スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

PCレスで静止画や動画をバックアップ&閲覧♪

PCレスで静止画や動画をバックアップ&閲覧♪

 今回のブツはソニーの「パーソナルコンテンツステーション LLS-201」(以下、LLS-201)。スマートフォンやタブレット端末、デジカメやビデオカメラなどで撮影した静止画や動画を手軽に保存できるネットワークストレージ製品だ。PC不要で静止画や動画のバックアップおよび各端末での閲覧ができるのが特徴。以前から少々気になっていた製品なので、メーカーから実機を借りて試用してみた。

ソニーの「パーソナルコンテンツステーション LLS-201」。無線ホームネットワーク(Wi-Fi)環境下で使うネットワークストレージで、容量は1TB。スマートフォンやタブレットから容易に利用できるのが特徴。サイズは幅17.2×奥行き17.2×高さ3.2cmで、質量は500g(本体のみ)。上部は浅い皿のように窪んでいる。2013年7月の実勢価格は2万7000円前後

 LLS-201は、無線LAN(Wi-Fi;IEEE 802.11a/b/g/n)環境下で使うネットワークストレージ製品。1TB HDDを内蔵しており、そこに静止画や動画を保存できる。Wi-Fi対応のNASのようなモノだが、PCと組み合わせて使うのではなく、スマートフォンやタブレットといった端末と組み合わせて使う。

 具体的には、スマートフォンやタブレット側に「PCS Manager」というアプリを入れ、このアプリからLLS-201にアクセスする。「PCS Manager」アプリは、Android版iOS版が用意されている。

左がAndroidスマートフォンからLLS-201にアクセスしているところ。右がiPad miniからアクセスしているところ。AndroidとiOS用にそれぞれ「PCS Manager」アプリが用意されている。このアプリが「LLS-201のUI」となるんですな

 使用例としては、スマホやタブレットで撮った静止画や動画をLLS-201に保存(バックアップ)したり、LLS-201に保存した静止画や動画をスマホやタブレットで閲覧したり。DLNAにも対応しているので、LLS-201上のコンテンツ(つまりスマホやタブレットで撮った静止画や動画)をDLNA対応機器(PCやテレビなど)で再生することもできる。

 また、本体にはUSBポートとメモリーカードスロット(メモリースティックデュオ/SDメモリーカード共用スロット×1(同時使用不可))があり、そこに接続したUSBストレージやメモリカードとLLS-201の間で静止画や動画を転送することができる。デジカメやビデオカメラからの静止画/動画転送もできますな。HDMI出力端子もあり、テレビなどと接続しての利用も現実的だ。

LLS-201の背面と側面。HDMI端子、USBポート、メモリカードスロットがある。USBポートやメモリカードスロットに接続したメディアとLLS-201の間で静止画や動画を転送することもできる

 てな感じでイロイロな用途に使えそうなLLS-201。以降、LLS-201の機能や使用感を見ていきたいが、とりあえずの結論から言えば、「スマホやデジカメなどモバイル機器で撮った動画や静止画の貯蔵庫」としてなかなか便利。バックアップ場所としても実用的だが、それ以上に「日常で撮った映像の活用」にかな~り役立つと感じられた。

LLS-201に静止画や動画をまとめる

 LLS-201は単純明快に使える。具体的には、LLS-201に静止画や動画を蓄積していき、それを各端末で閲覧していく。つまり、LLS-201は静止画や動画の「集積場所」になり、静止画/動画を扱うための「ハブ付き母艦」として機能するというわけだ。

 スマホやタブレット、デジカメやビデオカメラの静止画/動画をLLS-201にためていけるので、もちろん各端末のバックアップ先としても役立つ。また、LLS-201のデータは丸ごと外部ストレージにバックアップすることもできる。

 LLS-201使用前の準備として、無線ホームネットワークにLLS-201をつなぐ必要がある。具体的な方法は「取扱説明書ダウンロード」ページのクイックスタートガイドなどにあるが、今時のネットワーク機器なので、設定はフツーにスムーズに済ませることができると思う。

 LLS-201が家庭内無線LANにつながったら、まずはLLS-201に静止画や動画を転送する必要がある。LLS-201が空っぽでは何もできないわけですな。

 LLS-201への静止画/動画の転送には、前述の「PCS Manager」アプリを使う。転送したい静止画/動画がLLS-201につないだUSBストレージやメモリカードにある場合も、「PCS Manager」アプリを操作して転送する。これも前述したが、「PCS Manager」アプリはLLS-201使用のためのUIそのものなのだ。

AndroidスマートフォンからLLS-201に静止画を転送する様子。まず「PCS Manager」アプリ上で「PCSへ転送」を選ぶ。「PCS」は「パーソナルコンテンツステーション」の略ですな。ここではスマホ内の新たな写真を転送するので、転送元として「スマートフォン/タブレット」を選ぶ。次いで「新しい画像」を選べば、新たに撮影された画像のみがLLS-201に転送される
転送後、新たに転送された画像がこのように表示される。たとえば「PCS Manager」アプリをインストールしたiPad miniからLLS-201へアクセスすると、LLS-201に転送された画像をこんな感じで閲覧できる

 Android端末やiOS端末、デジカメ、ビデオカメラなどから、LLS-201へ静止画/動画を転送する。各端末/機器にあった静止画/動画が次々とLLS-201に集まっていく。で、「PCS Manager」アプリを入れたAndroid端末やiOS端末からLLS-201にアクセすると、それらの静止画/動画を閲覧できる。

 家庭内無線LAN内だけで使える静止画/動画用クラウド、みたいな感じですな。これまでバラけがちだった静止画/動画を手軽にLLS-201にまとめられ、各端末からそれらの静止画/動画を利用できるというわけだ。

Android端末やiOS端末でLLS-201にアクセスしている様子。各端末からはLLS-201内の静止画/動画を同様に閲覧することができる
スマホで撮った写真をLLS-201に転送した。左から、LLS-201上のその画像をPCに転送したもの、Android端末上で表示したもの、iOS端末上で表示したもの。どれもオリジナルのサイズで扱えるので、各端末上で画像を利用する場合でも不都合は出ないと思われる

 要は「静止画や動画はとりあえずLLS-201に転送しちゃえば、その後はどの端末からでも見られるし、SNSへの投稿とかもできるし、バックアップにもなる」という感じで使えるわけですな。

 ちなみに、動画も同様の手順で扱える。また、動画フォーマットの変換にも対応している。具体的には、AVCHDフォーマットのビデオなどを、スマートフォンやタブレット端末で視聴できるようにMP4ファイルに変換してくれる。変換は取り込み時に自動変換させたり、取り込み後に任意に変換することも可能だ。

 なお、LLS-201上の動画を各端末で観た感じですけど、フツーにスムーズに再生された。まあこれは無線LANの状態にもよると思うので、環境によってはスムーズに再生されない可能性もあるが、拙宅仕事場では十二分に実用レベルだと感じられた。

NFCやWi-Fi対応デジカメにも対応

 LLS-201を使ってみてストレートに「便利」だと感じたのは、NFC対応スマートフォンやソニー製のWi-Fi機能付きデジカメからの「ほぼ自動での画像転送」。「ワンタッチ転送」と呼ばれている。非常に簡単な操作だけで、スマホ/タブレット/デジカメ→LLS-201へ静止画/動画を転送できる。

 たとえばNFCを利用しての画像転送。NFC対応スマートフォンをLLS-201にかざすだけで、スマホ内の新しい静止画/動画をLLS-201に転送できる。

NFCによる「ワンタッチ転送」を使うには、もちろんNFC対応端末が必要&NFCをオンにしておく必要がある(左)。中央と右はAndroid用「PCS Manager」アプリ上でLLS-201のNFC機能を設定している様子。タッチしたときに新しい画像を自動転送するのか、あるいは「PCS Manager」アプリを起動するかを選ぶことができる

 ホントにタッチだけ。LLS-201の上部にあるNFCマークに、スマホのNFCアンテナ部をかざすだけで、あとは自動的に新しい画像が転送されたりするので、物凄くラクだし実用的だと感じる。

 それからWi-Fi対応デジカメからの自動ワイヤレス転送。たとえば「NEX-6」あたりのデジカメは、ソニー独自の「Wi-Fi対応ワイヤレス通信」に対応している。これを使うと、「撮った写真をその場でスマートフォンやタブレットにダイレクト転送したり、PCにワイヤレスで保存したりできる」のだ。

 実際にNEX-6で「Wi-Fi対応ワイヤレス通信」を多用しているが、NEX-6内の画像をPCへ自動転送できて便利。いろいろ撮って自宅に戻り、「Wi-Fi対応ワイヤレス通信」を使うと、新たな写真がPC上に自動転送される。
 これと同じことが、LLS-201と「NEX-6などもWi-Fi対応ワイヤレス通信対応デジカメ」の間でできる。手順は、まずLLS-201と対象デジカメをペアリングさせ(最初の一度のみ)、次いで、カメラ側のメニュー操作で[再生]→[パソコンに保存]とするだけ。[LLS-201に保存]とは表示されないが、カメラ内の新しい画像が自動的にLLS-201へ転送される。

 まあ、NFC対応スマートフォンを使っていないとか、ソニーの「Wi-Fi対応ワイヤレス通信」対応デジカメを使っていない場合、全然役立たない機能ではある。が、使っている人にとっては明らかに手軽&便利だと思う。

PCからアクセスできないのが残念

 このほかLLS-201にはDLNA対応とか、HDMI出力が可能とか、USBストレージやメモリカードとファイルをやり取りできるなど、けっこー幅広く利用できる機能が備わっている。静止画/動画の入出力の自由度が高いので、いろいろな機器上にあった静止画/動画を、手軽にLLS-201へと集約でき、静止画/動画の閲覧~活用もわりと自由なスタイルで行える。

 使い続けていて感じるのは、LLS-201上に静止画/動画がたまるほどに「LLS-201の利便が増幅する」ということ。まあ当然と言えば当然なのだが、撮った静止画/動画~観たり使ったりする静止画/動画がLLS-201に集合するので、思い立ったときスグ、それら静止画/動画を使えるってわけですな。

 全体的にラクに扱えるし、汎用的でもあるLLS-201。なかなかイイとは思うんだが、残念な点も少々。

 ひとつは、静止画/動画を時系列でしか探していけないこと。LLS-201のUIとなる「PCS Manager」アプリには、静止画/動画の検索機能はないに等しく、カレンダー的な表示をスクロールさせて目的の静止画/動画を探していくしかない。

各プラットフォーム用「PCS Manager」アプリで静止画/動画を探しているところ。静止画/動画は撮影日や転送日時をもとに時系列で並べられ、サムネイルから探していける。が、これ以外の検索方法は今のところない

 まあ、撮影日や転送日がわかれば、だいたい探し出せるとは思うが、タグを付けられるとかフォルダ分けできるとか、もう少々高い検索性/分類性が欲しいところ。ただ、LLS-201は地味にアップデートを繰り返しているので、将来的に検索性が高くなったりするのかもしれない。

 それからもう一つの難点……というか不満点だが、PCからのアクセスに対応していないこと。LLS-201上の静止画/動画をPC上で閲覧する方法としては、LLS-201をDLNAサーバとし、PCをDLNAクライアントとして、DLNA経由で静止画/動画を閲覧できる。が、LLS-201からPCへ静止画/動画ファイルを直接コピー、みたいなことは現状デキないのであった。

 LLS-201は、方向性として「PCレスでデキちゃう」のがメリットであり手軽さでありハードルの低さでもあると思う。しかし実際に使い続けると、LLS-201上に静止画/動画がたまることたまること。わりと短期間で「LLS-201が静止画/動画の母艦」のような存在になる。

 となると、やはり、「LLS-201にアクセスできるクライアントとしてPCも仲間に入れて欲しい」と感じるようになるのだ。単純にPC版の「PCS Manager」アプリが出てくれれば、LLS-201の活用幅はもっと広がると思う。ゼヒPC版アプリを!!

 てな感じで、シンプルながらもなかなか便利なLLS-201。使うほどに徐々に実用性が増すあたりも新鮮であった。高機能なNASがあり、それを自在に活用するスキルのある人なら、LLS-201のような機能を実現する方法は多々あると思う。が、「PCレスで手軽に」となると、LLS-201の代替品はなかなかなさそう。なので、興味がある人はぜひ一度じっくりチェックしてみて欲しい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。