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【モバイル マーケティング カンファレンス 2004】
ドコモ夏野氏、「FeliCaは1年半で1,000万人が使う」
各分野のキーパーソンがモバイルマーケティングについて議論した
携帯電話の広告や統合型マーケティングのカンファレンス「モバイル マーケティング カンファレンス 2004」が東京全日空ホテルで開催された。メインイベントとなるリーダーズフォーラムには、パネリストとしてNTTドコモ iモード事業本部iモード企画部長の夏野 剛氏、ディーツーコミュニケーションズ(D2C) 代表取締役社長の藤田 明久氏、日本コカ・コーラ バイスプレジデントの佐藤 真氏らが登場。モデレーターは宣伝会議の田中 里沙氏が担当し、「ライフスタイルに繋がるモバイルマーケティング」と題してモバイル広告・マーケティングおよび、非接触技術などの議論が行なわれた。
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2004年以降は携帯電話は生活インフラに
NTTドコモ iモード事業本部iモード企画部長の夏野 剛氏
まず、ドコモの夏野氏から携帯電話の現状などが語れられた。
同氏は携帯電話の歴史を10年前から振り返って、1994年以前の携帯電話は高嶺の花で、リースやレンタルで提供されていたことを挙げた。夏野氏は、端末をユーザーが購入するようにしたことで普通の生活者が使うようになったと説明、買い上げ制度が成功を及ぼした携帯電話は、それから5年後の1999年、iモードの登場で大きな変化を見せる。夏野氏は、iモードの登場でこれまでの音声通話を中心とした携帯電話の利用方法から、「使うケータイ」へと変化したと述べ、iモードの登場がITインフラを急拡大させたと結んだ。
1994年の通信インフラの拡大、そして1999年のITインフラの普及と、携帯電話業界は5年周期で大きなうねりが来ると言う。夏野氏は「大きなうねりが来る時はコンシューマーのライフスタイルが大きく変わる」と語り、iモードのスタートから5年後となる今年、携帯電話が生活インフラになるとした。
ドコモでは、今夏にも非接触IC搭載のFeliCa携帯電話を投入することを明らかにしている。携帯電話がリアルコマースに本格的に参入することで、夏野氏は「1年半で1,000万人が使うことになるだろう」と語った。これはiモードの拡大の仕方と同じ規模だという。
また、iモードの登場以降、携帯電話のマルチメディア化も大きく進んできた。マルチメディア機能に関して夏野氏は、「これ以上の機能向上にマスが着いてくるのは大変。全部の機能を使いこなせなくなる」としており、今後はマルチメディア機能が主戦場でなくなるとの見解を示した。
1994年、通信インフラ確立
1999年のiモード開始によって、ITインフラが拡大
2004年に携帯電話は生活インフラに
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佐藤氏「コカコーラの新製品で2日間で20万人にリーチ」
携帯広告市場はパソコン広告市場と同じような推移を見せている
続いて、D2Cの藤田氏がモバイル広告市場について語った。
2003年に100億円市場となったモバイル広告市場だが、市場の推移の仕方はほぼパソコン向けの広告市場と同じだという。このことから藤田氏は、今後5年間で現在1,000億円市場となっているパソコン向け広告市場と同程度までにモバイル広告市場が拡大すると予測。むしろ、7,000万以上のユーザーを抱える携帯電話市場は、パソコンよりも早期に1,000億円市場となるのではないかと語った。
また、同氏はモバイル広告の特長を「時間」「空間」「情報」の3つのキーワードで表わし、即時性やターゲットを絞ったマーケティングなどの強みをアピール。ユーザーの生活がIT化するなかで、マーケティングがITに対応する必然性を説いた。
モバイルマーケティングの特長
藤田氏は「携帯電話はユーザーの30cm以内にある非常に近いメディア」と語った
会場では携帯電話を使ったマーケティングの実例を紹介
ターゲットをしぼったマーケティングが可能
日本コカ・コーラ バイスプレジデントの佐藤 真氏
日本コカ・コーラの佐藤氏は、同社が展開するCmodeなどのモバイルの活用事例を紹介した。冒頭で同氏は、飲料メーカーでもっとも大きな問題は天気だと述べた。夏の暑い日に、Cmode会員向けに「コカ・コーラ冷えてます!」のコピーとともに着信メロディプレゼントのメールを送ったところ、通常よりも5割購入者が増えたという。
また、「爽健美茶」のモバイルサイトでは、サイトを閲覧した人の爽健美茶の対するイメージが向上した例を挙げ、ブランドのイメージアップにも有効だとした。アンケートの結果では、爽健美茶のイメージとして「好き」や「親しめる」などの回答を得た。佐藤氏は「メディアとしてユーザーとの親密度が高い携帯電話はブランディングの可能性も高い」とした。
なお、日本コカ・コーラでは、新商品の「コカ・コーラC2」が国内で先行発売されたことを受けて、100万本のサンプリングキャンペーンを実施。携帯サイトでQRコードをダウンロードして、全国1,400台のCmode対応自販機にかざすと、無料で新製品がプレゼントされる。佐藤氏は「昨日から始まり、2日間でQRコードをダウンロードした人が20万人。CmodeでC2を飲んだ人は2万人を超えた」と直近の状況を説明し、2日間で20万人にリーチした携帯マーケティングのおもしろさを語った。同氏は携帯電話のメディアとしての位置づけを「テレビの次に来るメディア。もう何かの補完的なメディアではない」と述べた。
暑い日に販促メールを送信すると購入者数が5割増えた
携帯サイトで爽健美茶のイメージアップ
新製品のモバイルキャンペーンは2日間で20万のリーチを得た
会場ではFeliCaを使ってCmodeのデモンストレーションが行なわれた
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FeliCa携帯電話の有用性を各社がアピール
ディスカッションでは、FeliCa端末がいかにマーケティングに関わってくるかが話し合われた。この中で夏野氏は「赤外線やQRコードがFeliCa携帯登場までの前哨戦だった」と語ってFeliCaの手軽さをアピールした。赤外線通信やQRコードは、送信する際にユーザーが携帯電話を操作する必要があった。この点、FeliCaでは「ダウンロードしてしまえば、使うときに端末をかざすだけで利用できる。じいちゃん、ばあちゃんでも使える」(夏野氏)とのこと。同氏はこのほか、ドコモがサービスを提供するのではなく、iモードが成功したときのように良いインフラを提供することで、結果的にドコモのバリューは小さくなるが生活インフラとしては大きなものになるとの考えを示した。
また、日本コカ・コーラの佐藤氏は、FeliCa対応のCmode自販機について、「実際試してみると、おもしろくて気持ちいい。飲料業界にとって“気持ちいい”はとても大切なこと。全国の100万台の自販機に全部搭載できたらといい」と語った。D2Cの藤田氏も「カッコイイというのは重要。マーケティング的にもセキュアなクーポンが発行できる」と有用性を述べた。
また、飛行機のマイレージサービスなど、高価なもので提供されてきたロイヤリティプログラムが、FeliCa携帯を利用することで安い消費財でも可能になるとした。
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ドコモのプッシュ型情報配信サービスを強化
議論は企画の通し方など多岐に渡った
カンファレンスの話題は多岐に渡った。夏野氏は、iモードのプッシュ型情報配信サービス「メッセージフリー」を今後は初期状態で有効にすることを明らかにし、マーケティングなどでのメールに変わる配信ツールとして利用していくと語った。メッセージフリーは、迷惑メールなどの対策にも有効だとした。
また、宣伝会議の田中氏は、複合的なマーケティングが求められるモバイルマーケティングにおいて、企画を通すことの難しさを指摘。これを受けた日本コカ・コーラの佐藤氏は「(上司を)騙すことが必要」と語り、会場の笑いを誘った。モバイルマーケティングの分野では、日本は海外よりも先行しているため、海外の事例を示すこともできず、なかなか数値化することも難しいという。ただし佐藤氏は、「比較的少ない投資で、比較的高い結果が出せる」と、自らの実感を述べた。
このほか夏野氏は、モバイルマーケティングについて「素人がすぐやれるものを」と語り、「ユビキタスとか言っているうちはダメ。わかりやすくて簡単なものが簡単に効果を上げる」と持論を展開した。また、通信業界では技術側に立って話す人が多いと漏らし、「テクノロジーの違いが無くなってきたのが非常にいいこと」と生活者の視点に立つことの重要性を説いた。同氏は最後に「あまり難しく考えずに、あまり日経新聞に騙されない方がいい」とし、「普通に考えて自分だったら使うなとか、内の奥さんだったら使うなとか、そういう気持ちでやって欲しい」と締めくくった。
会場ブースではスクウェア・エニックスの「待ちスロ」を紹介
富士写真フイルムの「Keitai Picture」も展示されていた
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URL
モバイル マーケティング カンファレンス 2004
http://mmc2004.jp/
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
ディーツーコミュニケーションズ
http://www.d2c.co.jp/
日本コカ・コーラ
http://www.cocacola.co.jp/
スクウェア・エニックス「待ちスロ」
http://www.square-enix.co.jp/mobile/machisuro.html
富士写真フイルム「Keitai Picture」
http://www.fujifilm.co.jp/asp/
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(津田 啓夢)
2004/06/10 20:22
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