南の島ではケータイ禁止?!

 KDDI総研 森口泰行
 (株)KDDI総研 総務企画部 企画グループ。クルマの情報化などの分野を担当。スマートフォンに切り替えて約2年半が経過するが、スマートに使いこなせていないと実感するこの頃。家や家電もスマートになる時代にはどうなることやら……。


 “ハワイ”といえば連想するのは「ビーチ」「ショッピング」「フラダンス」「夕日」「ダイヤモンドヘッド」「ハネムーン」などだろうか。今回は筆者が先日休暇で訪れたハワイにおけるケータイ関連のトピックをご紹介したい。

 まず、ハワイといえども米国の一部。電車もなく移動手段は当然ながら車が中心となっている。そんなハワイで(正確にはハワイ州オアフ島では)2009年7月1日から自動車運転中の携帯電話(テキストメッセージの送受信を含む)の使用が禁止になった。日本では2004年から施行されているので、「今ごろ?」という感があるが、車社会の米国においては規制への抵抗感も強く、今回のオアフ島でも過去に一度廃案になるなど紆余曲折があったようだ。また、同じハワイ州でもハワイ島ではやや遅れて2010年1月から施行予定、マウイ島は未定と同じ州でも足並みが揃っていない。

 2009年7月現在、全米50州中でも州単位で規制されているのはカリフォルニア、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、ワシントンの5州で、その他郡または市単位でもワシントンDC(特別行政区)、シカゴ市(イリノイ州)、サンタフェ市とアルバカーキ市(ともにニューメキシコ州)に今回のオアフ島(ハワイ州)という程度で、まだまだこれからといったところ。

 それにしても米国の旅行者にとっては、国内の行く先々で法律が違うのは大変そう。うっかり旅先をドライブ中に電話してしまい、御用になる人も多いのではないだろうか。

 なお、オアフ島での法案が成立した今年の春頃から、ハンズフリーの通話キットが良く売れているとのこと。日本では2004年に同様の法案が施行された後も、あまり一般乗用車中でハンズフリーキットを使用して電話をする姿を見ないが、車社会のハワイでは浸透するのかもしれない。

 というのも、ハンズフリーは日本では車に限らず街中でもほとんど見かけないが、ハワイではジョギングやウォーキング中にハンズフリーで電話しながら、という風景を結構目にする(見慣れるまではウォークマンをききながら、何かブツブツつぶやいている怪しい人に見える)。筆者にはあの通話スタイルはどうも馴染めそうにないが、米国人にあまり抵抗感がないのであれば、車でのハンズフリーもすんなり普及するのかもしれない。

 ただ、ハンズフリーでも運転への注意力が低下するという研究報告は米国でもされており、やはり車社会の米国といえども運転中は携帯電話を利用しないのが良いようだ。

 また、ハワイは毎年600万人以上の旅行客が訪れる観光地だが、国別では米国本土からの旅行客がもっとも多い。州の統計によると彼らの平均滞在日数は約9日強(ちなみに日本からの旅行客は平均滞在6日弱)であり、プールやビーチでチェア、パラソル、タオルなどを広げて、ひたすらゆっくりと読書や昼寝をしている。

 その彼らの読書、筆者は「プールやビーチではそろそろ電子書籍端末のAmazonのKindle(2007年秋に発売され順調に契約数を伸ばしているモバイルブロードバンド機能付きの端末)が幅を利かせているのでは?」と期待していたのだが、実際のところ現地でそのような光景は見かけなかった。見かけるのは紙の本ばかり。ビジネスならまだしも、休暇にまで電子機器を持ちこみたくないのだろうか? それとも、防水や防砂機能つき電子書籍端末の登場待ちなのだろうか? あるいは、電子書籍端末は高価なので、ワイヤレスを活用した盗難防止機能が付けば、プールやビーチにも安心して持って行けるのかも。




2009/8/26 11:29