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【MediaFLO Day 2007】
LG製のMediaFLO対応端末「VX9400」を試す
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今回のMediaFLO Dayは商用化後ということで、短い期間ながら対応端末を借りて試してみる機会を得た。借りられたのは、ベライゾン・ワイヤレスが販売しているLG製の「VX9400」だ。日本のワンセグと比較しながら、簡単なレビューをお届けしよう。
■ テレビを意識したデザイン
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LG製の「VX9400」。ディスプレイを回転させられる
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まずは簡単に端末のスペックを紹介しておこう。VX9400の大きさは102×49×18mm、重さは115g。サイズ感としては、日本のワンセグ端末よりもわずかにコンパクトな印象で、auのW51CAと比べてみると、正面から見たときの表面積は変わらないが、やや薄いことが分かる。BlackBerryのような特殊な端末を除けばコンパクトな端末が多い米国市場の中では、やや大きめのサイズと言えるだろう。
VX9400は、形状にも特色があり、シャープのAQUOSケータイのように、ディスプレイを回転させ、横長の画面でMediaFLO(V CAST Mobile TV)などのサービスを楽しめるようになっている。ディスプレイを回転させると、その下からテンキーが現われるという仕様なので、メール入力などの操作は横画面で行なうことになる。カーソルキーとテンキーの位置関係が入れ替わっているため、操作に慣れるには多少時間がかかるだろう。
ディスプレイは2.2インチ、320×240ドット、26万色表示のTFT液晶。このほか、主な機能としては、メガピクセルカメラ、Bluetooth、MP3プレーヤー、GPSナビといった機能をサポートしており、microSDカードスロットも装備している。SIMカードには対応していない。
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閉じた状態では、テンキーが隠れる
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W51CA(右)と並べて比べてみたところ。アンテナはVX9400のほうが長い
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■ ワンセグ同様にクリアな映像
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ニュース番組を見たところ。テロップなども無理なく読み取れる
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実際にVX9400を使ってV CAST Mobile TVを試してみたが、きちんと放送波が届いているところであれば、日本のワンセグ同様、非常にクリアな映像でテレビ番組を楽しめる。バスに乗って高速道路を走ってみたが、特に映像が大きく乱れることもない。
ワンセグのような字幕サービスは提供されていないが、画面に表示されるテロップなどの文字は問題なく読み取れる。そこは英語と日本語の文字の判読率の差も影響しているだろう。
ちなみに、今回は対応エリアとなったばかりのロサンゼルスで試したが、宿泊していたダウンタウンのホテルでは、なぜか放送波の入りが悪かった。後で確認したところ、ロサンゼルスには5カ所に電波塔が設置されているとのことだが、ダウンタウン地区はMediaFLOが使用している700MHz帯の周辺帯域を使った放送がまだ残っており、干渉を避けるために出力を下げているのだという。ホテルから数分歩いたところにあるレストランでは問題なく視聴できていたので、運が悪かったのかもしれない。
チャンネルは全部で8チャンネル用意されており、番組表サービスも利用可能だ。ワンセグ端末の場合、テンキーにそれぞれチャンネルが割り当てられており、テレビのリモコンのように操作できるが、VX9400では視聴中、テンキーは全く反応しない。また、端末としてはmicroSDカードスロットを装備しているが、番組を録画することはできない。
視聴中にメールの着信があった場合はその旨が通知されるので、視聴を一旦停止し、アプリケーションを切り替えてメールを読み書きすることになる。この点はauのワンセグ端末と同様で、BREWをプラットフォームとするテレビ端末の課題が見え隠れする。
使っていて驚くのは、チャンネル切り替えの速さだ。ワンセグにしても、家庭の地上デジタルテレビにしてもそうだが、チャンネル切り替えの際にもたついてしまうのは、デコード処理を行なう必要があるデジタル放送の悩みだ。もちろん、アナログ放送のチャンネル切り替えには敵わないが、MediaFLOでは2秒かからないように設計されているので、その際のストレスはだいぶ緩和される。
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TVボタンを押して最初に表われるのは番組表の画面
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表示エリアは狭くなるが、閉じた状態でも視聴できる
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■ 普及への課題
商用サービスが開始されたばかりなので、MediaFLOの普及はまだまだこれからなのだろう。
ユーザビリティを考えると、テレビを見ながらメールを読み書きしたり、ウェブサイトをチェックしたりできるようなマルチタスク機能の実現も必要だろう。米国では、Bluetoothヘッドセットが普通に利用されており、テレビを見ながら通話したい、という欲求も出てくるのではないだろうか。
また、ワンセグは(今のところ)全て無料で視聴できるが、V CAST Mobile TVは視聴にあたって月額料金を支払う必要がある。この点は、やや普及の障害になってしまうかもしれない。もっとも、とりあえず対応させてみたはいいものの、ビジネスモデルが全く描ききれていない日本のワンセグとは異なり、普及させることで通信事業者が儲かる仕組みがきちんとできているところは注目に値する。
筆者がMediaFLO Dayの参加者とレストランで食事をしながらVX9400を操作していたところ、テーブルを担当してくれたウエイトレスが我々に興味深そうに話しかけてきた。彼女は映像の美しさに痛く感動した様子で、仕舞いには「1台置いて行ってくれないかしら」と冗談を飛ばしていた。やはり、テレビという機能の分かりやすさは、メールやウェブの比ではない。
エリアが整備され、対応端末の数が揃い、さらに「Clipcasting」や「Datacasting」のような既存の放送やケータイコンテンツには無いメリットをアピールできるようになれば、皆が普通にMediaFLOを使うようになるのかもしれない。
■ URL
ニュースリリース(英文)
http://news.vzw.com/news/2007/01/pr2007-01-07.html
V CAST Mobile TVのサービス概要(英文)
http://getitnow.vzwshop.com/index.aspx?id=mobileTV&lid=//global//features+and+downloads//mobileTV
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(湯野 康隆)
2007/04/26 23:01
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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