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【WIRELESS JAPAN 2005】
InnoPath、ソフトウェアアップデートなどをデモ
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日本法人社長の松田芳明氏とマーケティング兼ビジネス開発担当上級副社長のデイビッド・シム・スミス氏
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InnoPath Softwareのブースでは、NTTドコモやauに採用されているソフトウェアアップデートソリューションや、今後展開予定のユーザーインターフェイス設計プラットフォームをデモしていた。
後者のユーザーインターフェイス設計プラットフォームはアクロディアからライセンスを受けて提供するもの。オーサリングツールを使えば、モジュールを組み合わせるだけでユーザーインターフェイスを構築できるため、メーカー側の開発工程を削減するという。また、メニューやアイコン、壁紙などをパッケージ化して一括で外観を変更できるようになるため、ユーザー側にも簡単にカスタマイズを楽しめるようになる。今後InnoPathでは、このソリューションに用いられている国際標準化団体へ持ち寄ることも検討されている。日本で対応製品が出るのも「さほど遠くない」としている。
前者のソフトウェアアップデートソリューションについては、InnoPath 日本法人社長の松田 芳明氏にお話を伺った。
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現在組み込まれているソフトウェアの差分を検出するため、無駄なデータをダウンロードしないような仕組みになっている
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――ユーザーの目には触れにくい部分ですが、まずは製品の概要をお聞かせください。
ソフトウェア更新は、携帯電話の機能は日増しに増え、パソコン並みになっています。もうバグは避けられないので、それをアップデートしていかなければなりません。従来は回収していましたが、これはかなりコストがかかります。そこで、キャリアさんのネットワークを使って、ワイヤレスでアップデートできるシステムを提供しているのです。ただ、パソコンと違うのは端末自体のメモリの容量も少ないですし、大量のパケットをやりとりすると、通信コストも跳ね上がります。できるだけ小さいデータにまとめなければいけない。そこで、我々の技術では現在のシステムから差分を取って、必要な分だけをダウンロードするシステムにしています。キャリアさんからすれば、あまり表だってアピールしたくない部分ですから、我々の名前はあまり表舞台には出てこないんですね。
――現在何機種の対応製品が出荷されていますか?
まず、NTTドコモさんのFOMAでしょう。はじめにNECさん、パナソニックさんと契約を交わし、その後シャープさんにもお使いいただいています。約1年前にはKDDIさんとも契約し、「ケータイアップデート」という機能として導入され、W31TとW32SAに導入されています。KDDIさんに関しては、アップデートサーバーの運用も含めたソリューションをご提供しています。auに端末を提供している東芝、カシオ、日立、三洋、京セラ、ソニー・エリクソン、すべてのメーカーに独占供給することになっています。
――今のケータイは、OSが乱立している状態です。複数の端末間で同じ機能、使い勝手を提供するのはなかなか難しいのでは?
確かに簡単ではないですね。我々の技術はOSやプラットフォームから独立して機能するように設計されています。我々のAPIと、端末メーカーさんのAPIとを付き合わせて機能を実装しているのです。基本的にどんなOSでも対応できるような状況になっています。
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オーサリングツールでUIを設計できるので「プログラマーではなくデザイナーが制作できる」とのこと
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――となると、メーカーさん、もしくはキャリアさんと密接な関わりが必要になる?
そうですね。最終的にアップデートプログラムの配信サーバーとの接続するところまでいくには、キャリアさん、メーカーさんとの調整作業が必要です。一般的に数カ月かかります。
――更新サーバーが混み合ったとき、自動的に空いてる時間にスケジューリングする機能がありますが、これも御社の製品の機能ですか?
そうです。ですが、それだけではありません。今回、KDDIさんの場合も6月30日に発売されて、すぐにバグフィックスが必要になりました。こうした場合、対応する方法は2つあります。ひとつはユーザーが自らアップデートの作業を指示する「プル」する方法。もうひとつはサーバーから「プッシュ」する方法です。前者だとユーザーさんが作業しない限りアップデートできないので、致命的なバグの場合はこの対応では不十分です。そこで、今回のKDDIさんのケースでは、後者のプッシュ方式で、ユーザーさんが意識しない間にアップデートを行なう仕組みで対処しています。プッシュでのアップデートは商用ベースでは世界でも初めてですね。
――プッシュの場合だと、たとえば電池がなくなりそうな場合にアップデートが始まって、途中で電池が切れたら……といった不安もあるわけですが、そのあたりはどうやって管理されているのでしょう?
おっしゃるとおり、ユーザーが自分で取りに来るプルの場合は充電して臨むことが多いですが、プッシュの場合は電池が切れそうな端末、そもそも圏外にいる端末などいろいろなケースが考えられます。そういうのをすべて考慮し、一度失敗してもある程度の時間をおいてリトライするようになっています。回数や時間の間隔は各端末メーカーさんごとに設定されています。
――更新の途中で電源が切れた場合、起動しなくなる、ということはありませんか?
書き換える場合でも、新しいデータに完全に書き換わるまで、元のデータは保持されているので、そこで電源が落ちたとしても起動しなくなることはありません。ダウンロード中に電源が切れても、電源が切れた時点からレジュームする機能もついています。
――こういった機能は国境問わず、ワールドワイドにも展開できると思うのですが、今後の展望はいかがですか。
なぜ弊社が日本市場に注力しているかといいますと、世界でもっとも進んでいる市場だからです。しかも、市場に占める上位機種の占める割合が大きいのです。ソフトのアップデートは高度な端末になればなるほど必要ですから、今後の戦略、というだけでなく、単純な収益面だけを考えても日本でまず地位を確立するのが理にかなっていると思います。ただ、日本だけではなく、もちろんグローバル展開もしています。最近は一番モバイルの分野で遅れていると思われていた米国がにわかに動き始めてきました。Sprint PCSさんとはすでに契約していますし、まだ名前は挙げられませんが、大手キャリアさんとも話し合っています。もうひとつのグローバル展開は、日本の端末の世界進出です。特にiモードアライアンスには期待しています。かなり利益の面でも貢献するのではないかと思います。
――世界でもっともハイエンドな日本市場で培ったビジネスは十分に輸出可能ですか?
そうですね。やはり日本の場合はキャリアさんが求める要求は時間的にも、スペック的にも厳しいですから、ここで成功した経験は必ずグローバルに生きると思います。
――ありがとうございました。
■ URL
米InnoPath Software
http://www.innopath.com/
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(伊藤 大地)
2005/07/15 12:39
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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