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名古屋市交通局は、携帯電話が発する電波が心臓ペースメーカーを誤動作させる可能性があることから、市営地下鉄のホームや電車内が「圏外」となるようアンテナの調整を進めている。市営地下鉄80駅のうち、地上駅などを除く72駅が対象となる。
同局では、携帯電話が発する電波が心臓ペースメーカーに影響を及ぼすとした総務省の報告を受けて、名古屋市営地下駅のホームと電車内で携帯電話を「圏外」とするためにアンテナ基地局の調整を行なっている。調整は9月末にも完了する見込み。
総務省では、携帯電話の電波がペースメーカーなどの医療機器に誤動作を及ぼす可能性があるとして、医療機器と携帯電話の距離を22cm以上離すよう指針を発表している。市営地下鉄ではこの発表を元に、従来、改札口などがあるコンコースに携帯電話のアンテナを設置していた。しかし、アンテナの設置の仕方や駅構造上、ホームまで電波が届いてしまう場合があり、混雑する車内ではペースメーカー装着者への安全が確保できないと判断、今回のアンテナ基地局の調整に至ったという。
なお、駅ホームなどで利用できなくなるのは、NTTドコモ、ボーダフォン、ツーカーのPDC方式の端末と、au端末。誤動作の恐れが指摘されたのは、主に2Gの端末となるが、PDC方式と基地局アンテナを共有しているauの3G端末もこの影響を受ける。また、影響が少ないとされたW-CDMA方式のドコモとボーダフォンの3G端末については、ホームにもアンテナ基地局が設置されており利用可能となっている。
今回の措置の理由について、基地局アンテナを市営地下鉄に設置している携帯キャリアで構成する社団法人道路トンネル情報通信基盤整備協会(トンネル協会)が、市営地下鉄にアンテナを設置する際に、コンコースへのアンテナ設置許可を得たという過去の経緯を挙げた。電波の特性上、コンコースにアンテナを設置したとしても、ホームにも電波が届いてしまう場合があるが、名古屋市交通局ではホームでの携帯電話の利用を認めておらず、アンテナ基地局の調整に至ったという。
名古屋市交通局では、車内アナウンスやポスターなどで、電源をOFFにするようアピールしていくほか、ホームや車内で携帯電話が利用できないことが周知されれば、ユーザーは電源を切るようになると想定しているようだ。また、現在の携帯電話の状況は、2Gから3Gの携帯電話へ移行する過渡期であるとの認識を示し、「ペースメーカーへの安全を確保するためのやむ得ない措置」(名古屋市交通局)と今回の取り組みを説明している。
なお、首都圏などのJR、私鉄、地下鉄事業者は、2003年8月に携帯電話のマナーを統一し、「優先席付近では携帯電話の電源OFF、優先席以外ではマナーモード設定し、通話は控える」と定めて告知。2004年1月には、関西の鉄道20社も同様の内容で取り組んでいる。
■ URL
名古屋市交通局
http://www.kotsu.city.nagoya.jp/
電波の医用機器等への影響に関する調査結果(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020702_3.html
■ 関連記事
・ 関西の鉄道20社、電車内の携帯マナーを首都圏と同一ルールに
・ 首都圏の鉄道17社、車内での携帯マナーの案内を統一
(津田 啓夢)
2004/08/11 18:08
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