本当にシャッター押すだけの簡単コンパクトデジカメ


ピンクをプレゼントしたかったが売り切れだったのでオレンジを選択

 以前、母親にデジタルカメラをプレゼントしたことがある。ずいぶん昔の事なのでそろそろ新しいものをプレゼントしようと思い立った。以前渡したものはソニーのDSC-U10で、発売は9年も前だ。コンパクトかつシンプルな操作系で母親にも好評だったが、老眼が進んで操作しづらいようなので新しいものを選ぶことにした次第である。

 思えば、しばらくコンパクトデジカメを購入していない。ハイエンド・コンパクトやデジタル一眼レフ、ミラーレス一眼などばかりで、普及帯のコンパクトデジカメには見向きもしていなかったから、新鮮な気持ちで売り場を眺めた。各社とも、大きな背面液晶画面はもはや基本となっているようで、老眼が進んだ高齢者向けという条件はクリア。操作性に重点をおいて実機を操作した結果、もっとも簡単だったキヤノンの「IXY 210F」を購入した。

 「IXY 210F」は、焦点距離が28mm-112mm、開放F値はF2.8の光学系に、1210万画素の撮像素子、光学手ぶれ補正、HD動画撮影、背面液晶は3インチ、という今時のコンパクトデジカメとして抑えるべきところを抑えたスペックのカメラだ。差別化を計るとすれば、防水性能や背面液晶のタッチパネル化といった所だろうが、このカメラはそのいずれでもなく、分かりやすさに重点をおいているようだ。

 最初に使ってみて驚いたのは、マクロ機能への自動切り替えだ。マクロ撮影をする時はチューリップのボタンを押して……というのが当たり前だと思っていたが、このカメラではマクロと通常を自動で判断して切り替えてくれる。しばらく見ないうちに進化したものだと、店頭で思わず唸ってしまった。これで、使うべきボタンが一つ減った。自分で使うぶんには意識もせずに使っているマクロボタンも、慣れてない人にとっては覚えるのに一苦労であろう。これ一つをなくすだけでも大きな進歩と感じる。

 これはそもそも「こだわりオート」の一機能で、他にも人物、動いている人物、風景、逆光の風景、(前述した)近くの物など、多彩なシーンを自動で判別して適切なモードを選択してくれる。またフォーカス位置を選択する事で、動く人の顔にフォーカスを合わせ続けたり、ペットの顔認識・追従もできるなど、カメラに相当の部分を任せ、きれいな写真を撮影できる。

もう一つ、綺麗な写真を撮るために必要なのはフラッシュを任意でON/OFFする事だが、これも方向キーの右側に割り当てられており、一回押すだけでON/OFFを簡単に切り替えられる。つまり、母親に教えるべき操作方法は電源の入れ方、シャッターの切り方、ズーム、再生の操作方法、くらいのものだ。教える方も教わる方も実にシンプルで拍子抜けする(パソコンへの取り込み方はじっくり教える必要はあるが……)。 伸びしろなんてほとんど無いと思いこんでいたコンパクトデジカメの進化に、驚かされる今日この頃である。

ボタンの数は最小限にまとめられている三脚に固定し被写体に近づけただけだが、自動的にマクロモードに切り替わっている

 

製品名製造元購入価格
IXY 210Fキヤノン1万5800円

 

 

(ナカムラ)

2011/8/4 06:00