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【WPC EXPO 2005】
KDDI渡辺氏、ウルトラ3G構想を解説
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KDDI au技術本部 ワイヤレスブロードバンド開発部長の渡辺 文夫氏
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「WPC EXPO 2005」3日目となる28日、KDDI au技術本部 ワイヤレスブロードバンド開発部長の渡辺 文夫氏が登壇し、「KDDIのウルトラ3G構想」と題した講演を行なった。
渡辺氏は講演の中で、加入者数の推移などauサービスの現状や、着うたなどの成功例を紹介したほか、現在のEV-DO Rev.0の拡張版となるEV-DO Rev.A、およびRev.Aを基本としたウルトラ3G構想の解説を行なった。ウルトラ3G構想の解説では、基本的な取組み方から、対応するワイヤレスブロードバンドサービスの解説、固定網との技術的な連携、技術的観点から可能なサービス例などが多くの時間を割いて紹介された。
■ パケット定額の成功、サービスとの連携がカギに
同氏はまず、現在のauサービスにおいて94%が3Gに移行していると紹介した上で「次世代サービスで大事なのは、ビットあたりのコストが下がるかどうか。高速通信でもコストが下がっていなければ意味がない」と述べ、基本的な3Gサービス、次世代サービスへの考え方を示すとともに、「WINではコストを下げることができ、パケット定額制も導入できた。既存ヘビーユーザーからの収入は減るが、他社ヘビーユーザーの流入が起きた。また定額制への安心感から一般的な既存ユーザーからの収入が増えた。減収、増収をコントロールできればこのビジネスは成功する。幸いARPUは上がっており、まずまずうまくいっている」と述べ、成功事例として着うたのサービスを紹介した。「3Gサービスでは、我々だけではうまくいかないというのをひしひしと感じている。着うたでは著作権管理とセキュアさを理解していただき、最近ではCD発売前のプロモーションにも利用していただいている」と述べ、インフラとともにサービスがうまく連携することが重要とした。
■ ウルトラ3Gとはアクセス方法に依存しない形態
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ウルトラ3Gの目指す世界
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今後の施策としてEV-DOの機能拡張に話を移した同氏は、次に投入される技術として「EV-DO Rev.A」を紹介。「アップロードの強化と、IPテレビ電話などのリアルタイムマルチメディアをがっちり入れる。マルチキャストなども技術的にはできており、そう遠くない時期に開始できる」などとしたほか、Rev.Aはウルトラ3G構想の基本的な構想をなすものであるともした。
KDDIの「ウルトラ3G」構想とは、6月の定例記者会見で明らかにされた同社の次世代サービス構想で、固定・移動体通信網の統合を掲げ、さまざまなアクセス手段に対応できるIPベースのインフラを整備するというもの。
渡辺氏はまず、ウルトラ3G構想について「移動、固定をユーザーに意識させないものをウルトラ3Gと表現している。新しいエアインターフェイスを表現しているわけではない」とし、世代的にはビヨンド3Gとしながらも、狭い意味での4Gといった呼び方とは違う考えに基づいた呼称であることを示した。
ウルトラ3Gの基本的な特徴として「さまざまなアクセス(通信方式、回線)でも併用できるようにしようというもので、オールIPでバックボーンを作り、サービスはIMS標準のものを構築する」とした同氏は、「それぞれのアクセスが相互補完する充実したサービスエリアが提供できる」と述べて、「アクセス方法に依存しない形態」が基本的な考え方とした。
ウルトラ3Gの技術的な項目では、携帯電話からのアクセスとしてEV-DO Rev.B(NxEV-DO)や、次世代のCDMA2000を、固定からのアクセスではFTTHやIEEE802.11nを挙げたほか、その中間に位置するとするワイヤレスブロードバンドとしてWiMAX(IEEE802.16e)を紹介。ただし、「WiMAXもウルトラ3Gの一要素に過ぎない」と述べて、「1,000万単位のユーザーに東京23区だけのサービス、というわけにはいかない。エリアの問題や、シームレスに連携したサービスが重要」との考えを示した。
ウルトラ3Gまでは「長い道のりになる」とする同氏は、「全体として、IP化は固定から始まる。移動・固定通信網を区別無く構築し、より詳細な加入者情報も一元管理することで、いろいろなサービスが可能になる」と述べ、2008年3月末までに「いわゆるレガシーな交換機は全廃する」などの同社の固定IP化への取組みを紹介。また、移動通信網においてもIPv6を導入し、対応端末を用意することで移動体における常時接続への可能性にも言及した。
固定・移動の通信網が統合された結果可能になるサービスの例としては、「技術的な話で、サービスとして魅力的がどうかは別」と前置きしながら、携帯電話でコミュニケーションをとる2人を例に紹介。バスの中でテレビ電話を受けながら返事はテキストで行なう「非対称サービス」や、バスから降り、音声通話に切り換える「セッションを維持したままの切り換え」、家に着いたらテレビ電話の画像だけをテレビに表示させる「異種メディア混合サービス」などが紹介された。
■ シームレスな移行を重視
同氏は過去の経験や成功から、通信方式の移行についてもシームレスな連携が重要であるとする。「移動体におていはエリアこそが商品価値。バックワードコンパチブルで移行する“オーバーレイ”のアプローチを今後も続けていく。サービスも有機的に連携できるかどうかが重要」と同社の通信サービスへの姿勢を改めて強調。「ウルトラ3Gは、世代交代や狭い意味の4Gとか言っているのではない。待つ必要はない」として、時代に応じてサービスに最適な技術を取り込める基盤を構築するのが、ウルトラ3Gの本質であるとした。
■ URL
WPC EXPO 2005
http://expo.nikkeibp.co.jp/wpc/
KDDI
http://www.kddi.com/
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(太田 亮三)
2005/10/28 19:46
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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