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【WPC EXPO 2003】
KDDI小野寺氏、1xEV-DOなど今後の事業展開を語る
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KDDIの代表取締役社長 小野寺 正氏
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9月17日~20日の4日間、パソコンや周辺機器などのデジタル機器総合展示会「WPC EXPO 2003」が幕張メッセで開催されている。その3日目となる19日、KDDI 代表取締役社長の小野寺 正氏が「KDDIのユビキタス戦略」と題した講演を行ない、同社の固定通信や携帯電話の今後の方向性などを語った。
■ ユーザーにとって「高速」よりも「安心」が大きい
小野寺氏はまず、同社が携帯電話事業だけでなく、固定電話事業も行なっている点を説明し、今後のブロードバンド事業の方向性を語った。「ブロードバンドであらゆるものがネットワークに繋がる」とした同氏は、通信インフラとしてFTTHが拡大することの重要性を指摘、将来的に音声電話は全てIP電話となるとした。
しかし、国内ではADSLが普及している。同氏はADSLが普及した要因として、固定電話が従量課金制を導入してきた点を挙げ、米国では従来より固定電話に定額制が採用されており、そのため、たとえ56kbpsのダイヤルアップ通信であっても、つなぎ放題が実現していると語った。また、「ユーザーにとって『高速』も大切だが、定額制による『安心』の方が大きい」との見解を示しており、たとえコンテンツがなくとも従来より自由に使える点がADSLの普及に貢献したとの認識を示した。ただし、今後はブロードバンドに適したコンテンツが必要になってくるという。
なお、同社によればブロードバンドは、今後パソコンからテレビでの利用に移行するという。小野寺氏は「2時間の映画をパソコンで見るか? テレビの世界では当たり前のことだ」としており、各家庭に広く普及し利用率の高いテレビにコンテンツを配信するネットワークを提供していくとした。
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ブロードバンドで従来のサービスが変わる
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ブロードバンド事業の今後の見込み
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■ 固定・移動通信を1社提供するメリットを説明
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急拡大するモバイルインターネット
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続いて、携帯電話について言及した。携帯電話の加入者は7,000万を突破し、モバイルインターネットの成長率は3年間で500%と大幅な伸び率となっている。小野寺氏は、携帯電話によるインターネット接続の拡大要因を、「携帯電話1つでメールを行なえたり、画面は小さいものの情報が手軽に得られることが大きい」と延べ、この「手軽さ」が重要であるとした。なお、auのCDMA2000 1x端末は1,000万台を突破、今後こうした3G端末でさらにモバイルインターネットが広がるという。
KDDIでは、固定・移動の両方通信サービスを1社で行なっている。NTT東西とNTTドコモ、日本テレコムとJ-フォンなど国内キャリアはいずれも別会社として固定・移動通信サービスを提供している。小野寺氏はこうしたKDDIの特徴について、「固定電話と携帯電話を1社で提供する大きな会社は世界的に見ても非常に少ない」としており、過去に分社化の話を指摘されたこともあったという。
しかし、KDDIは固定と移動通信事業を分割しなかった。同氏はこの理由を「将来的には固定も移動通信もシームレスに使える時代が来る。ユーザーもそれを望んでいる」としており、「近い将来、ネットワークを意識せずに利用できるようになる」と予測した。
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CDMA2000 1x端末の普及
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国内通信事業者
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■ 1xEV-DOでもサービスの継続性をアピール
ブロードバンドの高速化が進む中、同社の携帯電話も通信速度の向上が図られる。KDDIでは今秋より、既存のCDMA2000 1xに高速通信機能をプラスしたCDMA2000 1xEV-DOを開始する予定。1xEV-DOに言及した小野寺氏は、「光通信のようにはいかないが、近い将来間違いなく携帯電話もメガになる」とした。
なお、今回の講演では1xEV-DOの詳細について語られることはなかったが、小野寺氏は従来同社が行なってきた通信方式のステップアップと同様に、1x EV-DOでも同社の既存インフラが利用できることを丁寧に説明した。
CDMA2000 1xで、これまでcdmaOneが利用できた地域であれば必ず音声およびデータ通信(64kbps)ができたように、1xEV-DOでも、CDMA2000 1xおよびcdmaOneとの互換性がある。そのため、1xEV-DOエリア外でもCDMA2000 1xエリアであれば、音声および144kbpsのデータ通信が利用可能で、cdmaOneのみに対応したエリアであっても音声および64kbpsのデータ通信が利用可能となる。
同社は2Gから3Gへの移行の際に、「新しいサービスを導入した」とユーザーに伝えることで、従来のサービスとの継続性をアピールし、「3G」という言葉を使ってこなかった。今回の講演についても小野寺氏は「この秋のCDMA2000 1xEV-DOで2.4Mbpsパケット通信が可能になる。従来CDMA2000 1xで提供してきた音声サービスに、高速通信が可能なEV-DOが付いた」と説明。「今まで使えていた地域で使えなくなるということがない」と強調した。
今後本格化が進む各キャリアの3Gサービスだが、小野寺氏は「日本はW-CDMAとCDMA2000 1xが共存する唯一の国」と語った。auは今年3月でPDC方式の携帯電話サービスを終了しているが、ドコモやJ-フォンが現在もPDC方式でサービスを提供していることに触れ、「PDCは他の国には無い仕組みだ」とコメント。他社の3Gサービスについても「某社では3Gでグローバルローミングができると平気で言っているが、これまでローミングできなかったのは日本と韓国のみ」とし、欧米を中心としたGSM方式では2Gですでに海外とのローミングが完成していたことを指摘した。
auは国際ローミングサービス「GLOBAL PASSPORT」対応端末によって、CDMA圏でのローミングサービスを提供している。小野寺氏は「国内外で同一番号でローミングサービスが提供できるのはauのみ」とし、同サービスの優位性をアピール。同社では今後、さらにローミングパートナーを増やしていくという。
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今秋にも2.4Mbpsのパケット通信が可能に
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各国の3G通信方式
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■ BREWで法人需要に期待
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BREWの利用状況
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小野寺氏は、auで将来的に全ての端末に導入予定のBREWについても説明した。
同氏はBREWの最大の強みとして、ソフトウェアが後から容易にインストールできる点を示し、現状のJavaアプリでは端末内部に触れる領域が少ないと述べた。また、BREWのイメージとして同氏は、8bit時代のパソコンを例に挙げ、「8bit時代のパソコンは各メーカーによってOSが異なり、買い換えるたびにソフトウェアも買い換えなければならかった。それが16/32bitの時代になってWindows OSによって標準化した。同じことが携帯電話でも実現する」とした。
同氏によれば、BREWによって法人需要が期待できるという。企業はC言語でBREWアプリを作成するだけで、携帯電話から社内イントラネットにアクセスすることなどが可能となると述べた。現状では60万台程度のBREW対応端末だが、小野寺氏は「今後主流になってくるだろう」と語った。
なお、講演ではKDDIの考える「ユビキタス」についても言及。携帯電話で「いつでも、どこでも、誰とでも」とキャッチフレーズを付けていた同社だが、これがユビキタス社会では「いつでも、どこでも、簡単に、安全に」なるという。ユーザーは、ネットワークを意識せずにサービスを利用し、電話事業で同社が行なってきた人から人へのサービスのほかに、情報家電などによるモノからモノへのサービスなどネットワークに接続される端末が膨大に広がっていくというビジョンを示した。
小野寺氏は、CPUやOSで米国に勝つことの難しさを語り、ユビキタス社会によって日本の得意とする携帯電話や家電などが活躍すると予測。「ユビキタスは日本のお家芸」という言葉で講演を締めくくった。
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オフィスや家庭、屋外などあらゆるところでネットワークに接続
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ユビキタス社会は日本の技術が活かせる
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■ URL
WPC EXPO 2003
http://arena.nikkeibp.co.jp/expo/2003/
KDDI
http://www.kddi.com/
■ 関連記事
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(津田 啓夢)
2003/09/19 20:07
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