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フィーチャーフォンユーザーのための「AQUOS K」、シャープが解説
シャープのフューチャーフォンはすべて「新世代ケータイ」へ
(2015/1/21 16:00)
シャープは、1月19日にKDDIから発表された新しいタイプのフィーチャーフォン「AQUOS K」(SHF31)を解説する説明会を開催した。この説明会は「AQUOS K」に特化した内容で、取り組んだ背景や、今後の“フィーチャーフォン戦略”も語られた。
「AQUOS K」は、折りたたみ型のボディ、十字キーとテンキーを中心にした使い勝手などの、フィーチャーフォンの特徴を継承しながら、内部にはAndroid 4.4を採用し、画面解像度、通信速度、メモリ容量、利用できるWebサイトなどの部分で、従来のフィーチャーフォンから大きく性能を飛躍させたのが特徴の端末。
「AQUOS K」はシャープが独自に1年半ほど前から検討を開始し、開発したモデルで、同社は「新世代ケータイ」と呼ぶ。同社のフィーチャーフォンは今後すべて、(ほかのキャリアを含めて)この「新世代ケータイ」に統一していき、フィーチャーフォン市場のシェア40%(年間400万台規模)の実現を早期に目指すとしている。
使い勝手はフィーチャーフォン、進化はスマートフォン
説明会ではまず、シャープ 常務執行役員 通信システム事業統轄 兼 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏から解説された。
長谷川氏は、プレゼンテーションの冒頭から、フィーチャーフォンの契約数が約6000万件もあるという調査結果を示し、年間の出荷数も1000万台で下げ止まり、この規模の出荷数が維持される見込みであることを紹介する。
一方で、携帯電話業界の技術開発はスマートフォンに集中し、フィーチャーフォンは進化が止まっているという現実を指摘。エポックメイキングな端末を投入してきたシャープの端末の歴史や、2015年が携帯電話事業への参入から20周年を迎える年であることも紹介しながら、フィーチャーフォンについて、“リノベーション”で「ケータイをスマートに生まれ変わらせます」と掲げた。
長谷川氏はその「AQUOS K」について、「新しい“ケータイ”に育てていきたい。継承と創造で新しいスタンダードを作っていく」と語り、今後、同社のフィーチャーフォンはすべてこの「新世代ケータイ」に変えていく方針を表明。スマートフォンに並ぶ事業の柱にしていくと意気込んだ。
長谷川氏は後の質疑応答や囲み取材で、VoLTEへの対応を聞かれると、「今後、当然そういう展開もあるだろう。スマートフォンと同じように進化していく」と回答。Androidを採用した理由については、スマートフォン開発とのシナジー効果を出しやすく「スマホで実現したものを、即取り入れられる」と語っている。
コストの部分で、儲けが出やすいと言われる従来のフィーチャーフォンの提供については、生産規模などの問題から部品は値上がりする傾向にあるとし、Androidを採用した「AQUOS K」では、ソフトウェア開発の事業規模をスマートフォンと合わせて大きくでき、「固定費を大きくせずに済む」と、開発段階でもメリットがある様子を語っている。
Google Playに対応しない点について、アプリを中心としたコンテンツの拡充が課題と指摘されると、タッチパネルに対応しないハードウェアであることから、そもそもGoogle Playに対応する基本的な要件を満たしていないとした。一方で、アプリの改修は、カーソルやフォーカスを十字キーで操作できるようにする、比較的簡単な内容であるともしている。
シャープは2011年ごろに、スライド型や折りたたみ型などのデザインでテンキーを搭載したスマートフォンを提供している。長谷川氏はこれらの端末について、「大きく反省した」と振り返る。当時はAndroidスマートフォン自体の待受時間が短く、タッチパネルとテンキーを組み合わせた使い勝手も中途半端になっていたことを認めながら、今回の端末はあくまでフィーチャーフォンとして開発し、フィーチャーフォンのユーザーが違和感なく使えるようになっているとした。
フィーチャーフォンユーザーは「困っている」
「AQUOS K」のコンセプトや概要、開発背景などについては、シャープ 通信システム事業本部 グローバル商品企画センター 戦略企画部 部長の中田尋経氏から解説された。
中田氏からはまず、「ケータイ関する3つの誤解」が示され、ケータイ(フィーチャーフォン)ユーザーに対する「低リテラシー」「やがてスマホに変える」「現状に満足している」という印象を否定する。中田氏は、多くのケータイユーザーはパソコンもネットも使いこなし「慣れたキー操作を優先している」。買い替え意向では「次もケータイ」と答えるユーザーが約30%(1800万契約)と、無視できない規模であるとする。
「現状で満足している」という印象に対しては、周囲のスマートフォンユーザーとのやりとりで、アクセスできないURLが送られてくると「間接的に仲間はずれになっていると感じる」など、フィーチャーフォンユーザーは「困っている」と、独自のヒアリング調査の結果をとりあげる。
フィーチャーフォンの使い勝手にスマホの恩恵を融合
こうしたフィーチャーフォンユーザーの要望に応えるものとして提供されるのが「AQUOS K」ということになる。中田氏はその進化のポイントを、スマートフォンと同等の閲覧の体験を提供する「Leading」、オープンな環境に対応できる「Open」、Android採用で共通化されたプラットフォームの「Unified」の3つのキーワードで紹介する。
Androidを採用することで、LTEやWi-Fiテザリング、クアッドコアCPUの搭載、ストレージ容量の増加といった点を実現し、従来のフィーチャーフォンと比較して処理能力が向上している。カメラは1310万画素のカメラで、スマートフォン向けに開発された機能や性能が投入されている。ディスプレイも同様で、3.4インチ、960×540ドットのqHD液晶はフィーチャーフォンではハイエンドモデルの仕様となる。テンキー部分をタッチエリアとしてポインターの操作ができる「タッチクルーザーEX」を搭載することで、オープンなインターネット環境でのWebサイトの閲覧にも対応した。
バッテリーは1410mAhで、1000mAh前後が主流の従来のフィーチャーフォンの1.4倍とし、連続通話時間は約620時間と、こちらは従来のフィーチャーフォンの約2倍を実現。待受時間についても、フィーチャーフォンから乗り換えても違和感のないスペックとした。
Androidで標準的なWebブラウザが搭載されており、FacebookやYouTubeといったWebサイトを利用可能。テンキーの左下にあるボタンを電源ボタンと同時に押せば、スクリーンショットも撮影できる。Wi-Fiテザリングなどをすぐに設定できるボタンも右下に用意されている。
「LINE」については、「ケータイで初めて搭載」と謳っており、現在LINEが開発中。電話帳の移行ツールは、フィーチャーフォンからの移行だけでなく、スマートフォンからの移行にも対応し、BluetoothやmicroSD経由、赤外線通信にも対応している。シャープから「情報ライブ待受」を配信するサービスも提供する。
「“ケータイ”を使っている人が欲しい物は何か? と考えた」
中田氏は集まった記者に「ぜひ手にとって確かめてください」とアピールするとともに、「フィーチャーフォンのユーザーに“新世代”を届けたい、というコンセプト。フィーチャーフォンの進化として、あるべき姿を目指した。スマホの思想を持ってくるのではなく、ケータイを使っている人が欲しい物は何か? と考えた。“ケータイ”にこだわって使っている人に届けたい」と、開発陣の想いも語っている。
中田氏は、質疑応答の時間にターゲット層について聞かれると、「50代を主に考えている。30代もケータイのユーザーは多い」と回答。“ガラホ”という呼び方については、「市場やユーザーが決めていくこと。メーカーとしてカタログに書いたりすることはない」という考えを示している。