ソフトバンクのイー・アクセス買収、総務省が電監審に報告書
総務省は、ソフトバンクとイー・アクセスの株式交換について、懸念するポイントや今後の対応をまとめた報告書を公開した。総務大臣の諮問機関である電波監理審議会からの要請を受けて報告したもの。
今年10月、ソフトバンクは、株式交換の形でイー・アクセスの完全子会社化を目指すと発表。その後、決算会見で、完全子会社化を含め、複数の選択肢を検討中としていた。
そもそも今回の報告書がとりまとめられたのは、免許割当について答申を行う電波監理審議会からの要請を受けてのこと。7月、NTTドコモ、KDDI、イー・アクセスの3社へ700MHz帯の割当が行われた後、3カ月も経たずに、ソフトバンクとイー・アクセスの株式交換契約が発表された形となるが、電波監理審議会および総務省では、7月の段階で両社の株式交換について報告などがなく、認識していなかった。そこで事実確認のため、総務省は両社からヒアリングを実施した。なお、両社の協議の開始時期については、「700MHz帯の割当の後に協議を開始した」との説明があったという。
株式交換契約に至った目的について、報告書では、イー・アクセスからの説明が掲載されている。総務省 移動通信課によれば、この部分はイー・アクセスから寄せられた説明文をそのまま掲載したとのこと。市場環境の変化によるLTEネットワーク整備の前倒しや、イー・アクセスのネットワークをソフトバンクモバイルへ提供することへの収益面のメリットが挙げられている。
■重要なポイントは「資金調達」、四半期ごとに“厳格に確認”
総務省 移動通信課では、今回の両社の動きで最も重要な点は、「イー・アクセスが上場廃止となること」と指摘する。上場廃止によって700MHz帯の基地局の整備などの費用をイー・アクセスがきちんと調達できるか、不透明になったためだ。10月の株式交換発表の段階では、認定を受けた整備計画が実行できるか、総務省側には懸念があったという。
両社からの報告によれば、借入など通常の資金調達方法でイー・アクセスの資金が不足する場合、協議した上でソフトバンクモバイルから保証提供などを受けることで合意。資金調達面では問題がないという両社からの回答になっている。また、基地局などの展開予定である両社の計画については、現時点で変更はない。
両社から、資金調達と計画のどちらも現時点では問題がないと報告を受けたことになり、ひとまず問題なしとの形になるが、総務省では今後も着実に実行されるかどうか、四半期ごとに行われる両社の報告を厳格に確認する方針。さらに、Webサイトでも確認結果を公表していく。計画通りに進められなければ、「免許の取り消し事由に該当しかねない」(移動通信課)という。
なお報告書内では、イー・アクセスの完全子会社化後、ソフトバンクが保有する議決権は1/3未満とする方向で検討中であることが明らかにされている。この議決権の部分については、仮にソフトバンクが1/3未満の議決権になった場合、残りの議決権を誰が保有するのかなど、詳細は別途、総務省へ報告される予定。
さらに両社のネットワークの相互提供についても検討中とのことで、こちらも決まり次第、報告され、電波法・電気通信事業法などに照らして、あらためて手続きなどの確認が行われる。
2012/11/28 20:11