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【WIRELESS JAPAN 2003】
KDDI小野寺社長、「重要なのは通信方式よりもサービス」

 7月16日~18日の3日間、東京ビッグサイトで開催されているモバイルインターネットのイベント「WIRELESS JAPAN 2003」のコンファレンスに、KDDI 代表取締役 社長の小野寺 正氏が登場し、「KDDIのユビキタス戦略」と題した講演を行なった。同氏は「CDMA2000 1xが伸びているのは、方式によるものではなく、コンテンツや料金、端末の魅力が受け入れられたからだ」との主張を強調したほか、ユビキタス社会への展望やeznavigationの新バージョンなどについて語った。


ユビキタスの主役はケータイ、問題は料金

KDDI 代表取締役 社長 小野寺 正氏
 まず小野寺社長は、ユビキタスネットワークの実現に向けて「そのプラットフォームが何になるかが重要。やがてIPv6が導入されるだろうが、現時点でビジネスとしては何とも言えない。家電1つ1つが繋がるだろうし、たとえば壁の中に埋め込まれ、Bluetoothなども利用されることになるだろう。そうなればキャリア単独ではできない」と述べ、業界の垣根を越えた協業が重要であるとした。またここ数年で急激に市場拡大した携帯電話は、もともと生活スタイルを変化させる力があったことが急成長の要因だと分析し、「ユビキタスのメインはやはり携帯電話。ポケットの中身が全て携帯電話の中に入り、“パーソナルゲートウェイ”になる。その中で2Gから3Gへの移行は、通信速度が向上することが一番大きいが、料金が上がるのは問題。コストをどう下げるか考えねばならない」と指摘したが、具体的に今後の料金プランに関する同社の施策について語られることはなかった。


KDDIによるユビキタスネットワーク。モノ-モノを繋げるなど、携帯事業者だけではなく、多くの企業・組織と協力していくべきとの考えを示した ユビキタスの主役はケータイ、と語った小野寺社長

 続いて同氏は、世界の携帯電話動向について触れ、「7割がGSM方式。ここでは国際ローミングも当然のこと。なぜGSMが成功したのか。それはメーカー主導であったため、各企業が業績を伸ばすためにとことん突き詰めていったから。海外で伸びていくためには、メーカーは国際的な需要を見極めねばならない。一方、日本では新しい規格、サービスがどんどん取り入れられている。これはキャリアが主導した結果。今後もそれで良いのか、KDDIとしても考えなければならない」と語り、バランスの取り方を練っていく必要があるとした。

 また小野寺社長は、「『カメラが付いていれは3G』と聞いたことがある。これがユーザーの捉え方。エンドユーザー、つまり我々のお客様からすれば、CDMA2000 1xかW-CDMAか、また2Gか3Gかということは関係ない。何を使えるか、どんなサービス、端末が提供されているかということが重要」と強く語った。同氏は、今回の講演内で同様の発言を幾度も繰り返し、聴衆に訴えかけていた。この背景には「最初にcdmaOneを導入した時、64kbps通信をアピールしたが失敗に終わった。サービスありきのインフラ。サービスが進化すれば、通信速度も高速化するのであって、サービス無き高速化ではダメだ」(小野寺社長)という過去の反省が大きな要因を占めているようだ。


世界で利用されている通信方式。一部文字が抜けているが、約70%をGSM方式が占める 3Gサービスにおいては、CDMA2000方式を採用している国が多い

日本国内の3Gサービスでは、9割以上をKDDIが占めている。しかし小野寺社長は「ユーザーからすれば通信方式は問題じゃない」と再三繰り返していた

着うたのような新ビジネスを創出、Javaはキャリア間で統一したい

EZwebのサービスモデルを図示。ベースはWAP2.0、そしてメールはIMAP4方式を採用
 同社のコンテンツサービスについては、「着信メロディは、作曲者だけに著作権料が入り、レコード会社は危機感を持っていたが、着うたはCD音源を利用していることで、ユーザーに高品質なデータが提供できるだけではなく、きちんとレコード会社にも著作権料が入るようになった。レコード会社から作曲者だけではなく、アーティスト本人などにも使用料が入り、レコード会社が積極的になっている」と、既存のコンテンツとは異なった動きとなっており、今後も新たなビジネスモデル・マーケットの創出を目指していくという。

 その動きの1つとして、小野寺社長はezmovieを例に挙げて「着メロ、着うたに取って変わるものとして“着ムービー”がある。文字通り、着信時に映像が再生されるというものだが、再生映像がコマーシャルであれば、ユーザーの料金負担が軽減されるなど、これまでには考えられなかったメリットが生まれてくる」と期待感を表わした。

 また同氏は、EZwebがWAP2.0をベースにしたのは、国際的な流れを踏まえたものと述べた後に「例えばJava、そしてMPEG-4など規格自体は標準化されたものであるにも関わらず、キャリアによって微妙な差違がある。これではコンテンツプロバイダにも負担がかかるし、ユーザーにとっても統一すべきではないか。今後方向性が見出せれば幸いだ」として、現実的にどう動いていくかは不透明ながらも、携帯電話の機能において他キャリアと共通の仕様を導入するべきとの考えを示した。

 EZweb関連では、メール方式にパソコン向けでも広く利用されているIMAP4方式をベースにしていたことで、画像をメールに添付して手軽に送信できるなど現在の端末がハイスペックになってもサポートできている点がアドバンテージになっていることもあわせて紹介された。


着うたの利用状況 ezmovieの利用状況。動画サービスをコンテンツ、そしてコミュニケーションツールだけに留めない方向にするという

BREWの利用状況。対応端末であるA5304Tは5月末の時点で約46万台。
 小野寺社長は続けてBREWの利用状況を紹介。ダウンロードされているアプリケーションの約75%がゲームとなっているが、「やはりBREWは法人向け。会社内にいるときは、自由にさまざまな情報を得られるのに対して、社外にでるとノートパソコンやPDAを持っていない人は、音声通話しか手段がない。イントラネットと相性が良い端末は、これまで端末自体を作り変えなければならなかった。かといって、一企業が特別仕様の携帯電話を何十万台も仕入れることはない。(端末のネイティブな機能にアクセスできるBREWを利用すれば)ある企業だけの特別なアプリケーションの提供といったことが実現できる」として、これまで同社関係者から明らかにされてきたビジョンが再び紹介された。


次のeznavigationはリアルタイムな地図表示が可能に

 GPS機能を利用してユーザーが現在地を測定できるeznavigationについては「2003年中に新しいものを予定している。まだ詳しいことは明かせないが、端末上でいろいろできることを増やそうとしている」と述べた。これは3月中旬に明らかにされていたことだが、同氏は「計測スピードを向上させるだけではなく、ユーザーの現在地にあわせて地図を表示できるようにする。車のスピードは無理だが、歩いている間であれば大丈夫。また音声ガイダンスで道案内するなどユーザーインターフェイスの向上を図る」とした。

 このほか、1日あたりの平均パケット通信量が1ユーザーにつき400パケット程度になっていることも明らかにされた。1~2年前までは200パケットが平均だったため、単純に倍増していることになるが、同社では割引プランである「パケット割」を提供していることも増加の要因となっているようだ。

 最後に小野寺社長は「ユビキタス社会が実現するとき、考えていかねばならないのは、プライバシーをどうやって保護していくか、ということ」と今後の課題を示したほか、デジタルテレビ端末についてはバッテリーの問題に加えて、「通信と放送の融合は技術的に可能だが、法制度など放送事業者などと詰めていく必要がある」と語った。さらに昨年から次々とイベントなどで披露しているユニークなデザインのコンセプトモデルのうち、「どれとはいえないが、商品化を進めている」ことも明かした。


eznavigationは、今年中に新たな姿に生まれ変わるという 音声ガイダンスやリアルタイムの地図表示などが追加されるとのこと

パケット通信量は順調に増加 ポケットの中身を全部ケータイに入れるというKDDIの戦略

しかしユビキタス化、そして携帯電話が進化していくと問題になるのはプライバシーの保護 コンセプトモデルの商用化も進めているという


URL
  WIRELESS JAPAN 2003
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2003/
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(関口 聖)
2003/07/16 19:30

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