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“科学的なネットワーク品質調査”のRootMetricsが日本進出
東京・横浜はドコモ・ソフトバンク優位、札幌はau・ドコモが優位に
2016年8月24日 15:58
英調査会社IHSマークイット傘下のRootMetrics(ルートメトリクス)は24日、日本でのサービス提供を開始した。同日、東京、横浜、札幌の3都市で実施した国内大手3キャリアのネットワーク品質調査「RootMetrics RootScoreレポート」を発表した。
IHSマークイットは、エネルギー分野やテクノロジー分野などの市場調査を世界規模で展開する企業。RootMetricsはその傘下で、世界の携帯電話キャリアのネットワーク品質を調査している。
同社は、どの携帯電話キャリアからも独立した立場で調査を実施している。調査手法は科学的知見に基づいたもので、消費者の目安となるように工夫されているとしている。
東京・横浜はドコモ・ソフトバンク優位、札幌はau・ドコモが優位に
24日には、東京、横浜、札幌の3都市で実施された2016年上半期の調査結果が発表された。
同社の調査結果は、「RootScore」と呼ばれる100点満点のスコアで表示される。スコアを元に順位がつけられ、統計学上の有意差がない場合、スコアは僅差で違っても同じ順位として扱われる。
首都として調査対象に選ばれた東京エリアでは、総合スコアでソフトバンクとドコモが97点台を獲得し、1位となった。ソフトバンクは、データ通信とネットワークスピードの2つのカテゴリーで単独で1位を獲得している。SMSカテゴリーでは3キャリアともに同列1位となっている。
東京から近いことから選ばれた横浜エリアも、東京エリアと同様の傾向が見られた。
東京から離れた札幌エリアでは、auとドコモが総合パフォーマンスで97点台を記録し、1位となっている。auはネットワークの信頼度では単独1位となり、通話でもドコモと並んで1位を獲得している。ネットワークスピードとデータ通信の項目では、ソフトバンクが単独で1位となった。
スコアの受け止め方、調査方法は?
今回の調査は3キャリアとも全都市の全項目で90点以上を記録する結果となっている。この「RootScore」をどう受け止めればよいのだろうか。
RootMetricsでCRO(最高売上責任者)を務めるスコット・ブレディー氏は、「RootScoreで90点以上なら、かなり優秀な結果だ」と話す。続けて「通話やデータ通信のパフォーマンスなど、それぞれの順位付けを重視して選ぶか、ネットワークではなくサービス面で比較して選ぶといった方法で、参考にしてほしい」と語った。
RootMetricsでは、実際にそのキャリアを利用するユーザーの参考になる調査にするため、各キャリアの店舗で端末を2台ずつ購入。テスト実施時は専用のプログラムを用いて、人の手に触れずに、計測作業を同時に実行しているという。
調査環境についても、屋内、屋外、自動車走行時などを組み合わせ、お昼時、夜間などさまざまな時間帯で測定することで、バラつきがでないように配慮している。
7分半のテストサイクルの中で、単純なネットワークスピードテストだけでなく、データ送信の信頼度や軽量データ送信時のパフォーマンス、SMS送受信の時間、アプリのタスク実行、通話障害の有無など、多くの項目を測定する。今回の調査の場合、1地点で約150項目の情報を計測しているという。
この測定結果を掛けあわせ、スコアとして表示する仕組みだ。調査結果について、収穫逓減の法則を考慮し、ダウンロード速度などがユーザーが必要とする速度を上回る場合には、スコアに反映されづらいような補正を施しているという。
同社のホームページ上では調査結果のほか、エリアカバレッジマップの形式で調査結果が公開されている。同社は今後、日本で調査地域を拡大する方針。
なお、同社は米国などではMVNOの調査もネットワーク品質調査の対象としている。ブレディー氏は、日本ではまずはMVNOについて調査する場合も「回線の提供元となる大手キャリア(MNO)のネットワークについての調査情報の蓄積を優先していく」と話した。