25%減)で推移しているなかで、我々が掲げた生活ケータイとしての使い方が、生活シーン、ビジネスシーンでいかに利用されるか、という点を追求していく必要がある」と話した。
中村社長はFeliCaの進捗状況として、現時点でFeliCa搭載端末の累計出荷台数が40万台に到達したことを明らかにし、39社の協力店8つの契約会社から1万店で利用できる環境が整っていることを強調した。
「今後はビルの入退室やマンションの鍵として、あるいは大手量販店でのポイント管理など、いろいろな用途に広がりを見せることになる。将来的には、FOMAの全機種にFeliCaを搭載していくことになる」と言及。今年秋の901iシリーズでもFeliCa搭載機のラインアップを強化していくことを明かした。また、「年間2,700万台程度の新機種を販売しているが、これが今後は次々とFeliCa搭載機に変更していくことになる。利用される端末のほとんどがFeliCa搭載端末になるのは時間の問題だ」とした。
FOMAの現状にも触れ、「FOMAは650万契約に達した。今年度末には1,060万契約を計画しているが、これはクリアできるだろう。むしろ、当初の計画よりも少し早めに進捗することになりそうだ」と強気の姿勢を見せた。
FOMAのネットワーク整備については、「現在、約6割がFOMAに関する投資。来年度の予算を前倒しにする形でネットワーク環境の整備をすすめていく」と、さらに設備投資を進めていく考えだ。
このほか、FOMA普及策のひとつとして、映像サービスの強化を掲げ、テレビ電話サービスを2カ月間、各月最大500円分までの無料サービスすることに触れ、「ぜひ、この機会にテレビ電話を体験してほしい」と呼びかけた。
■ 2年以上の同一機種利用者には電池を無料提供
一方、お客様第一主義の実現として、いくつかの新サービスを発表した。
具体的なサービスとしては、同一機種を2年間以上利用しているユーザーに対しては、無料で電池を提供するサービスを第4四半期以降に実施する予定を明らかにしたほか、現在1年間の無償サービス期間を10月1日以降、3年間に延長。修理窓口もこれまでのドコモショップ約1,200店舗の体制から、それ以外の店舗にも広げ、2,000店舗以上の窓口で修理受付を行なえるようにするという。さらに、10月1日からは、ファミリー割引の一環として、グループ同士のメールの送受信を無料にするサービスも実施される。
そのほか、顧客接点の強化として、11月1日からメールで24時間相談を受け付けるサービスを開始。ドコモショップでのFeliCaの説明が難しいという要望に応えて、ビデオを利用した説明サービスなども開始する。
■ 社会的問題には正面から取り組む姿勢を強調
中村社長は、企業の社会的責任としての取り組みについても説明。「携帯電話は大変なスピードで伸張したが、その分、負の部分も大きな問題になりつつある。子供の携帯電話利用、運転中の通話の問題、プリペイドを利用した犯罪の増加、迷惑メールなどがそれだ。これらに対しては正面から取り組んでいきたい。モバイル社会研究所を設立したが、そこでの活動報告を近々発表できそうだ」とした。
また、企業改革としては、「お客様第一といいながらも、本当に体制がそうなっているのかを見直す時期にきている。猛省しなくてはならないところもあるだろう。これまでの成功体験の影で奢りがなかったか、保守的になりすぎていなかったかという点をもう一度、お客様第一主義の原点に戻り取り組んでいきたい」と話した。
■ 9月の純増数シェアはauに負けた?
最近の携帯電話市場で話題となっているのが、auとの純増数を巡る争いだが、中村社長は、「9月はauに負けたのではないか」との見通しを明らかにした。
しかし、中村社長は、「純増数は販売数量から解約数を引いたもの。新規販売数が頭打ちになっているなかで、これまでの契約者数が多いドコモは、解約率が低くとも、絶対的な解約者数が多いためにどうしても厳しい結果になる。これは今後も変わらないだろう。問題なのは、事業者間を移動するユーザーの数であり、それは0.7~0.8%と低い比率となっている」と説明した。
また、auとの連携で開始した番号案内サービスについては、「影響はわからないが、他の事業者に変わりやすくなったということはないだろう」とした。
■ 「携帯電話事業はADSL事業とは違う」とソフトバンクを牽制
さらに、ソフトバンクの800MHz帯における動きについても言及した。
中村社長は、「今は2012年までにより効率化して帯域を使っていこうという議論であり、これをどうするかは総務省が考えること」と前置きし、「海外に比べて、料金体系が高いというわけではないため、ただちに料金を引き下げるということは考えていない。また、ソフトバンクの参入によって競争が激しくなるのは間違いないだろうが、携帯電話の世界は安ければいいというADSLの世界とは異なり、ネットワークのほかに、端末機、コンテンツサービス、各種のユーザーサービス、災害対策までを含めた総合力が必要である。これまでの携帯電話市場の動きを見ても、通信料金が安いところが勝つというわけではなく、付加価値の部分が重要。ただちに大混乱が起こることはないだろう」と、ソフトバンクを牽制した。
■ シンギュラーとの提携は完全否定
海外戦略については、一部報道にあった米シンギュラーとの提携に関しては、「そういう話は一切ない」と否定。欧州、米国、アジアの各地域において、300万ユーザーに達したiモードの海外普及戦略を引き続き継続させるほか、W-CDMAによって、欧州で流通している端末を日本で流通させたり、逆に日本で流通しているものを海外で流通させることで端末のコストダウンにつなげるなどの取り組みを検討していることを示した。
さらに、今後、固定電話と携帯電話の境目がなくなるだろうとして、「企業のユーザーでは、固定電話と携帯電話を融合した使い方が出ており、将来的には固定と携帯の融合化による提案も視野に入れなくてはならない」との見方を示した。
■ 燃料電池のコメント
中村維夫社長は、30日に発表したマイクロ燃料電池について、「2005年度には商用化したいが、もう少し、小型化、軽量化することも必要だろう。現在は、1回の充電だけだが、商用化の段階では、1+3ぐらい、つまり4回分の充電ができるような形にしたい」とした。
携帯電話には、安価に提供されるメタノールが最適だとしたほか、「燃料はカプセル化して販売していく形になるだろう。今後、評価をすすめながら、形態や提供方法などを決定したい」と話した。
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マイクロ燃料電池の試作機
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クレードルのように装着する
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■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
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(大河原克行)
2004/09/30 18:49
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