今週のケータイ Watchの読み方 (2012年11月9日)
指でタッチは時代遅れ?
サムスン電子は11月8日、ドコモから発売される「GALAXY Note II SC-02E」の発表会を開催した。「GALAXY S III」シリーズでも同様だが、「GALAXY Note II SC-02E」は日本向けモデルではあるものの、グローバルモデルの一端という側面も強い。メーカー主催の発表会である今回のイベントも、「WORLD TOUR」と銘打たれた世界の主要都市で開催される発表会の一環に組み込まれており、規模、内容ともにその勢いが窺い知れるイベントとなっていた。業績の悪化が伝えられるような日本メーカーは発表会の規模も縮小傾向にあり、勢いの差が如実に現れた格好だ。
ドコモの冬モデルのラインナップとして発表され、今回改めてサムスンから紹介された「GALAXY Note II」は、“Note”カテゴリーとしてスタイラスペン「Sペン」を搭載するのが特徴。参考展示された10インチタブレット「GALAXY Note 10.1」も、GALAXY Tabシリーズとの違いは、Sペンを搭載した“Note”カテゴリーの製品であるという点だ。
ワコムと共同開発されているSペンは、一昔前のPDAや携帯型ゲーム機のタッチペンを想像していると、大きく裏切られることになる。タッチ操作が一般的になったのに、またタッチペンに戻るのか、という後ろ向きな反応も考えられるが、Sペンは筆圧感知などプロ用ツール顔負けの性能。ホバー感知はパソコンのマウスポインタにおけるマウスオーバーとクリック、という流れの感覚にも近い。発表会では、端末のスペックよりも使い勝手の紹介に多くの時間が割かれたのも印象的で、仕様だけでは分からない、使い勝手やソフトウェア、サービスが、スマートデバイスの競争軸の一つとして重要になりつつあることを窺わせた。
「GALAXY Note」シリーズにおけるペンの操作は、タッチ操作の単なる代替物ではなく、ペンのほうが便利、ペンでないとできない、といった「ペンを使う理由」をしっかりと持たせている点がポイント。継続してシリーズを開発してきたことで、サムスンの“ペン操作のスマートデバイス”の技術は独走態勢といっても過言ではないだろう。ケータイのカメラで誰もが日常的に写真を撮影するようになったように、誰もが気軽にイラストを描く時代がくる――Noteカテゴリーの製品は、そんな信念に裏打ちされた製品のようだ。
パンテックも11月6日、KDDIから発売された「VEGA」(PTL21)のプロモーションを行う期間限定カフェの発表会を開催した。この「VEGA」の特徴は、前面に搭載の赤外線センサーを利用し、画面に触れずに操作できること。食事中や水回り、手袋をしている時など、通常のタッチ操作を行いにくいケースを想定したもので、操作できるシーンは限定的ではあるものの、スマートフォンの操作に一石を投じる内容になっている。富士通製のタブレット「ARROWS Tab」でも、インカメラで手の動きを検出して操作できるモードが用意されていたが、「VEGA」は触れない操作をプロモーションの中心に据えており、CMなどを通じて多くのユーザーに訴求していくようだ。
■GALAXY Note II発表会「アナログと融合した新カテゴリーの製品」
■パンテックが渋谷に「さわらないフォンCafe」、鈴木奈々も登場
10月の契約数、ドコモが直面する課題
本誌でも毎月注目を集めるキャリアの契約者数の発表だが、10月はiPhone 5の販売が本格化したこともあり、iPhoneを取り扱わないドコモが純増数、MNPともに苦戦する姿が浮き彫りになった。
iPhone 5の勢いが続く10月は、ソフトバンクモバイル、KDDIが大幅に純増する一方、ドコモは関東甲信越以外の地域で純減し、その原因を「iPhone 5に尽きる」とした。ドコモは冬モデルに合わせたキャンペーンを継続し、Xiのデータ通信端末向けキャンペーンも開始。冬モデルの最新ラインナップやフィーチャーフォンも11月中旬以降、発売が相次ぐ。大口の案件では、Amazonの「Kindle Paperwhite」の3G版はドコモの回線を利用するため(通信料はAmazonが支払う)、Amazonによるドコモへの発注のタイミングでまとまった純増が見込めるが、ARPUへの貢献という意味では懐疑的な見方も残る。
一方で、11月8日には店頭の契約などにおいて手数料が見直されることが発表され、値上げの方向に動くなど、苦肉の策ともとれる施策も明らかになった。ドコモショップにおける回転率を向上させれば、単純に考えて契約数の増加を見込めるが、サポート体制を重視すると、回転率にも自ずと限界が見えてくる。ドコモ内の契約システムで一定の時間が必要とはいえ、現在主力のスマートフォンは比較的ITリテラシーが求められるとあって、説明は欠かせないのがドコモのスタンス。最大数の顧客を抱えるドコモは、こうした販売の現場における新しい課題にも真っ先に直面したのではないだろうか。
■10月の契約数、iPhone 5の影響でドコモが苦戦
■ドコモが契約時の手数料など諸経費を刷新、SIM発行手数料も変更
ニューモデルの発表・新情報
■ドコモのGALAXY Note II予約は11月9日から、16日発売予定
■ドコモ、「AQUOS PHONE si SH-01E」新色の予約開始
■ドコモ、「Ascend HW-01E」と「ELUGA V」新色の予約受付
■au、「DIGNO S KYL21」を一部地域で9日発売
■ドコモ、防水・ハイスペックのFOMA端末「F-01E」11月10日発売
■ドコモ、薄型でイルミ搭載のFOMA端末「N-01E」11月14日発売
■ドコモ、既存機種のAndroid 4.0への更新時期を公開
■REGZA Phone T-01DがAndroid 4.0に、SH-11Cはソフト更新
■ドコモの「Disney Mobile on docomo F-08D」がAndroid 4.0に
■ドコモの「ARROWS X LTE」、Android 4.0にバージョンアップ
■ソニーのAndroidウォークマン、Android 4.0へバージョンアップ
■Amazon.co.jp、電子書籍端末「Paperwhite」Wi-Fi版を値下げ
2012/11/9 19:33