季節外れの“テクノロジー超蝶”「キアゲハ」を見て自然を考える


子供の頃、ミジンコやゲンゴロウを入れたノスタルジックなサイズの瓶に蝶々が……
単4電池3本で動作する。パワースイッチは普通のONとデモモードのTry meがある

 大都会で育っても中年以降の人なら、そして地方出身者ならきっと若い人でも、子供の頃にチョウやトンボを追いかけて走り回った記憶があるだろう。小さな子供がいる家庭では、昆虫の捕獲網と採集箱は外すことのできない必須アイテムだった。

 今でも、東京都内でチョウをまったく見かけないわけではないが、その確率は以前に比べて非常に低くなった。夏休みの終わりに都内のデパートでカブトムシなどを目玉にした昆虫系のイベントがあると、親子連れの家族が大挙押し寄せて、高価なカブトムシが飛ぶように売れるらしい。

 今や、カブトムシは山の木に住んでいるのではなく、「松屋」や「三越」にいるモノだと子供は理解しているのかもしれない。そんな風に、ごく当たり前だった自然を体験するにもコンクリートの建物の中でしか味わえない悲しい時代になってしまった。

 そういう時代をより加速するのか、逆に自然回帰の心を都会人に芽生えさせるのか判断の付きにくい風変わりな商品が季節外れに登場した。“不思議”「超蝶」と名付けられた、瓶から一生出ることのないちょっと悲しい超蝶がその商品だ。

  単にタイマー仕掛けやランダムに羽根を羽ばたかせて瓶の中を飛び回るのではなく、人が、瓶の蓋を軽くポンポンとたたくことによって、超超が羽根を羽ばたかせて飛び出すトリガーを与えることが出来る商品だ。企画者の立ち位置で言い換えるなら、超蝶とのコミュニケーションを実現しているということになるのかもしれない。

  商品を買ってよ~く見れば誰でもすぐに分かることだが、超蝶は、極めて細いワイヤーで瓶の蓋の内側に繋がれている。ワイヤーのもう一方の端っこは超蝶の2枚ある内の1枚の羽根に繋がっていて。外部からの刺激により起動するモーターの回転がワイヤーと連動し、ワイヤーの一方の端にある1枚の羽根だけをばたつかせる構造になっている。

 実際には、もったいなくて分解していないので詳細は不明だが、その動作により、超蝶は瓶の中をあたかもあちこち飛び回っているように人は感じてしまう。イメージ的には人の手を離れた水まきホースが暴れるのにきわめて似ている。

 結果的に動作原理を説明するのはいとも簡単だが、これを思いついた人は素晴らしい。また、実際には蝶の1枚の羽根しか動いていないにも関わらず、ほとんど不自然さを感じる人が居ないことも面白い。我々人間は、よくモノを観察しているようで、実は経験値から得られた思い込みで判断していることが多いのかもしれない。これは奇術の世界にも共通することだ。

 いろいろなことを教えてくれる“不思議”「超蝶」だが、超デフレの日本においては、やや高価な部類に入る玩具だ。どうせなら、価格をもう少し上げても、蝶や自然保護のための寄付金を含めることができたら、よりビジネスとしても意義のある素晴らしいモノになっただろう。

 多少、人工的な感動であっても、人に感動や笑いを与えることのできる商品を創造できる明るく楽しい企業にはにはそういうマインドが似合う。


「Butterfly」とロゴが立体的に表示された瓶がなかなか味わいある印象だよく見ると実は、超蝶は細いワイヤーでフタの内側の突起のところに繋がれている細いワイヤーのもう一方の端は超蝶の2枚の内の1枚の羽根に繋がれている
【動画:クリックで再生(Flash)】
我が家では、娘が「蝶ではなく蛾」だと言って気味悪がった。それだけリアリティがあるということか。残念ながら、筆者には、蝶と蛾の動作に違いがわからない。さて皆さんはどう感じるだろうか?

 

商品名販売元実売価格購入場所
超蝶株式会社 テンヨー2940円JR上野駅前 ヤマシロヤ

(ゼロ・ハリ)

2010/11/30 06:00