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携帯電話キャリアを変更しても、同じ電話番号が継続利用できるようにする「番号ポータビリティ(MNP:Mobile Number Portability)」に関する「携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会(第6回)」が30日、総務省で開催された。
前回披露された報告書案で「MNPは導入する」という結論が明らかにされていたが、今回はその導入時期を2006年度の第2四半期末を目標とすることが示された。
提示されたスケジュールは、NTTドコモ・KDDI・ボーダフォン・ツーカーセルラー東京の4社が協議して得られたもの。それによれば、正式な報告書が提出された後に事業者間で、MNPにかかる詳細な仕様が詰められる。ここでは、具体的な運用ルールや事業者間の精算方法など各社の共通する部分が定められる予定。仕様検討はおおよそ6カ月間行なわれ、その後2005年度末までを目標にシステム開発が進められる。
1年以上かかると見込まれるシステム開発だが、ボーダフォン 常務執行役員の五十嵐 善夫氏は「それぞれが独自仕様のネットワークを構築している。さらに近年のモバイルインターネットの普及により、システムが複雑化しており、ネットワーク全体において開発する必要がある」と説明した。
2006年度には、各事業者間の相互接続実験などが行なわれ、その第2四半期末を目標に商用サービスをスタートさせたい考えだ。
ここで各キャリアが気にかけているのは、MNPの性質上どうしても各社が協力していかなければならない一方で、その協力体制が「4社カルテル」のように扱われ、独占禁止法違反に問われるかもしれないという点だ。あくまでもエンドユーザーのために導入されるMNPだが、将来的には携帯電話へ新規参入しようとする事業者や、あるいは既存事業者でもMNPに対応しないケースに対する障壁になる可能性がある。強制力を持つ法的な規制ではなく、基本的に事業者の自主判断に任せようとする報告書案に対して、NTTドコモ 取締役経営企画部長の辻村 清行氏は「総務省と公正取引委員会での話し合いはどうなっているのか。報告書には、(事業者が安心してMNP導入へ動けるように)国が必要な規則を改定することもあり得るという内容にして欲しい」と提案した。
これに対して総務省側からは、「たとえば料金については、各社が個別に決めれば問題ないということで、公正取引委員会と話が進んでいる。つまり4社が相談して価格を決めてはいけないということ。またMNPを導入しない事業者に対しては、A社がMNPをやらないのであれば、C社あるいはD社とMNPを提供しているB社がA社に対してMNP非対応にすることは問題ない。結果的にA社が他社全てとMNPの相互接続ができなくなることもあるだろう。料金同様に各社が談合してA社を拒否することは違反になる」という見解が示された。また規則改定に関する文言に関しても報告書に盛り込むことになった。
なお、報告書案では「全事業者が同時にMNPを実現することが望ましい」とされているが、これについても「A社は他社から移行してきたユーザーの電話番号はMNP対応としているが、A社から離れようとするユーザーにはMNP非対応」という事態を招かないように「全事業者が同時に双方向でMNPを実現することが望ましい」という文言に変更するような提案もあった。
これまでの議論を反映した報告書案は、近日公開され、一般からパブリックコメントが4月1日より3週間程度募集される予定。それを踏まえて次回の研究会で最終的な結論が出る見込みだ。
■ URL
総務省
http://www.soumu.go.jp/
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
KDDI
http://www.kddi.com/
ボーダフォン
http://www.vodafone.jp/
ツーカーグループ
http://www.tu-ka.co.jp/
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・ 総務省の研究会報告書案、「番号ポータビリティは導入」に
(関口 聖)
2004/03/30 13:56
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