災害時も安心な現代的ホームラジオ~「ICZ-R50」
ソニーICZ-R50 |
Radikoの開始以来、筆者の周りではラジオ人気がさらに高まっている。ただし、対応は在京AM/FM民放だけで、それ以外、近県のFM局やNHKなどでは、放送電波を受信しなければならず、手持ちのUSBラジオチューナーでは感度が悪く、Radikoのノイズのない音質と比べると残念な状態になっていた。
そんなときに見つけたのがソニーの「ICZ-R50」。デジタル製品でソニーの商品ジャンル的にはICレコーダーの分類になるようだが、トランジスタラジオでは老舗中の老舗のソニーだけに期待できる製品。価格はラジオとしては安くはないが、高価なICレコーダープラスアルファ程度の価格で入手できるので、見つけて即ポチしてしまったのだ。
しかし、奇しくもポチって届いたのが3月11日の午前中。「平成23年 東北地方太平洋沖地震」の数時間前だ。週末のラジオ放送の録音に間に合うと思って購入したのだが、まずは災害対応に活躍する結果となってしまった。
「ICZ-R50」は実際に使ってみると、AMラジオの感度が高く、鉄筋の建物の中でもかなりの数のAM局が受信可能。FMラジオもアンテナを伸ばせばかなりの局を受信できる。そして比較的大きなステレオスピーカーを内蔵し、自然な音質で大きめの音が出るため、みんなで聞くにも適している。しかも乾電池でも付属のACアダプターでも動作する、まさに現代的な機能を備えたホームラジオと言えよう。
これからしばらくの間、首都圏では電力供給の関係で「計画停電」が実施される見込みだ。ネットもテレビも使えなくなったとき、乾電池で動作し、しっかりとした感度で確実にラジオ放送が聞こえるラジオは“心のライフライン”で、安心を提供してくれる。もちろん録音も簡単なので、重要な周知事項が放送される際は、すぐに4GBの内蔵メモリーに録音することもできる。
電池の持ちも、カタログではラジオが11時間となっているが、ニッケル水素充電池で使ったところ、小さめの音なら半日使っても電池目盛は全く減らなかった。
もともとの購入目的だったラジオの録音も試してみたが、こちらも順調だ。USB接続すればマスストレージクラスのドライブとして認識され、簡単に音声ファイルをパソコンに転送できるのは同社のICレコーダーと同じ。しかし、USB接続していると録音できない仕様は残念で、PCとつなぎっぱなしではラジオとして利用できない。ただし、考えられているのか、たまたまなのかはわからないが、パソコンに近づけることによるラジオの感度低下やノイズ混入を避けるためとも思える。
また、付属のACアダプターは一見、旧型のトランスタイプなのだが、これはノイズ対策のようだ。スイッチングタイプと違ってノイズ混入が少なく、良い選択であると感じた。実際、同等電圧・容量のスイッチング電源タイプのACアダプターを用意してみたが、ノイズがひどくてラジオ受信が使い物にならなかった。
想定外に役立ってしまった「ICZ-R50」だが、世の中が落ち着いたとしても、ラジオ録音の便利さと、万一の際に備えられる安心の両方を提供してくれるアイテムとなってくれるだろう。
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
ICZ-R50 | ソニー | 1万7800円 |
2011/3/14 12:11