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【WORLD PC EXPO 2001】
パネルディスカッション「第3世代サービスへの展望と課題」

 カンファレンスの後半からは、コーディネーターの井出一仁氏が進行役を務め、NTTドコモの夏野剛氏、KDDIの冲中秀夫氏、J-フォンのピーター・バリー氏、ノキアのナイジェル・ランドストローム氏、ACCESSの荒川亨氏によるパネルディスカッションが展開された。テーマは、実際的な3Gサービスの展開、2Gから3Gへの移行時における互換性、画像通信(動画配信)、端末のインフラや安定性など。議論というよりは、各社それぞれのコメントが求められる進行となった。


左から、ACCESSの荒川亨氏、NTTドコモの夏野剛氏、KDDIの冲中秀夫氏、J-フォンのピーター・バリー氏、ノキアのナイジェル・ランドストローム氏

3Gサービスの展望について

 「間もなく10月1日からFOMAの本サービスが開始となるが、ドコモ、au、J-フォンの各社ともに、サービス開始時期が当初の予定から遅れをとることとなり、ユーザーサイドには今だ不透明感が拭えないのではないか?」という質問に対し、ドコモの夏野氏は、「ユーザーはお金を払って端末を購入するわけで、当然10月1日からはそれなりに使えるサービスになっている」と力強くコメントした。KDDIの冲中氏は、「インフラの調整と試験を済ませるには、来年4月までの期間が必要」とし、来年6月に試験サービスを開始する予定のJ-フォンは「確かなものを提供するのが先決。そのためには、時間を要する」とナイジェル・ランドストローム氏。


2Gから3Gへの移行における互換性について

 「現行の2Gから3Gへの移行では、具体的な互換性はどうなるのか、デュアル端末などの投入はあるのか?」という質問に対し、ドコモは、「2GとFOMAのデュアル端末についてはマーケットニーズの問題で、ニーズが高ければ考える必要がある」。KDDIは、「CDMA2000 1xの普及期間は1年~1年半程度の期間が予想されるが、CDMA2000 1xはcdmaOneの機能を内包しているので大丈夫」。J-フォンは、「ドコモと同様に検討課題」であるとし、メーカーサイドのノキアは、「市場が成熟すれば技術的にはシングルでもデュアルモードでも可能だが、ただしデュアル端末の需要がどの程度の期間あるかが問題で、ニーズが少なければ当然単価が高くなるのが問題」であるとコメントした。

 また、現行端末とWAP2.0採用の端末間におけるコンテンツの互換性として、今冬までに実際に市場へ投入予定のKDDIとしては、「WML、X-HTML、HDMLのいずれも対応し、従来コンテンツも見れるのが前提で、メーカーごとの独自性も排除したい」、ACCESSは、「どのキャリアの端末でも使えるように」との意向を示した。今後対応を検討しているドコモは、「異なるデバイスで統一してコンテンツを提供できるというのが、WAP2.0の主眼」であると語った。

 ここで、ボーダフォンとの関係強化が深まるJ-フォンへ「3Dポリゴンなどをいち早く搭載したJ-フォンのJavaコンテンツなどを、世界中のボーダフォンから海外へ持ち出す展開があるか?」という問いに対し、ピーター・バリー氏は、「J-フォンのコンテンツ市場におけるリーダーシップは活用したいが、それに限らずあらゆるプラットフォームを統合して展開するつもり」であることを明らかにした。また、iモードコンテンツの世界進出について、夏野氏は「それはドコモが掌握しているのではなく、コンテンツプロバイダーのやることで、ドコモはそのための魅力的なプラットフォームを整え、IPに提供して技術的な支援はする」と話した。


3Gでの動画通信について

 「FOMAで実際に動画配信が行なわれるのは来年に延期されたが、ビジュアルタイプの端末では双方向のテレビ電話が間もなく利用できる。こうした画像の配信について、KDDIやJ-フォンでは実際にどのような展開になるのか?」というテーマについて、KDDIは、「過去の経験や、安定性のある一定速度を維持して提供するのは難しいことから、テレビ電話的なものは現在具体的に検討していない」という。J-フォンでは、「現在すでにJavaの3Dコンテンツで、擬似的なアニメ画像を提供しており、技術的には可能だが、本当に双方向的な動画が必要か、それが問題だ」とコメントした。


3G端末とその安定性について

 次世代端末ではBluetoothなどの採用も考えられるが、そうした新しい技術の搭載についてノキアでは、「今後さまざまな技術の出現で、端末はハイブリットな形となり、中身にはいろんな技術が混在するだろう。Bluetoothも魅力的だが、何が採用され、残るかは、ダーウィンの法則で、ユーザーが望むものが強者な技術となるだろう」。ACCESSは、「最も汎用的なのはパソコンで、ケータイはその対極にあるが、最終的に目指すのは、いつでもどこでも、どの端末でも同じサービスが利用できる、ユビキダス化だろう」と回答した。

 また、「現行端末においても生産が供給に追いつかず、不完全なままで市場投入に至り、不具合が発生するケースも多く見られるが、3Gではさらなる回収が心配される。この対策として、パソコンのようにソフトのパッチを端末にダウンロードすることで回避することは可能か?」という話題になった。ACCESSでは、「BSデジタルではすでに類似的なことをやっており、それはケータイでも可能だが、ただし通信となるとセキュリティの面が懸念される」。夏野氏は、「実際問題では、パッチをあてればすべてが解決するわけではない。また、一般のコンシューマーがそうした工程を本当に理解して行なえるかが問題だ」とした。

 このほかパネルディスカッションでは、「ある特定の場所で、その位置や業態に特化したコンテンツを提供する“ホットスポット”サービスが、3Gの競合になり得るか?」というテーマも用意されていたが、終了時間が迫っていた都合で具体的な議論は割愛された。


・ WORLD PC EXPO
  http://www.wpc-bp.com/

パネルディスカッションで発表された各社の最新動向と取り組み


(松下 麻利)
2001/09/25 11:52

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