みんなのケータイ
au IDとauサービスの悩ましい関係
法林岳之
(2014/9/2 06:00)
今年5月にサービスを開始したau WALLET。これまで月々の利用料金に対して付与されてきたauポイントがWALLETポイントに変更され、au WALLETカードに申し込むことで、貯めたWALLETポイントを電子マネーのように使えるというもの。なかなか面白いサービスなんだけど、実はau WALLETのサービス開始に伴い、au IDの扱いが少し変わっている。
au IDはauの各サービスを利用するためのIDとして、提供されているもので、au IDで契約内容の確認や変更、付加サービスの申し込み、請求額の確認などができる。今回のau WALLETカードの申し込みには、au IDが必要になるんだけど、ボクのように複数の回線を契約していて、それぞれの回線で個別にau IDを設定しているときは、au IDの統合という作業をやらないと、各回線の利用で貯まったWALLETポイントを代表回線で使うことができない。逆に、家族の回線をすべて代表者(たとえば、お父さん)の名義で契約していて、いずれの回線も同じau IDが設定されているようなケースでは、家族一人ずつ、個別のau IDを新たに作成したうえで、au WALLETカードを申し込む必要がある。ちなみに、au IDの統合はできるけど、分離ができないので、注意が必要だ。
au IDを1つにまとめることで、複数の回線を契約しているユーザーは、それぞれの端末で同じサービスを利用できるようになる。たとえば、ボクの場合、auのメイン回線は現在、isai FL LGL24を利用しているけど、タブレットのAQUOS PAD SHT22に同じau IDを設定したので、au IDで利用するサービスはどちらの端末でも同じように使える。ビデオパスやブックパスのようなコンテンツサービスは、AQUOS PAD SHT22の大画面で見た方が楽しいだろうし、スマートフォンの電池残量を考えてもタブレットと併用するメリットはありそうだ。ちなみに、KDDIに確認したところ、複数の端末に1つのau IDを登録して、複数の端末でサービスやコンテンツを利用することに制限はなく、一部の例外を除き、台数的な制限も設けていないそうだ。一部の例外というのは、音楽系のコンテンツサービスで再生可能な端末の台数に制限を設けているものを指している。
スマートフォンとタブレットの組み合わせなど、複数の端末で同じコンテンツやサービスが利用できることはなかなか便利そうなイメージだが、その一方で、1つのau IDを複数の回線で利用する制約というか、気になる点もいくつか出てきた。
たとえば、国内外で利用できるau Wi-Fi SPOT。これもログインにはau IDの情報を利用しているけど、au Wi-Fi SPOTのWebページには「ご利用者様本人のauスマートフォン(代表回線)に限り、Wi-Fi機器をauスマートフォンと合わせ最大4台までご利用いただけます。」と書かれている。つまり、ボクの場合はisai FL LGL24とAQUOS PAD SHT22で2台分を登録しているので、残りの登録可能な端末は2台ということになる。現在は基本的に1人で契約できる回線数が5回線に制限されているため、実質的には問題なさそうだが、au Wi-Fi SPOTはWi-Fiのみで利用するパソコンやタブレットも併用できるため、そのあたりもよく考えて登録しないと、制限にひっかかることも十分に考えられる。ちなみに、自分がau Wi-Fi SPOTの利用に登録している機器の数や端末名は、スマートフォンで[au Wi-Fi接続ツール]のアプリを起動し、各種設定の画面から「登録機器一覧」で確認できる。
また、au Marketで提供される「Friend Note」ではau IDを利用し、アドレス帳データのバックアップや同期ができるため、あまり意識せずにau IDとアプリを設定してしまうと、プライバシー的に大切にしたいデータを他の機器に連携してしまうこともある。ボク自身は体験していないけど、au IDの統合やサービス及びコンテンツの共用で、他にもいろいろ面倒なことが起きていそうだ。
もっとも「au ID」はGoogleアカウントやApple IDなどと同じ「ID」なので、どんな端末やデバイスにも設定するものではないけど、au IDを統合すると、どういう制限があるのか、何と連携するのか、どこに反映されるのかといったことが今ひとつ十分に説明されておらず、なかなか積極的に活用する人が増えないんじゃないかという印象も残った。
そんなこともあって、ボクは未だにすべての回線の同じau IDを設定できておらず、月々の利用料金をたくさん支払っているわりに、au WALLETの残高も増えないのでした。もうちょっと何とかならないもんでしょうか。>KDDIさん