みんなのケータイ

 毎年6月は展示会やイベントのラッシュでライター稼業も大忙し。6月11日から13日までは中国上海で開催されたGSMA主催「Mobile Asia Expo(MAE) 2014」の取材を行った。中国といえばNokiaの最重要地域の一つでもあり、昨年の本イベントではNokiaブースに最新端末がずらりと並べられていた。今年のMAEでも会場を回ってみると見慣れたロゴとカラーのNokiaブースを発見。だが近寄ってみるとどうも様相が異なる。

 ブースの入り口では来場者の入場パスをチェックしており、一般客はブース内には入場できなくなっていたのだ。もしかして関係者のみの入場になってしまったのかと心配したが、プレスパスを見せたところすんなりと中に入ることができた。ところが展示内容を見ると端末の類は一切置かれていない。Nokiaブースでありながらも端末を展示していないのはなぜなのだろう?

 実はブース内の展示はすべてネットワーク関連のものだったのだ。中でも目を引いたのはTD-LTEとFDD-LTEのキャリアグリゲーションによる高速化のデモなど。これらはすべてNSN(ノキアソリューションズ&ネットワークス)の製品やソリューションだ。Nokiaの端末部門は2014年4月29日にMicrosoftへの移管が終了したが、それと同時にNSNはNokiaのネットワーク事業部へ移管。見慣れたNokiaのロゴは今後ネットワーク企業のロゴとして利用されていくのだろう。

MAEのNokiaブース。自由に入ることはできない
ブース内はネットワーク系の展示。キャリアアグリゲーションなど興味深いものばかりではあるが端末は無し

 ということでMAEではNokiaの端末は見られないものと思っていたが、中国移動によるLTE端末の特設コーナーにNokiaの最新LTEスマートフォン「Lumia 638 4G」が展示されていた。1000元台の低価格機ながらもTD-LTEとFDD-LTEの両方式に対応するMMMB(マルチモード・マルチバンド)製品で、W-CDMAとTD-SCDMA、GSMも利用できるグローバル対応端末だ。

 展示コーナーのスタッフもNokiaロゴのシャツを着ており、狭いながらもこのエリアはNokiaらしいディスプレイをするなど「ミニNokiaブース」と言った様相だった。スタッフも「Lumia 638 4G」の説明には力がこもっており好感も持てた。価格は1299元(約2万2000円)で6月中にも発売されるという。なお同じ中国の事業者、中国聯通向けにもLumia 636としてほぼ同スペックのLTE対応品が発売される予定だ。

中国移動特設ブースに設置されたNokiaコーナー
デュアルSIMにも対応するLumia 638 LTE

 香港在住の筆者は中国に行く機会も多く、広東省の深セン西部までバスで15分というエリアに住んでいる。そのため仕事だけではなく買物や食事で中国入りする機会も最近は多い。だが中国で本格的にLTEが始まったものの筆者の所有するLumia 1020はTD-LTEには対応していない。中国用のLTE端末として、このLumia 638 LTEを買おうかとMAEが終わってから日々悩んでいるのである。