本日の一品

キッズに想像を超える大人気! ウェアラブルおもちゃ「Moff Band」

 ナイキのFuelbandをはじめ、腕に装着するバンド型ウェアラブルデバイスは、去年辺りから続々と国内でも発売されてきた注目のジャンル。ヘルスケアだけでなく、Apple Watchのようにファッションアイテムの要素を取り込んだものも姿を現しており、今後ますます広がりを見せそうだが、その中でもひときわユニークな製品が登場した。それがこの「Moff Band」。ひと言でいうと“おもちゃであることに特化した”ウェアラブルデバイスだ。

 Moff Bandは、ユニークなプロジェクトに対して賛同者が資金を援助する、米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で800万円もの資金を獲得できたことでも話題になった。いよいよこの10月に一般向けにも発売になり、手元に届いたので早速試してみた。

「Moff Band」。これは伸ばした状態で、腕に軽く打ち付けるとくるりと巻きつく、いわゆる「パッチンバンド」になっている
腕に巻きつけるとこのようになる。腕の太さに合わせて巻きつくので、子供も大人もワンサイズで対応可能

 Moff Bandに興味を持ったのは、わが家の子どもたちはどんな反応をするだろうか、と思ったのが理由の一つだ。わが家には小6、小3、2歳の男子3人がおり、この手のオモチャは複数ないとすぐ喧嘩になるので、2個購入した。

 開封して、最初にセットアップに必要になる。といっても、ボタン電池を装着するだけ。この手順は、サポートサイトで公開されている動画やダウンロード可能なマニュアルPDFで説明されている。

バンド部分から、センサーユニットを取り外して、電池を取り付ける。コインで回して外す裏蓋が少し外しにくいので注意

 利用に当たっては、まずiPhone用のアプリ「Moff」をダウンロードして、デバイスと本体をBluetoothで接続する。ユーザー名などを登録する。複数のユーザー名を登録できるが、現段階ではどのユーザーを使っても変化がないようだ。

 アプリの画面は非常にシンプル。「Sword」や「Toy Gun」「Ninja」といいたさまざまな遊びのアイコンが並んでいる。遊びの中には、数種類の音が用意されたものもあるので、タップして選ぶ。あとは腕を動かすだけだ。

 腕を振るとその動きに応じて、効果音がiPhoneから鳴る。例えば、「Sword」であれば映画や時代劇などでよく聞くチャンバラの音。同じSwordでも、腕の振り方や回数でサウンドのバリエーションがあるので、腕を振り続けても単調にはならない。

 「Moff」アプリには、Moff Bandを2つまで登録でき、2人でチャンバラごっこができるという仕組みだ。

遊びのラインナップは16種類(10月末時点。後述するがアップデートで種類は増えていく)。武器や魔法、楽器、スポーツ、乗り物がテーマなので、子どもは興味津々で遊び出す
Moff Bandをアプリに登録するのは少し手間がかかり、実際にはここは親(私)がサポートした。それ以外の設定は特別教えなくても勝手に進められるぐらい簡単だった

 実際に、子どもたちに遊ばせてみたところ、これが抜群の食いつきで盛り上がる盛り上がる。「動くと音が出る」というシンプルな仕組みがこれほど、子どもたちの心を掴むとは予想していなかった。

 どれぐらい盛り上がったかを例を挙げてみると……。
・小3男子が、何も説明してないのにどんどん音を変えて遊び出す。
・音に合わせて踊り出す。音が鳴る。踊る、のループ。
・楽器系のサウンドで男子2人がセッションをしようとする。
・近所の4歳の女の子も「Magic」のサウンドでプリキュア気分。
・2つあるのに奪い合いの喧嘩が始まる。

 といったように、大騒ぎ。2歳児から小6まで誰もがひとりでに操作して遊び出すまでになった。これは画面のシンプルさが非常に功を奏しているようだ。

チャンバラで闘ったり、楽器サウンドで共演するなど、協調プレイも楽しめる。2つ用意して大正解であった
パッチンバンドの装着感も楽しいようで、2歳児は遊んでない時もつけたまま手放さないほどだった。遊んでないのに着けたままの2歳児。「妖◯ウォッチ!」と叫んでいるように聞こえるのは気のせいか(笑)

 最初にも書いたように、ざっくり説明すると「腕につけて動く」だけの遊びなのだが、サウンド次第でイマジネーションが広がる点でMoff Bandは非常にうまくデザインされていると感じた。

 同じような効果音が鳴る単体のオモチャはいろいろあるが、何も持たないのに持っているかのように音がなる「エア◯◯」(エアギターやエア野球)が、かえって子どもたちには受けているようだ。

 すぐ飽きるのではと思ったシンプルさは、単純な分、想像力で補う余地があるためか、腕を動かさずにジャンプしたり、バンドを足に付けて動いてみるなど、動きを変えて楽しんでいたのが印象的であった。

次第にジャンプするなど、アクションが大きくなるのは小学生男子の性か。スマホのゲームにもかかわらず、思いっきり体を動かすところがユニーク

 遊びの種類は、アップデートで増えるようで、このレビューを行っている最中にも早速、電車の音と動物の声が追加された。さらにその後に公開されたのが、「Harley-Davidson」。バイクのアクセルを回すように腕をひねるとエンジンサウンドが鳴り響くという仕掛けだ。

 このような企業やブランドなどとのコラボでさらにMoff Bandの世界が広がる可能性がある。これは、筆者のまったくの個人的希望だが、某SF大作映画のライトセーバーのサウンドはぜひ追加してほしい。いろいろライセンスの壁はあるとは思うが期待したところだ。

遊びの中には追加データの登場の予告が表示されるアイコンもあるなど、思ったより長く遊べそうな気がする

 モーションセンサーバンドの製品となると、欲張って歩数計などの機能を盛り込んでみたくなるのが通常の発想のような気がするが、Moff Bandの潔いのは、音のおもちゃに徹しているところ。一方で、開発元ではおもちゃ止まりで終わらせない考えがあるようで、Moff Bandによるビジネスでの活用を検討しているとのこと。とかく機能を盛り込みがちなウェアラブルデバイスが多い中で、できることを絞り込んで作られたMoff Band。おもちゃとしてだけでなく、さらに面白いものに進化することを期待したい。

製品名製造元購入場所購入価格
Moff BandMoffAmazon.co.jp5616円

中筋義人