NTTドコモのiモード端末に、ソニーの非接触ICカード「FeliCa」を搭載することによって、さまざまな企業が参加するフィールド実験「iモードFeliCaプレビューサービス」が12月17日よりスタートする。
これに先立ち、15日に行なわれた記者会見では、報道関係者向けに参加企業のうち12社からデモンストレーションが披露された。こちらでは、各社が提供するサービスの概要をご紹介する。なお、FeliCa搭載端末は、データの読み書きが行なえるようにリーダーライター機能を備えているが、端末同士を触れさせてデータを移動するというような使い方はできない。これは、FeliCa内のデータは、誰が利用し、どの程度所有しているのか把握するためとのこと。
注目度が高いと思われるJR東日本のサービスは、「モバイルSuica」という名称で2004年2月より同社関係者によって試験が実施される。
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今回、初登場となった「N504iC」
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キー側底部に「FeliCa」のロゴが刻まれている。サービス利用時は、こちら側をかざすことになる
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■ ビットワレット、電子マネーサービスを提供
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専用端末を利用して現金から電子マネーをチャージ
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コンビニエンスストアなどで利用できる電子マネー「Edy」を提供しているビットワレットは、今回の「iモードFeliCaプレビューサービス」においてもEdyブランドによる電子マネーサービスを提供する。開始時期は2004年1月の予定。同社では特にモニターは募集せず、「iモードFeliCaプレビューサービス」に参加する他社が募集するモニターの利用を想定している。
現金を店頭の専用端末に入れて、FeliCa搭載端末にその分だけ電子マネーがチャージされ、食料品などを購入する際の決済に利用できるというもの。同サービスを利用する際に必要なiアプリでは、電子マネーの残額確認や使用履歴の確認などが可能。また店頭の専用端末だけではなく、ネットワーク経由でのチャージも可能となっており、クレジットカードで「Edyを5,000円分購入する」という手続きになる。従って、初めてネットワーク経由のチャージを利用する際にクレジットカード情報を登録する必要がある。
電子マネーが必要な他社サービスに多く対応しており、FeliCa対応端末においては必須のサービスとなりそうだ。
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利用時の画面イメージ
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オンライン経由でのチャージも可能
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Edyに対応していないPOSレジにはリーダーライナーなどを提供
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■ 紙面ショッピングにフォーカスするソニーファイナンス
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「Mobile-eLIO」のサービス概要
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サービスの具体的なイメージ
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ソニーファイナンスインターナショナルは、クレジットカードサービス「Mobile-eLIO(モバイルエリオ)」を2004年2月より開始する。モニターは、12月25日より募集開始され、応募資格は同社のeLIOカード会員。
同社では、既存のFeliCaカードを利用したオンラインショッピング専用クレジットカードサービス「eLIO」を提供している。今回は、FeliCa搭載端末で同サービスが利用できるサービス「Mobile-eLIO」が提供されることになる。
「eLIO」では、ショッピングするたびにクレジットカード番号を入力する必要はなく、その都度FeliCaカードを手持ちのリーダーライター「パソリ」にかざして、eLIOのID番号をネットワーク経由でやり取りすることになる。クレジットカード番号そのものがインターネット上に流れることがないため、高い安全性を確保できるというのが特長だ。
「Mobile-eLIO」の利用シーンとしては、雑誌などで紹介される衣料品や家電などさまざまな商品に対して個別のQRコードが発行され、携帯電話のカメラで撮影するだけで購入直前の画面にアクセスして、より手軽に決済できることが想定される。今回のプレビューサービスでは、「SO504iC」がカメラを搭載していないため、商品に対しては個別の数字「Meコード」が割り当てられ、その数字を入力するだけで購入直前の画面にアクセスすることになる。
決済システムだけではなく、商品販売のソリューションという形での提供が予定されており、実際に商品を販売する企業としてJ-WAVEやジャパネットたかた、全日空、ヨドバシカメラなどから、「Mobile-eLIO」対応の商品提供が行なわれる予定だ。このほか、「Edy」向けの電子マネーチャージにも対応しており、「Mobile-eLIO」でEdyを購入して電子マネー決済というスタイルでの利用も想定されている。
■ 電子マネー決済に対応するam/pmとセガ
am/pmは、かねてよりEdyに対応しており、現在でも専用カードによる電子マネー決済が可能。今回は、FeliCa搭載端末でもam/pmで販売されるさまざまな商品が購入できるようになるが、さらに会員システムが組み込まれているという。am/pmのEdy会員サービス「club ap」に、仮パスワードなしで従来より手軽に入会できるようになるほか、500円以上購入すると着信メロディをダウンロードできるというゲームが楽しめる。将来的にはクーポンサービスの提供も検討されている。同社のプレビューサービスは2004年2月に開始される。
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am/pmのサービスイメージ
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コンビニという身近な存在でのサービスは、頻繁に利用できるかもしれない
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セガからは、FeliCa搭載端末の電子マネー(Edy)で、アミューズメント施設に設置されたさまざまなゲームが楽しめるようなプレビューサービスが2004年2月より提供される。東京・大崎の同社直営店舗「クラブ セガ 大崎」にあるすべてのゲーム機にFeliCa対応のリーダーライターが設置され、携帯電話をかざすだけでプレイ可能となる。プレイする度にポイントが貯まり、一定ポイントでゲームができるようなサービスも予定されており、ポイントと電子マネーのどちらを利用するか選択できるという。いわゆるコインゲームでは、各筐体でコインを購入するのではなく、コインを入手できる専用端末にFeliCa搭載端末をかざすようになる。
セガでは、大崎での実証実験を踏まえて別店舗でも同様のサービスを展開する構え。またiモード向けゲーム配信サイトとの連携も検討していくという。
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ゲーム筐体にFeliCaのリーダーライターが設置される
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貯まったポイントはゲームプレイに利用できるほか、同社主催のゲーム大会でも利用できるように
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■ 独自の電子マネーでCmodeを促進する日本コカ・コーラ
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Edyではなく、Cmodeだけの電子マネー機能を利用することになる
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iモード端末の赤外線通信などで飲料水を購入できる自販機「Cmode(シーモ)」を展開する日本コカ・コーラでは、FeliCaリーダーライター搭載のCmodeを伊藤忠テクノサイエンス内に1台設置してプレビューサービスを実施する。期間は2004年1月~同年夏頃に予定されており、モニターは伊藤忠テクノサイエンス社員から選ばれる。
FeliCa対応のCmodeで、実際に飲料水を購入する際は、まず商品を選んでボタンを押してから携帯電話をかざすことになる。選ぶ前にかざすと、端末内の電子マネー残高が表示される。なお、ここで利用される電子マネーはEdyではなく、同社オリジナルの電子マネー。同社では今後、オリジナル電子マネーが普及するように他社との交渉を行なっていく。
■ 全日空、三共システム工房、ぴあは電子チケット対応
全日空では、iモードなどで予約した国際線チケットのチェックインをFeliCa搭載端末で行なえるサービスを2004年2月より成田空港で実施する。試験端末は、同社社員から200名に貸与される。
同社のプレビューサービスでは、iモードで予約したチケットを空港に設置されたFeliCa対応端末に携帯電話をかざすだけでチェックイン手続きが可能になるというもの。携帯電話をかざしてから専用端末にパスポートを挿入するだけで搭乗チケットが発券されるという。国際線での提供となったのは、「手続きにやや時間がかかる国際線で、より迅速にチェックインできるようにするため」(担当者)とのことで、ノウハウが蓄積され、準備が整えば国内線においても同様のサービスを提供していく姿勢だ。
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まずは成田空港 国際線でサービス提供
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かざすだけでチェックイン手続きが行なわれる
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三共システム工房は、全国のバス事業者94社と協力して高速バスの予約サイト「発車オーライネット」を運営。同サイト内で予約したバスチケットをダウンロードしておき、乗車チケットとしてFeliCa搭載端末が用いられるというプレビューサービスが2004年3月中旬より提供される。
実際に利用できる路線は、富士急行およびJRバス関東運営の「東京-河口湖」間の便と西武バス運営の「所沢-羽田空港」の一部バス。チケット購入は、クレジットカードを利用するが、FeliCa内のアプリケーションではなくブラウザでサイトにアクセスしてカード番号を入力し、購入後にチケットのデータが専用iアプリに渡される仕組みとなっている。
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三共システム工房では、3社運営の2路線で電子チケットサービスに対応する
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乗車する際にかざすだけ。バスには、パソコンではなくリーダーライターとPDAのような機器が用意される見込み
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チケット販売ではなく、ダウンロードしたチケットの入退場システムに活用される
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このほか、ぴあでは、コンサートや映画の入場チケットをFeliCa搭載端末内で処理するというサービスを2004年2月より提供する。モニターは、同社の「PIAカード」を所有し、首都圏に居住する一般ユーザーから募集し、約200名にFeliCa搭載端末が渡される。
実際にFeliCa搭載端末でチケットを購入できるというわけではなく、試写会などのチケットを配信して、イベント会場の入場の際に携帯電話をかざすという内容になるという。
■ 複数店舗の会員証を1つにするSo-net、自社会員向けサービスの第一興商
ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)は、ユーザーが普段利用する飲食店など複数の店舗発行の会員証やポイントカードなどを1つのiアプリで扱えるサービス「m-Point」を2004年3月より提供する。サービスは、御殿山ヒルズおよび大崎ゲートシティで行なわれ、同社およびソニー社員から100名がモニターとして参加する。
「m-Point」で用いられるiアプリには、各店舗のポイントカード情報が格納され、各店舗ごとにクーポンなどの特典として活用できるという。iアプリでは貯まったポイントの確認といった機能が用意されるが、店舗間でポイントが共通化されることはないという。
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m-Pointのサービス概要
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複数店舗の情報をFeliCaに格納し、1つのiアプリで管理できる
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カラオケサービス「DAM」を提供している第一興商では、自社サービスの会員証をFeliCa搭載端末で扱えるようにするサービスを提供する。好みのカラオケ曲など事前に登録しておいた情報をカラオケ店舗で利用できるほか、今後はリモコンアプリと何らかの連携をはかっていきたいという。
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第一興商のサービス概要
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カラオケ店舗には、専用のリーダーライターが用意される
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■ 国内信販はマンションのドア鍵機能、JCBは法人向けソリューション
国内信販は、新築マンションの各部屋のドアにFeliCaのリーダーライター機能を備え、FeliCa搭載端末で鍵の開閉が可能になるというソリューションを提供する。第1弾として、2004年2月に入居が開始されるという早川不動産(福岡市)の新築マンション(12戸)に備え付けられ、入居者がモニターとして参加することになる。
ドアのリーダーライターには、「押す」と記されたボタンがあり、押してから携帯電話をかざすとロックが開閉するという仕組み。電池がバッテリーとして採用されており、停電の際にも開閉が可能。なお、同システムは2004年10月完成予定のマンション(福岡市内)にも導入されるほか、今後は首都圏の新築マンションに対しても働きかけていくという。
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国内信販のサービスは、マンション向けのドアロックとユニークだ
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ボタンを押してから、携帯電話をかざすと鍵が開閉する
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クレジットカードを手掛けるJCBは、クレジットカード決済ではなく、社内食堂の決済や社内への入退室を管理するソリューション「モバイルOffica(オフィカ)」を12月17日より自社内で運用する。モニターには同社社員100名が参加し、社内食堂や自動販売機の支払い、あるいは室内への入退場がFeliCa搭載端末で行なえるという。支払いは、クレジットカードとしてのアプリケーションが利用されており、残高確認や毎月の利用金額の確認、使用履歴の確認が可能。なお、Edyで確認できる使用履歴は金額および使用日までだが、こちらではどの店舗、あるいはどの自販機で購入したかも確認できるようになっているという。
同社では2004年7月まで実証実験を実施。他社へ提供する際には勤怠管理やネットワーク認証といった機能を個別のニーズにあわせて提供していくという。
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JCBのサービスは、決済や社内への入退場を一括管理できる
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かざすだけでドアが開く。ニーズにあわせて勤怠管理ソリューションなども提供する構えだ
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■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
■ 関連記事
・ ドコモ、FeliCa搭載携帯を使ったフィールド実験開始
(関口 聖)
2003/12/15 21:05
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