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富士通、コンクリートに落としても耐える「arrows NX F-01J」を紹介

らくらくホンや法人向け端末も

2016年秋冬モデルが加わった富士通のラインナップ

 富士通コネクテッドテクノロジーズは25日、報道関係者向けの新製品説明会を実施した。ドコモ向けのスマートフォン「arrows NX F-01J」やシニア向け折りたたみ端末「らくらくホン F-02J」、法人向けのAndroidスマートフォン「arrows M357」が紹介された。

富士通コネクテッドテクノロジーズ 代表取締役社長 高田克美氏

 高田克美社長は、2月に分社化して誕生した同社の方向性を示した。高田氏は「スマートフォンの技術をコアに、端末だけでないさまざまな付加価値を提供する」として、業務用製品、エンジニアリング、サービス分野などへの展開を進めると説明した。例として、業務分野では、翻訳に特化した端末やカラオケ専用端末、エンジニアリング分野ではロボットやデジタルオーディオなどを挙げた。

 サービス分野では、会員数80万人という、らくらくホンユーザー向けのSNS「らくらくコミュニティ」を紹介。「シニア向けではあるが、ユーザーのリテラシーも向上している」(高田氏)として、他社のコンテンツと連携した新サービスを検討しているという。高田氏はコンテンツサービスの提携先として、NTTドコモを挙げた。

arrows NXのオーディオを監修したオンキヨー、スマホ開発も計画中

オンキヨー 代表取締役副社長COOの中野宏氏

 ドコモの2016年冬モデル「arrows NX F-01J」は、オーディオ再生機能をオンキヨーが監修している。オンキヨーの副社長COO 中野宏氏は、その取り組みを説明した。

 「arrows NX F-01J」で、オンキヨーが監修したのは、オーディオ再生チップの部品選定とチューニング。中野氏によると、高精度な部品を使うだけでなく、エンジニアが品質改善の提案を行った結果、「部品の実力を引き出すノウハウを使った、オーディオプレイヤー並にノイズの少ない高品質な音を実現した」(中野氏)という。オンキヨーの「マイスター」が認めたことを示す「Tuned by ONKYO」の初の製品として、販促にも協力していく方針としている。

 中野氏はまた、2017年にオンキヨーブランドのハイレゾ対応スマートフォンを発売することを明らかにした(※関連記事)。富士通とは、「スマートフォンの音質向上」「高付加価値な携帯情報端末の開発」「新規販路の開拓」などで協業を検討するとしており、オンキヨーブランドの端末の開発についても、富士通との協業の可能性があるという。

“安心”のために堅牢性を強化「arrows NX F-01J」

富士通コネクテッドテクノロジーズの執行役員 林田健氏

 富士通コネクテッドテクノロジーズの執行役員 林田健氏は、NTTドコモ向けの4モデルから「arrows NX F-01J」と「らくらくホン F-02J」の2モデルと、法人向けの「ARROWS M357」を紹介した。

 MILスペック対応など、堅牢性を目玉にしていたarrows。「arrows NX F-01J」では更に強化し、「1.5mの高さからコンクリートに落とす」という同社独自の試験を実施している。同社がそこまで堅牢性にこだわる理由を林田氏は、「24時間365日使っている中で、あらゆるシーンで意識せず使える」と説明した。

 堅牢性な構造を実現するため、宇宙航空産業などで利用されている7000番台のアルミ合金をサイドフレームに採用。内部にステンレスのフレームを追加した「SOLID SHIELD」構造としたという。

arrows NX F-01J
耐久試験の様子

 デザインも今までの機種からリニューアル。コンセプトは「50/50」で、手に持った時に触れる背面を柔らかい樹脂素材、精密な動作が求められる前面はメタルベゼルとガラス素材と使い分けた。

 フラッグシップモデルの前機種、「arrows NX F-04G」から搭載されている超解像表示技術は、これまでの動画だけでなく、静止画にも適用されるようになった。虹彩認証も専用カメラとアルゴリズムの両方に改良を加え、明るい屋外でよりスムーズに利用できるという。

 なお、「arrows NX F-01J」はハイエンドモデルながら、ミドルレンジ向けのチップセット「Snapdragon 625」を搭載している。“ハイエンドモデル向けのチップセットを採用しなかった理由”を質疑応答にて問われた林田氏は、「堅牢性なども含めてバランスのいいスペックと考えている。ハイエンドのチップセットは、温度上昇等で最高パフォーマンスが続かないこともある。富士通の実装技術と組み合わせた時、総合的に最高のパフォーマンスを発揮できるのがSnapdragon 625だった」と説明した。

独自の迷惑電話対策機能を搭載「らくらくホン F-02J」

 「らくらくホン F-02J」は、ドコモの2016年冬モデルとして登場する、折りたたみ型端末。従来のらくらくホンの操作性を引き継ぎつつ、VoLTEによる高音質通話をサポートする。

らくらくホン F-02J

 振り込め詐欺などの被害を防止するための「迷惑電話対策機能」を搭載。電話帳に登録していない相手から着信すると、ユーザーに繋ぐ前に「この電話は迷惑電話対策のために録音されます」という内容のガイダンスを流し、通話中に自動で録音する。ユーザー側に警戒する間を与えると同時に、振り込め詐欺の犯人側を牽制する機能だ。

 なお、ドコモ向けの新機種のうち、「キッズケータイ F-03J」と「らくらくスマートフォン 4 F-04J」は、プレゼンテーションでは紹介されず、モックのみの展示となっていた。

「キッズケータイ F-03J」は、Bluetoothで連携する「Linking」とともに展示
「らくらくスマートフォン 4 F-04J」は撮影と同時に短い動画を残せる新機能を紹介

法人向けのメーカーブランド「ARROWS M357」

 林田氏は、法人のスマートフォンに対する主な要望を「安心感」「長期供給」「カスタマイズ」「ソリューション連携」と紹介。「ARROWS M357」では、2年間の長期供給や、出荷前のカスタマイズ、ソリューションとしての販売などに対応すると説明した。

 ベースモデルはメーカーブランドのコンシューマーモデル「arrows M03」。防水防塵やMILスペックなど基本性能を抑えつつ、内蔵のFeliCaを生かした決済用端末として利用できることをアピールした。

ARROWS M357