ZTE、香港で事業戦略説明会を実施


 1月17日、ZTEはアジアおよび世界各国のメディア向けに香港で端末事業の戦略説明会を行った。

2011年は世界シェア4位に上昇

Head of Handset StrategyのLv Qian Hao氏

 説明会では、まずHead of Handset StrategyのLv Qian Hao氏が同社の事業戦略を説明した。端末の開発については、「世界中の事業者から求められる製品」「消費者にあらゆるレンジの製品を届けること」「事業者のマーケットシェアやARPU向上を手助けする」という3つのポイントを戦略の基本とし、スマートフォンやモバイルブロードバンド製品、そしてサービスを複合的に提供していく考えで進めているという。また、今後製品の柱はスマートフォンを中心としたものにしていくが、スマートフォンとは「ただのハイテク製品ではなく、消費者に付加価値や楽しみ、そして新しいユーザーエクスペリエンスを提供できる製品」(同氏)であるとし、UIの改良やローカライズを進め、各国の消費者に受け入れられる製品作りを進めていくと話した。

 このような開発戦略の中、2011年は端末販売数が1300万台となり世界シェアでも4.8%、4位まで上昇。世界のトップ40事業者のうち36社と取引を行うまでに事業が拡大したとのこと。また、3Gスマートフォンでは中国でトップシェアの座を得たとのことである。特に世界的なヒット商品となった「ZTE Blade(880)」は日本でも「Libero 003Z」として販売され、ヨーロッパを中心に800万台のセールスを記録した。4.3インチディスプレイ搭載の上位モデル「Skate」は発売開始から3カ月で200万台以上を販売、世界の大手事業者に採用されるなどZTEの新しい歴史を作る製品になったとのこと。

 スマートフォン以外では、2010年に初のタブレットとなる「V9」、2011年には後継機の「V9+」を投入した。今年はデュアルコアCPUと画面解像度をHDにスペックアップした7インチモデルの「V9x」、10インチサイズの「Light Tab 10.1」、さらには薄型でより高解像度画面の「Light Tab X」が予定されているとのことである。スマートフォン新製品も含め、2月にスペイン・バルセロナで開催されるMobile World Congress 2012では新しいアーキテクチャを搭載した製品や新サービスを発表する予定とのことである。

2011年は端末販売シェア4位まで成長、世界の主要事業者36社に端末を供給している世界中で800万台を販売したBlade
大画面、高速CPUのSkateは3ヶ月で200万台を販売タブレットはハイスペックモデルを今年3機種投入予定
Senior Director of WirelessのRichard Li He Ye氏

 続いてSenior Director of WirelessのRichard Li He Ye氏が、同社の2011年の実績を報告。端末販売数でシェア4位になったことを再度説明し、また第3四半期には他のメーカーを抜いて最も利益成長率の高い企業になったとのこと。中でも端末利益は54%増加したとのことである。オーストリアでは地元事業者と提携し、世界初のFDD/TDD-LTEデュアルモードネットワークを構築。LTE市場でもマーケットリーダーとしての存在力を高め、世界に10万台以上のLTE端末を販売、現在28の通信事業者とLTEネットワーク構築の契約を結んでいるという。
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オーストリアではFDD/TDD-LTEネットワークを構築LTEのリーディングカンパニーとしての地位を確保

日本はハイエンドスマートフォンを求める市場

 説明会とともに開催されたラウンドテーブルでは、Lv Qian Hao氏が記者からの質問に答えた。まず各社からスマートフォン新製品が続々と登場する中で、ZTEが他社と差別化できるポイントはどこにあるのだろうか。Lv氏はアフターケアを支援するアプリケーションを提供したり、使いやすいユーザーインターフェイスの開発など、製品そのもののに付加価値を与えている点が強みになっているだろうと答えた。特に個人情報のセキュリティにはZTE独自の専用アプリで対応しているという。

 また、スマートフォンの今後の展開については、幅広いレンジの製品を拡充していくことで消費者ニーズに応えていくとのこと。日本ではミッドレンジクラスの製品のみを販売している同社だが、海外ではすでにLTE対応のスマートフォンや中国メーカーとして唯一のWindows Phone 7.5スマートフォンなど、ハイエンド嗜好の消費者向けの上位機種も販売している。ミッドレンジ製品はコストバランスを第一に考えた製品であり、そしてエントリー向けスマートフォンはマーケットシェアを広げ、スマートフォン利用者の拡大を図るものと、ターゲット別に複数の製品が今後も展開されるとのこと。なお、スマートフォンのOS戦略については、OSはメーカー側で採用を決めるものではなく、消費者が求めるものを提供するものだと語り、Android OSもWindows Phoneもニーズに応じて製品を作り分けていく予定とのことだ。

 気になる日本市場について、Lv氏は「ハイエンドを好むユーザーが多い非常にユニークな市場」であるとし、その中で子供向けの端末や年配者向けの端末を出すなど、差別化できる製品をこれまでに投入してきたとのこと。今後は日本人の求めるハイエンドで、そして信頼性の高いスマートフォンを提供していきたいと語った。また現在日本では一部の事業者のみからの端末販売となっているが、他の事業者ともジョイントリサーチなどを行い消費者のニーズを確認しながら製品供給の可能性を探りたいと語った。

 今後の戦略について、まず2012年はスマートフォンを昨年販売した24機種以上、市場に投入したいとのこと。またZTEというブランドの認知度を広げるためにも、他社には無いZTEオリジナルといえるデザインや使いやすさを考えた製品開発を重視していく考えだと語った。




(山根康宏)

2012/1/17 17:47