ミクシィとDeNAが提携、mixiゲームにMobageタイトル投入へ


ミクシィ 代表取締役社長の笠原健治氏(左)とディー・エヌ・エー 代表取締役社長の守安功氏(右)

 ミクシィとディー・エヌ・エー(DeNA)は、SNS「mixi」で提供しているソーシャルゲーム「mixiゲーム」について業務提携を行うと発表した。「mixiゲーム」と「Mobage」に共通の開発基盤が提供された上で、スマートフォン版「mixiゲーム」は2013年春を目処にリニューアルし、「Mobage」のタイトルが簡単に「mixiゲーム」上でも提供できる環境になる。

 今回の業務提携は、「mixiゲーム」「Mobage」の双方のソーシャルゲームプラットフォームにゲームを提供する場合、同じタイトルであってもゲームデベロッパーが二重に開発工数や人的リソースを割かなければならない状況を解決するのが大きな目的。「mixiゲーム」「Mobage」に共通の開発基盤を構築・提供することで、ゲーム開発者は1度の開発で双方のプラットフォームに対しゲームを提供できるようになる。Web上で管理する開発者向けサイトについても一元化される予定。また、サードパーティのタイトル以外に、DeNAが自ら開発するタイトルについても、共通の開発基盤を活かし「mixiゲーム」に提供される見込みとなっている。

 2013年1月には開発基盤の仕様が開発者に対して公開され、2013年の春をめどに「mixiゲーム」がリニューアルされる。リニューアル後も、mixiゲームのユーザーは、IDやmixiのソーシャルグラフの利用、仮想通貨はmixiポイントといった、これまでと変わらない環境でゲームを楽しめる。なお、「Mobage」「mixiゲーム」におけるユーザーの相互連携は行われない。

 今回の業務提携により、「Mobege」ユーザーに直ちに直接的なメリットがあるわけではないが、これまで二重に必要だった開発者の負担が軽減されることで、新規タイトルの増加といった、間接的・中長期的なメリットが見込まれている。

 共通化された開発基盤と「mixiゲーム」のスマートフォン版は、両社で運営するが、DeNAが仕様の策定や開発、両プラットフォームをふまえてのコンサルティングなどを行い、ミクシィはmixiからの送客などを担当する。パソコン版「mixiゲーム」については、今回の業務提携の対象外。「mixiアプリ」は当面の間提供される。


 

 22日には記者向けに説明会が開催された。ミクシィ 代表取締役社長の笠原健治氏は、今回の業務提携により「より一層、ゲーム事業そのものが伸長していくだろう」とした上で、ミクシィがこれまで手がけてきたコミュニケーションサービスについて「よりパワフルに、スピード感を持って進めていけると期待している」と語り、コミュニケーションサービスにより集中できる環境になるとした。DeNA以外の企業と、今回と同様の業務提携を行うかどうかについては、「いろいろな可能性はある」と明言を避けた。

 ディー・エヌ・エー 代表取締役社長の守安功氏は、「Mobage」内の仮想通貨、モバコインの消費高が順調に拡大し、9月にはスマートフォンで消費されるコインがフィーチャーフォンを上回ったと紹介。スマートフォンかつブラウザを利用したプラットフォームが「非常に順調に成長している」ことを明らかにした。

 守安氏は、さまざまな開発者から、複数のプラットフォームに対応するための開発工数や人的リソースが足りていないという声を聞くとのことで、タイトルリリース後にも運用やチューニングに一定の人員が必要なソーシャルゲーム特有の事情も、こうした状況に拍車をかけているとする。同氏は「開発者の工数を最小にして、2つのSNSに提供できる、ここが一番大きなキモ。APIは共通化され、人的な負担が非常に削減されるのが大きなメリット」と業務提携のポイントを示し、リニューアル後はMobageで人気のタイトルなどを積極的に提供していく方針を示した。開発者にとっては「mixi」「Mobage」と異なるユーザー層にリーチでき、また開発効率が向上することで「多くのタイトルにチャレンジできる」と期待する守安氏は、今回の提携を「全体の市場の総額は、確実にプラスに働く」とした。


 




(太田 亮三)

2012/11/22 17:49