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DeNAがキュレーション問題の第三者調査報告を発表

代表取締役は2人体制、南場氏が復帰

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は、キュレーションメディア事業で発生した不適切な記事や、著作権を侵害した疑いのある記事の掲載などに対する第三者委員会の調査報告書を公表した。あわせて同社の代表取締役を1名から2名に増やし、現任の守安功代表取締役社長兼CEOに加えて、創業者の南場智子氏が代表取締役会長兼執行役員となる。

 第三者委員会の調査では、医療情報サイトで、根拠の不確かな記事などを掲載していた「WELQ」をはじめ10サイトが対象となった。調査の結果、他のメディアなどから記事を無断転載するなど、複製権や翻案権を侵害する記事は全体の1.9~5.6%との推計に至った。一方、その可能性がない記事は0.5~3%と見られている。ただし公衆送信権や同一保持権など他の著作権を侵害している可能性はある。

 調査では、キュレーションメディアとしてどう運営されていたかといった点でも、スタッフや外部ライターに意見を聞くなどしてその実態をレポートしている。それによれば、目標とする時価総額から逆算して、1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)など目標とする数値を定めていたこと、2015年夏頃から記事量産を本格的に実施したことを紹介。

 記事が増えるに従って、各サイトの責任者(プロジェクトオーナー)の手が回らなくなり、記事内容を自ら確認できず、「記事の作成・確認」、「タイトルの設定や確認」「記事内容の確認」というプロセスを外部に委託するプロジェクトオーナーまでいたという。ただし、そうした姿勢は人によって異なり、中には公開する記事内容を編集担当が確認する体制を採り続けていた人も居れば、記事の作成プロセスの分割と外注化に特に抵抗がなかった人もいたという。

 またキュレーションサイトのひとである「MERY」(DeNA子会社のペロリが運営)は、画像を他サイトから無断でコピーする手法を採っていた。これは、直リンクの場合、出典元のサーバーに負担をかけてただ乗りする行為であり、モラル上問題のある行為と考えたためだという。その後、親会社のDeNAが画像コピーは著作権を侵害するため、直リンク方式にあらためるよう要請したが、ペロリ社は子会社になる前の記事の画像は直リンクにしつつ、子会社後に手がけたものは対応しなかった。これは、直リンクの場合、MERYの記事表示速度に影響が出たり、もともとのサイトで画像が差し替えられた場合などで、ユーザーに不便をかけることなどを懸念したためという。こうした状況は、2016年1月、DeNAの内部監査室が把握したものの改善されなかった。

 このほか、記事作成マニュアルやチェック体制、記事の単価などについても検証された。たとえば記事の単価については、クラウドソーシングを通じて多数のライターを集められていたことなどから不当に安かったとは考えられない、としつつも、記事の質に関しては、「コピペなどを含んだ不適切な記事の執筆を生む背景になったことは否定できない」としている。