【CEATEC JAPAN 2009】
シャープ、次世代XMDF利用の「クラウドブックサービス」


テレビ画面に映し出された新聞
「ワンソース・マルチユース」を掲げる次世代XMDF

 シャープブースでは、さまざまな機器で電子化した新聞や雑誌などを楽しめるようにするサービス「クラウドブックサービス」が紹介されている。コンセプトを紹介する参考出展で、商用化が決定しているわけではないが、専用端末の試作機も展示されるなど、本格的な内容となっている。

 これまでは手元のパソコンや携帯機器を単体で使う“スタンドアロン”的な利用スタイルが中心的となっているが、インターネットの高速化に伴い、サーバー側と連携させる利用スタイルとして「クラウドコンピューティング」と呼ばれるスタイルの普及が期待されている。今回シャープでは、新聞・雑誌などを電子化した上で、サーバーと連携させ、複数の機器で利用できるスタイルを提案している。このスタイルの名称が「クラウドブック」ということになる。

 あくまでコンセプトという段階だが、今回の展示では「朝の出勤前はハイビジョンテレビで、通勤中は専用端末で、その後はノートパソコンなどで利用する」といった使い方が紹介されていた。

 「クラウドブック」を実現する技術は、サーバーと端末の連携のほか、「次世代XMDF」が挙げられる。シャープでは、電子書籍用の規格「XMDF」を開発、提供しており、主に携帯電話向けの電子コミック、電子書籍で利用されているが、現行の「XMDF」の新バージョンと予定されている「次世代XMDF」では、新聞・雑誌も電子化できることが特徴の1つとされている。

 文章だけ、図版だけというレベルであれば電子化することは既に可能だが、次世代XMDFでは「1つのソースを複数展開できる」ことに主眼が置かれる。新聞・雑誌は、紙の媒体として印刷を前提としたレイアウトを採用するが、次世代XMDFでは、紙媒体向けのレイアウトを維持しながら、電子化した場合、画面サイズに応じてテキストを自動的に折り返したりするなど、柔軟な表示が可能となっている。新聞社や出版社にとっては、1種類のデータを作るだけで、紙に加えて、携帯電話やパソコン向け配信が可能になる。

参考出展のマルチブック端末タッチパネルで操作するコンテンツ一覧

 また「クラウドブック」のコーナーには、専用端末の試作機も参考出展されている。これは「マルチブック端末」と呼ばれるデバイスで、OSなどは不明だが、タッチパネルディスプレイで、無線LAN機能を搭載し、「クラウドブック」のコンテンツを閲覧できる。実際に操作でき、トップ画面ではおすすめコンテンツや読みかけの書籍がリストアップされ、閲覧画面では「画面上部に雑誌のレイアウト」「画面下部に本文」という表示ができる。新聞を読むときは、見出しをクリックすると記事本文にアクセスできるようになっていた。動作のもたつきなどもなく、完成度は高いという印象を受けたが、商用化は未定とのこと。

目次画面上に雑誌と同じレイアウトを表示テキスト表示部を広げると、文字サイズも変化

 



(関口 聖)

2009/10/7/ 16:29