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KDDI小野寺社長、「目標は累積シェア30%」

 KDDIの小野寺正社長は17日、社長定例会見を行ない、auの加入者数で5カ月連続で純増数がトップになったことなどについてコメントした。


ドコモの50%を超えるシェアは異常

小野寺社長

KDDI
小野寺正社長
 小野寺氏は「(5カ月連続のトップでも)まだ十分ではない。これまでauがさぼりすぎただけの話。累積シェアでドコモが50%以上のシェアを持っていることが異常であり、この異常事態を解消しなくてはならない。当社が目指す30%のシェアに早く到達するよう努力する」と、数値の好調ぶりとは裏腹に、依然として手綱を緩めない厳しい姿勢を示した。

 同氏は、「3社以上がしのぎを削っている市場で、1社が50%以上のシェアを持っているのは日本と韓国だけ。その他の国や地域では、僅差で複数のオペレータが競い合っている。日本においては、これまでのauの努力が足りないか、ドコモが優位な状況が続いたかのどちらかだ。累積で30%のシェアを獲得するには、まだ5年以上かかるが、この異常な環境を早く解消したい」と語る。

 現在、auが高い人気を獲得している要因として、特徴的な端末機種が豊富に揃っていることを挙げ、「ドコモは、キャリア自身が端末の機能などを要求しているが、当社の場合は製造メーカーが特徴を出しやすいような環境にしており、その結果、特徴的な機能をもった端末が多いことにつながっている」とした。


定額制の値引き競争はさほど激化しない

 また、ドコモのFOMAによる定額制サービスの報道に関しては、「3,900円という料金が正しいのか、いつから、どういう仕組みで導入するのか、といった情報がないため、コメントは難しい」として明言は避けたものの、「定額制の値引き競争はお互いに痛い目にあうのはわかっているはず。それほど激化はしないだろう。1X WINは、パケット通信に特化したサービスとしてシステムを構築したことで定額制を実現できた。1Xのサービスとシステムを一緒にしてしまうとスピード、コストともに影響が出る。当社が定額制を開始した背景には、コンテンツプロバイダから、着うたや着ムービーのような容量が大きなコンテンツの導入が既存のサービス形態では難しいという声をいただき、こうした意欲を持ったコンテンツプロバイダーのために定額制を導入した点がある。auでは、パーソナルゲートウェイという考え方を目指しており、将来的にはFeliCaを搭載するといった、さまざまなサービスが予定されている。そうなると定額制は必須条件。その上に乗るプレミアムサービスで収益を得る構造を考えている」と、auにおける定額制に対する姿勢について、時間を割いて説明した。

 なお、1X WINの加入者数については、「年度が閉まった時点で具体的な数値を発表することになるが、2月中旬以降、WINに関する宣伝広告を積極化しており、2月までに比べると加入者数は増加傾向にある」と、加入者数が増加傾向にあることを匂わせた。


4月頃にKDDIとして固定発携帯着のサービス

 4月からスタートするNTT東西の固定発携帯着の通話サービスに関しては、「競争上、やらないというわけにはいかない。4月頃からやっていくことになる。だが、auの固定発携帯着の料金を変更する予定はない」とした。

 同様に4月から開始される改正電気通信事業法の施行によって契約約款が変更、法令上、解禁となる相対取引に関しては、「頭が痛い問題」と前置きし、「当社の事業は極めて公共性の高い事業だと思っており、特定のユーザーに対して極端な価格を提示するのはよくないと考えている。いま、社内ではこれ以下の条件の入札はやめるといったルールづくりを進めている。そうしなければ、収益性の悪い法人向けの営業が、ますます収益性が悪化することになる」と語った。

 一部報道が先行した固定電話事業の分社化については、「正確には固定電話事業の分社ではなく、固定電話の法人向け営業部門における分離の可能性を検討している」と報道内容を修正し、「法人向け営業部門の採算性が悪く、ひとつの柱として回復させるには、より一層の効率化とサービスグレードを向上させる必要がある。そのための分離を検討している段階で、労働組合にも条件などの提示が終わったところ」としている。

 また、同氏はモバイル関連の法人向けソリューション事業を今後加速したいとしており、「営業部門は固定系の売りやすいサービスを優先する傾向があったことも影響し、これまではauに関するソリューションの開発がおろそかだった反省がある。モバイルソリューション事業部を設置したことによって、これが解決されるだろう」として、新年度以降、法人向けのモバイルソリューション事業へのテコ入れを進める考えを示した。

 今回の会見では、昨今の個人情報漏洩に関しても言及しており、「当社も合併直後に代理店から個人情報が漏洩したという経緯があったが、その直後に私自身がトップとなり、個人情報保護委員会を設置し、社内の体制を強化してきた。セキュリティへの取り組みはいくらやっても足りないことだといえる。だが、今回、もう一度見直しをかけており、結果によっては、もう少し手を加えなくてはいけないことがあるかもしれない。情報漏洩には2種類の観点がある。ひとつはネットワーク経由の攻撃に対してどうするかという点。これはほぼ問題がないだろう。もうひとつは内部から流出するという問題。これは、制度、仕組みに加えて、モラルが大きい。個人情報管理に関する研修などを行ないKDDIフィロソフィーとして規定をしているが、これは引き続き徹底的にやる必要がある。渋谷のデータセンターでは、ISMS(インフォメーション・セキュリティ・マネジメント・システム)の認証をとったが、この仕組みを全社に展開したい」と話した。



URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(大河原克行)
2004/03/17 16:39

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