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首都圏の鉄道がアプリで始めた「相互乗り入れ」、使い方を模索中
2016年10月17日 06:00
筆者は鉄道の乗るのが好きな、いわゆる“乗り鉄”で、東京の地下鉄の全駅を踏破したことがある。その経験のおかげで、都内の取材の時はあまり迷うことがない。
それでも、初めて行く場所を目指すときは、駅のどの出口から向かうと目的地に近いかを調べておく。そして、その出口に近い車両に乗るように心がけている。以前は駅構内の看板で調べていたが、最近は東京メトロが提供する公式アプリで、出口案内や駅構内図から時刻表まで、まとめて調べられるようになった。
東京メトロアプリは、駅看板の情報をまとめているだけでなく、アプリならではの機能がある。今走っている列車の位置を、路線図上にリアルタイムで表示する「列車走行位置」だ。
朝の通勤時間帯など、時刻表があまり当てにならないほど列車が遅れることがあるが、走行位置表示では次の列車がどのくらいで来るか、分かりやすい。鉄道好きな筆者にとっては、列車が動く様子をただ眺めているのも楽しい。
そんな東京メトロアプリが7日、アプリの世界で「相互乗り入れ」を始めた。相手は、現実世界の列車も相互乗り入れ(直通運転)している、JR東日本(JR東日本アプリ)と東急電鉄(東急線アプリ)だ。
その連携の内容は、「列車走行位置」で乗換駅に表示されている他社路線のアイコンを選ぶと、直接その路線の「列車走行位置」情報を開けるというもの。例えば、東京メトロ半蔵門線の列車走行位置を表示したときに、渋谷駅に乗り入れている東急田園都市線や、JR山手線の走行位置案内を直接開ける。
各社のアプリはデザインがバラバラで、使い慣れていないアプリからトップページから路線を選んで走行位置を開く、という路線選択のステップが意外と面倒だった。今回の連携はシンプルだが、その面倒なステップを省略できるので、意外と便利だ。
暇なときに気軽に開いて眺める路線が増えたのは、鉄道好きとしては十分うれしいのだが、路線とアプリのユーザーとしてはまだ物足りないと感じている。一番大きな不満は「列車走行位置」情報から、各駅の出口情報を開けないことだ。
おそらく、今回の連携機能を一番使いたいシーンは、直通先の駅の情報を見たいときだろうから、連携先で一度トップに戻って開き直すのでは意味がない。
鉄道会社のアプリは、デザインや提供する機能を含めて、まだまだ発展途上と言えるだろう。筆者は、更新のたびに改善されるのを楽しみにしている。アプリの世界でも「相互乗り入れ」が増えて、全国の鉄道が網羅するようになる日は来るだろうか。