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NECブース
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Linux搭載の携帯電話が参考出展されていた
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6月2日~4日の3日間、東京ビッグサイトでLinuxに関するイベント「LinuxWorld Expo/Tokyo 2004」が開催されている。各社からLinuxを活用した製品やソリューションが紹介されている中、NECはLinuxをベースにした携帯電話端末を参考出展している。
NECでは、以前より3Gの携帯電話向けとしてLinuxをベースにしたOSを開発中であることを明らかにしている。国内の携帯電話では、TRONを元にしたOSが一般的だが、富士通はFOMA端末でSymbian OSを採用するなど、3G端末向けに新OSを模索している企業が増えてきている。
NECが、Linuxを採用した理由の1つはコストダウン。Linux自体がもともとオープンソースであり、組込用にカスタマイズされたディストリビューションを利用するとはいえ、低コストでの開発が見込める。また、現在の携帯電話に求められている機能は、通話やメールだけではなく、Webブラウジングやカメラ撮影、画像編集、動画閲覧など多岐に渡っており、その開発規模は3年前に比べて5倍以上に膨れあがっているという。このため、LinuxベースのOSにすることで、開発者の教育コストが削減され、より多くの人的リソースを世界中から集められるという点も注目されている。
出展されていたLinuxベースの端末は、一般来場者が触れないよう案内されているが、メニュー表示や各種アプリケーションが動作する状態。外観は、同社製FOMA端末に似ているがディスプレイ側ボディの背面はやや盛り上がった形状。メニュー構成は従来のNEC製FOMA端末とほぼ同じだが、操作時に表示されるポインタは矢印ではなく、「X」という表示になっている。担当者によれば「Linuxであるかどうか、という点はエンドユーザーに意識させない構成にする。(今回「X」のポインタになっているのは)Linux搭載をわかりやすく示すこともあるが、ポインタの形状まで仕様が固まっていないということもある」という。
ベースになったLinuxは、米Monta Vistaのディストリビューションで、Consumer Electronics Editionと呼ばれるもの。Linuxは、一般的にサーバー、あるいはパソコン上で利用されることが多く、同時通話を実現させるためにμ秒単位で制御するTRONと比べれば、リアルタイムでの反応が弱点とされる。組込用途に特化しているMonta Vistaのディストリビューションと言えども、そのままでは携帯電話向けとしては厳しいとのことで、そういった点を中心に改善が重ねられているという。
なお、展示された端末は、通話や通信はできないよう機能制限が施されている。また、搭載OSは、昨年10月時点のものであるため、起動時間やアプリケーションの実行速度は「ちょっと遅い」(NEC担当者)という。しかしこの半年間における開発でさらにチューニングなどが施されており、同社では今年度中にも商品化する考えだが、担当者からは「開発者に向けて、携帯電話用のLinuxで何が必要か、議論を重ねて周知を図る必要もあるだろう」との声も聞かれた。
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一見したところ、通常の携帯電話
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折りたたんだところ。ディスプレイ側ボディ背面が盛り上がった形状
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待受画面。中央の「X」がポインタ
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メニュー画面。アイコンなどのリソースも含め、使い勝手は従来モデルを踏襲したものに仕上げられるという
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■ URL
NEC
http://www.nec.co.jp/
LinuxWorld Expo/Tokyo 2004
http://www.idg.co.jp/expo/lw/
■ 関連記事
・ 第141回:Linux とは
(関口 聖)
2004/06/03 13:04
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