中規模企業でのスマートフォン、タブレット利用に関する調査


 ノークリサーチは、中堅・中小企業(年商500億円未満)のシステム担当者を対象にした、モバイル端末の利用に関する調査結果を発表した。主にスマートフォンやタブレットの活用について考察されている。調査は2011年8月に行われ、有効回答数は1400件。

 今回の調査では導入済み製品やその運用形態、導入費用、新たに導入を予定している製品や、今後新たに導入する予定率などを尋ね、そこから見えてきた中堅・中小企業におけるモバイルサービスの課題が示されている。

 それによれば、今回の調査で明らかになった課題は「活用シナリオ不足」「端末管理負担」「システム対応」の3つと指摘されている。企業の規模に限らず、外出先や自宅での利用ニーズは高いものの、スマートフォンやタブレットといった端末に備わる加速度センサーやGPSといった機能が活用されるような用途が提示されておらず、企業側にとってはノートパソコンやフィーチャーフォン(従来型の携帯電話)で十分な状況が続く。さらにスマートフォンの急速な普及で、社員個人が保有するようになったものの、それを業務に用いるとしても「中堅・中小企業においては(中略)運用管理ポリシーの策定や管理ツール導入も負担が大きい」(ノークリサーチ)とする。また、社内の業務システム自体がWeb対応していない状況も多く存在しており、システム改修が必要とされる。

 こうした状況を踏まえ、同調査では「スマートフォンの活用割合が多いのは情報共有系と顧客管理系」と分析。CRM、グループウェア、メールといったツールは中堅・中小企業でもスマートフォンでの利用が進んでいるとするが、それでも活用の割合は10%以下という。タブレットについては、利用率が5%未満とのことで、社員個人が保有する端末の業務利用(BYOD、Bring Your Own Device)により電子化したカタログや契約書を持ち運ぶ、ペーパーレスでの利用が主になっているという。

 中堅・中小企業におけるスマートフォンやタブレットの活用はまだ多くはない現状を示した同調査では、今後、活用の幅が広がる可能性を予測している。

(関口 聖)

2011/11/11 12:56