サイバーエージェントがスマホに注力、「Amebaスマホ」で大勝負


 サイバーエージェントは、新テレビCMの発表会を開催した。スマートフォンへ軸足を移すため、1カ月で総額30億円の広告費を投入するという。

 テレビCMは、放送作家の鈴木おさむの企画制作によるもので、スマートフォン向けのコミュニティサービスやゲームコンテンツなどを「Amebaスマホ」として打ち出す。鈴木おさむがインタビュアーとなって、開発を担当した社員ら12名を紹介する内容となる。


CMに登場するサービスの企画開発陣と

スマホ開発体制

サイバーエージェントの藤田氏

 代表取締役社長の藤田晋氏は、「スマートフォンが急速に普及しており、マスプロモーションに耐えうる時期。そこに照準を合わせ1年半をかけて社内で多数のコンテンツを開発した。まさに勝負どころ」と話した。

 こうしたコンテンツの拡充により、Amebaのユーザーは4カ月間で倍増しているという。藤田氏はサイバーエージェントの特徴として、「全て内製で開発している。スマホの開発ラインは88ラインと、間違いなく国内最大規模。平均して1ライン10人で、これだけの開発ラインを整えた」と語る。サイバーエージェントは、スマートフォンへの開発体制を強化するため、この1年間で1266人も社員を増やした。その大半はエンジニアだ。

 スマートフォン事業で勝負に出た藤田氏、大規模な開発体制について「世界でもないのではないか」と話す。サイバーエージェントは、テレビや交通広告、ネットワーク広告など1カ月で合計で30億円を投じ、集中的なプロモーションを図る。藤田氏は「この時期の露出量としてはダントツだろう。大きな勝負」と語った。



スギちゃん、芹那、鈴木おさむがトークセッション

 発表会には、テレビCMを担当する鈴木おさむ氏、お笑い芸人のスギちゃん、タレントの芹那が登場した。いずれもAmebaブログの利用者で、もっとも古くから利用しているスギちゃんは、開始時期が2006年と、公式サイトになる前からコツコツと続けていたという。

 スギちゃんは「ブログのアクセスの減り方がハンパじゃないので、もう一度上げたい」と笑いを誘った。芹那は、スマートフォン向けサービスについて、「こんなにたくさんの機能、しばらく家から出られなくなっちゃう気がする。その分、たくさんいろいろな人の話を吸収したい」と話した。

 鈴木おさむは「世の中にありそうでなかったもの、それが世の中が求めているもの。Amebaにはそれがたくさんつまっている。楽しんでいただけたら、と思う。男性は“GIRL'S TALK”を読むと、眠れなくなるはず」などと語っていた。



Amebaスマホの各サービス

 発表会にはサイバーエージェントのスマートフォン向けコミュニティサービスやゲームが紹介されていた。

 担当者が女性版の“2ちゃんねる”とアピールしていたのがコミュニティサービス「GIRL'S TALK」だ。男性にはいささか刺激の強い、女性の本音の会話が楽しめる。Ameba会員向けだが、投稿自体は匿名かつ女性しかできない。男性は閲覧のみ可能で、鈴木おさむは「男は勉強になる」などと語っていた。



 「きいてよ! ミルチョ」は、誰に聞いて欲しいわけでもない独り言を投稿すると、「ミルチョ」という不思議なキャラクターが「うんうん、なるほどね」などと返事をしてくれるアプリ。適切な返答というよりも、ただ話を聞いてくれているだけのキャラクターといった演出だ。ユーザー同士で「聞いたよ」ボタンを押し合うことで、それがミルチョのエサになる。エサを与えていくことでミルチョがさまざまな姿に変化していく。



 手作り料理を公開していくコミュニティ「ペコリ」は、主婦を中心に女性に人気の料理投稿アプリ。レシピを公開するよりも、「こんなの作ったよ!」という写真投稿型のコミュニティで、投稿内容はAmebaブログやFacebook、Twitterなどと同時に投稿できる。



 写真投稿サービスでは、自慢のペットを紹介していく「パシャっとmyペット」も紹介されていた。犬猫を中心に、ウサギや魚、は虫類まで、時に“親ばか”などと言われる飼い主の“我が子”自慢ができるコミュニティだ。TwitterやFacebook、Amebaブログと連携しているため、ネットで人気のペット写真なども楽しめる。



 「大人のブカツ bk2」は、25歳以上の“アラサー”世代をターゲットに、興味関心で集まるコミュニティ「部活」が作成できるサービス。mixiなどのコミュニティのように、共通の趣味などで盛り上がれる場所として提供されている。



 同じようなコミュティ型サービスとして「みんなの交換日記 wakka」も紹介されていた。こちらはもう少し小規模なコミュニティで、知り合い同士や全く知らない者同士で交換日記が楽しめる。「bk2」が掲示板タイプのサービスであるのに対して、「wakka」は一定のタイミングで自分が投稿する順番が回ってくる。仲間同士で日記にコメントしあって楽しめるわけだ。



 コミュニケーションサービスは女性中心のサービスになることが多い。こうした中で「intely」は、「ビジネス」を軸に集まるコミュニティだ。ユーザー同士の情報交換の場所として機能し、現在のところ広告業界やIT業界の利用者が多いという。

 ビジネスパーソンのSNSとして、海外発の「LinkedIn」があるが、「LinkedIn」のようなプロフィールを公開する文化は日本人には馴染まない、と担当者が話していた。とはいえ、ビジネス向けのコミュニティは未だ国内でスタンダードと言えるものは登場していない。担当者は「LinkedIn」とともに、ビジネスSNSの市場を作っていきたいとしていた。



 サイバーエージェントの「Ameba」といえば、ブログとともに「アメーバピグ」(ピグ)も人気を博している。このピグに登場するペットをスマートフォン向けの育成ゲームとして切り出したのが、「HuggPet」(はぐぺっと)だ。6月の登場以来、すでに18万人に利用されているという。



 「天空のクリスタリア」は、20万人ユーザーを突破したカードバトルゲーム。ファンタジー要素の強い世界観で、繊細なタッチの絵柄を集めて戦って楽しめる。男性ユーザーに支持されている。



 一方、女性ユーザーに人気があるのは「天下統一クロニクル」。都道府県対抗のカードバトルゲームで、地域にちなんだキャラクターたちが登場する。



 “耳で萌える”とうたわれているのが「ガールフレンド(仮)」。学園ものの恋愛カードゲームで、お気に入りのキャラクターのボイスを集めていく。画面をタッチするとキャラクターの声が聞ける。多数の声優を起用している。



 このほか、スマートフォン向けのオークションサービス「パシャオク」も紹介された。気軽に出品でき、エスクローサービスなども用意されている。



 




(津田 啓夢)

2012/11/15 16:15