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auは電波が弱い? KDDI株主総会で挙がった声

 KDDIは22日、定期株主総会を開催した。冒頭、2015年度の業績と2016年度以降の3年間におよぶ新しい中期経営計画や、新サービスの「au STAR」などが紹介された。その内容は、5月に行われた決算説明会(※関連記事)、あるいは夏モデル発表会(※関連記事)で案内されたもの。

 その後の質疑応答で寄せられた、消費者目線での株主からの質問を紹介しよう。

KDDIの田中社長

auのエリアが弱い?

 奥多摩にある東京都の最高峰をご存知ですか、と切り出した株主が投げかけたのは、auのサービスエリアに関する質問。日本百名山に数えられ、多くの人が訪れる山なのに、山頂でauは圏外、ドコモは余裕で(電波が)入ると指摘する。

 SNS全盛の時代、富士山をバックに「山頂なう」と発信したいが、auユーザーはそれができずに残念な思いをしている。遭難防止にも繋がる。一方で、知床半島の山ではシカやヒグマが人間より多いと言われているがサービスエリアだ……と続ける株主に、KDDIの担当役員からは「不足しているところがある。少しずつかもしれないが精力的にやっていきたい」と善処する姿勢を示す。

 別の株主からは、「マンションの高層階で電波の繋がりがよくない」という訴えが寄せられる。高層マンションは、周囲の基地局からの電波が届き、それらが干渉してしまうことがあるため、対策といてリピーター(中継器)や、小型基地局を設置する、というのが常套手段。auもまた、ユーザー向けにエリア改善の要望を受け付け、スピーディに対策する仕組みを整えており、今回も株主にそうした内容をあらためて紹介した。ただ、そうした数年前からの取り組みが、あらためて提起されたというのは、auの取り組みがまだまだ認知されていない、と見ることもできる。

EZweb、いつまで続ける?

 Androidベースのフィーチャーフォンを他社に先駆けて投入してきたauだが、質疑では「(2020年の東京)オリンピックまでEZwebは使えるのか」という問いが挙がる。

石川氏

 これに、石川雄三専務は「フィーチャーフォンはずっと継続する」とAndroidベースの機種を投入していることを説明。その上で「一部のアプリは2018年3月31日で終了するがEZwebの基本機能は継続する」と回答。ここで言う「一部のアプリの終了」とは、4月下旬に公表されたもの(※関連記事)。ケータイ de PCメール、災害時ナビ、あるいはEZアプリ配信機能が終了することを指す。

Windowsスマホ、一般向け販売は

 KDDIでは今夏、HP製のWindows 10 Mobileスマートフォン「HP Elite x3」を発売する。ただし法人向けに限った展開とされている。

 株主がWindowsスマホへの取り組みに関して質問すると、石川氏は同機種を法人向けに提供するとした上で、「一般の方向けの提供は未定。ニーズをよく把握して、前向きに考えたい」とコメントした。

au WALLETカード、改善の要望も

 au経済圏の中心として、今後のKDDIにとって重要なサービスとなるのが「au WALLET」。

 株主からはサービス改善などを求める要望が寄せられる。ひとつはプリペイドの「au WALLETカード」紛失時などの補償サービスの整備、あるいはPayPalで利用できるようにすることといったものだ。こうした要望に、髙橋誠専務は検討を進める方針を示す。

髙橋氏

タスクフォース、ドコモが有利になった?

 2016年に入って、国内の携帯電話市場に大きな影響を与えたのが総務省の取り組み。2015年終盤にかけて行われたタスクフォースの議論とそれに基づく要請で、実質0円の廃止、ライトユーザー向けプランの拡充などが行われた。

 ある株主は「一連の流れにより、コストをかけずに転出を防げるようになり、シェアの高いドコモが有利になったのではないか」と指摘する。

 これに田中孝司代表取締役社長は、総務省の指摘に従ってKDDI側も是正しなければならないことがある、としつつ、「シェアの大きい方は有利になるとは思う」と率直なコメント。とはいえ、ただ手をこまねくのではなくドコモへの対策をしっかり展開する、と説明する。また政府高官が携帯電話料金の値下げに関する発言を行うと株価へ影響するから困る、総務省と調整してもらえないかという声には「なかなか回答するのが難しい」と苦笑しつつ、事業者として市場動向にあわせて料金プランの見直しをはかる、という基本的な姿勢をあらためて紹介した。