KDDIとmediba、スマホアプリ向けの推奨型広告を本格展開


 KDDIとmedibaは、スマートフォンのアプリ内広告を対象に、ユーザーの行動や情報に基づいた情報を配信する推奨型広告を12月上旬より開始する。広告配信プラットフォーム「mediba ad」を利用しているアプリが対象。

 両社は、今後提供する推奨型広告を2つに分類している。ひとつはWebブラウザで一般的に提供されている、サードパーティCookie(クッキー)の技術をアプリでも実現するもので、閲覧履歴に基いて広告を配信する「閲覧パターン推奨型広告」。もうひとつは、auが持つ性別や年齢といったユーザー情報を基に広告を配信する「統計パターン推奨型広告」となる。これらユーザーに関連した情報を利用することで、従来のような一律的な広告の配信ではなく、よりユーザーに関連した広告が配信されるようになる。なお、AndroidのWebブラウザで提供されるサービスでは、すでに「閲覧パターン推奨型広告」が提供されている。

 「閲覧パターン推奨型広告」は、アプリ内に設けられた広告枠に、ユーザーの閲覧状況や履歴に基づき、嗜好を反映させた広告を配信するというもの。これまでのアプリ内に広告を配信するプラットフォームでは、ユーザーの嗜好に合わせた情報を配信するために、IMEIなど端末固有の情報を取得し利用するケースが見られ、それをユーザーが管理できないことから問題視されていた。

 今回「mediba ad」が提供するアプリの「閲覧パターン推奨型広告」では、端末内のSDカードのデータ領域(iOSではカスタムペーストボード)にフォルダを作成し、そこに保存されたUUID(Universally Unique Identifier:独自ID)を利用する形。フォルダはKDDI研究所の技術により暗号化される。UUIDはブラウザのサードパーティCookieと同じ技術で、IMEIなど端末固有のIDを利用しなくてもアプリをまたがってユーザーの閲覧履歴を蓄積できるようになる。Androidアプリのパーミッションモデルにおいては、SDカードへのアクセスのみが必要となるだけで、広告配信のためだけにアプリが端末固有の情報にアクセスする必要がなくなる。

 同時に、「mediba ad」の「閲覧パターン推奨型広告」で配信された広告には、UUIDの削除といった、ユーザーが情報を管理できる機能も提供される。

 「統計パターン推奨型広告」は、auがユーザー情報として持つ性別、年代、居住地(都道府県)の3種類の基本情報を、「mediba ad」におけるアプリ内の広告配信に反映させるというもの。フィーチャーフォン向けには2010年より提供されている。今回のスマートフォンアプリ向け「統計パターン推奨型広告」の提供にあたって、ユーザーがパソコンおよびスマートフォンからアクセスできるau IDの管理画面に「広告配信」の項目が追加され、初期設定ではオンになっているこれらの3つの項目について、任意で情報の利用をオン・オフに設定できるようになる。

 なお、「閲覧パターン推奨型広告」はiOS向けアプリでは12月より提供されるが、「閲覧パターン推奨型広告」のiOS向けアプリでの提供は検討中。

 

(太田 亮三)

2012/10/29 14:05