バッファロー、ネット連携が進化したTV向けフォトアルバム


「おもいでばこ」(PD-100S)

 バッファローは、テレビに接続し、保存した写真を大画面で見られるデジタルフォトアルバム「おもいでばこ」の最新モデルを11月下旬より発売する。容量別に2種類が用意され、価格はオープン価格。店頭予想価格は、容量500GBのスタンダードモデル「PD-100S」が2万2800円、1TBの大容量モデル「PD-100S-L」(12月中旬発売)が2万7800円。

 前モデルにあたる「PD-100」の基本的なコンセプトや機能、外観などを継承しながら、新モデルでは無線LANをはじめ、プリンター連携、ネットワークサービスへの対応などが強化された。また、本体機能においても、任意に指定した写真を中心におすすめ写真を表示する機能なども追加されている。

 「おもいでばこ」は、本体前面にあるSDカードスロットにSDカードを装着し、取り込みボタンを押すだけで写真を自動的に保存・整理できるフォトストレージ機器。HDMI端子が用意されており、テレビに接続して写真を閲覧できる製品となっている。家族で利用することを主眼に、取り込んだ写真はアルバム形式でさまざまに表示させることが可能。

 新モデル「PD-100S」「PD-100S-L」では、USB端子を利用する無線LANアダプターが標準で添付される。これにより、専用アプリをインストールしたスマートフォンやパソコンから写真を無線で「おもいでばこ」に転送し保存できるようになっている。パソコンやスマートフォンに対し、「おもいでばこ」の写真を転送する書き出し機能も用意される。スマートフォン向けアプリは本体のリモコンの代わりに利用することもでき、SNSへの投稿にも対応している。

 iOS版は11月下旬に、Android版は12月上旬に最新版のバージョン2.0が提供される予定。また、新たにWindowsパソコン向けにも「かきだし&とりこみアプリ」が12月中旬より提供される。

 インターネット上のサービス「フォト蔵」とも連携でき、「フォト蔵」にアップロードした写真を「おもいでばこ」でダウンロードし表示できる「ネットアルバム」機能が用意される。

 無線LANに標準で対応したことにより、エプソンのプリンターのうち「Epson iPrint」に対応したモデルと連携でき、写真を印刷できる。

 画像は最大で6万枚まで保存可能。動画についても、一例としてスタンダードモデルでは57時間、大容量モデルでは114時間分の保存が可能としている。別途用意したUSB接続のハードディスクを接続すれば、自動的にバックアップをとることもできる。

 SDカードはSDHCカードに対応。本体にはHDMI端子のほか、RCAのコンポジット映像・ステレオ音声出力端子、有線LANポート、USBポート×2(1つはバックアップ用)を備えている。パッケージに同梱の無線LANアダプターはIEEE802.11b/g/nに対応する。

 大きさは約230×35×155mm、重さは約600g。


 

写真の整理は「おもいでばこ」に、家族のコミュニケーションを促進

バッファロー 取締役 事業統括本部長の渡邉泰治氏

 11月15日には都内で記者向けに発表会が開催された。バッファロー 取締役 事業統括本部長の渡邉泰治氏は、「パソコンがスマートフォンやタブレットに置き換わりつつある」と市場の流れを分析した上で、従来のパソコンユーザーを前提としたコンセプトや内容では理解されなかったり、不足があったりするとし、「より具体的に、分かりやすい商品にしなければならない」と指摘。「ライフスタイルにフォーカスした商品群を立ちあげていこうとなり、その第1弾が昨年発売した『おもいでばこ』。写真を撮る人のライフスタイルにフォーカスした商品」と「おもいでばこ」開発の背景を紹介した。

 同氏からは、エンドユーザーの多くが、デジタルカメラで撮影した写真を整理せず、端末やSDカードに保存したままになっているとう調査結果を紹介。その場で見るといった、短期間のうちに利用するための写真は増えたものの、将来のために残すという使い方は減り、また、整理されていないと探しだすのも困難という実情を紹介。「おもいでばこ」はワンボタンで自動的に整理・保存でき、写真を振り返ることで家族の絆が深まる商品と位置づけた。新モデルではネット上のサービスとも連携したほか、渡邉氏からは「デジタルフォトブック市場やデジタルフォトフレーム市場は伸びており、どんどん新しい製品を作っていこうと考えている」と、コンセプトを重視した製品群を拡張していく方針が示された。


 

 バッファロー グローバルプロダクトマーケティング部 次長の富山強氏からは、「おもいでばこ」の使い方が具体的な利用シーンを交えて紹介された。富山氏は、「家族のコミュニケーションツールとして使ってもらいたいと思い、開発した」と「おもいでばこ」開発の経緯を改めて紹介。デジタルカメラの時代になり、一眼レフ、コンパクトデジタルカメラ、スマートフォン、携帯ゲーム機など、家族それぞれがデジタルで写真を撮影することが当たり前になっているとし、「バラバラの記憶を集めて、会話をすることで、思い出に変わる」とコンセプトを語った。

 同氏からは、「おもいでばこ」を釣果や鉄道写真といった、特定の写真を集めるコレクションの目的で利用している人も多いとし、こうした分類をしやすくするスマートフォン向けアプリを開発中であることも明らかにされた。


 

 発表会ではこのほか、写真家の三井公一氏、デジタル写真整理術専門家の内川功一朗氏がトークセッションに登壇。三井氏は普段、iPhoneで撮影する場合は意図的に縦位置の構図を利用するとのことだが、「大画面で見るなら横位置にし、ものをあまり入れずに、シンプルで大胆な構図がいい」とアドバイス。内川氏は「整理の特効薬はない」とした上で、ワンボタンで自動的に整理してくれる「おもいでばこ」は、3カ月ほど試用して愛用しているという。

 使用感を聞かれた三井氏は、「意外といいな、という印象」と率直な感想。「普段はパソコンのディスプレイを睨みながら写真を見ているが、テレビで見ると、リラックスして見られる。普段とは違って自分の写真が楽しめる」と印象面での違いを語った。内川氏は「写真は記憶を呼び起こす記録。見ることで記憶が蘇る」と語り、家族とのコミュニケーションに向いた製品であるとした。


 

(太田 亮三)

2012/11/15 18:05