ケータイ用語の基礎知識

第766回:スマートロック とは

 今回ご紹介する「スマートロック」は、最近、“スマートフォンで開錠できる家の鍵”として使われることが多いワードです。ところが、「環境に応じて、スマートフォンのロック画面認証をON/OFFする機能」もスマートロックと呼ぶことがあります。

 同じ言葉でありながら、2つ以上の意味を持つ用語というものがあります。 スマートフォン関係では「スマート○○」という用語が作られやすいためか、このようなことになるケースが多いようです。

 使われている文脈を理解すれば間違えることはあまりないと思いますが、ややこしい単語のひとつです。

スマートフォンのロック画面を環境に応じてON/OFFする

 「スマートロック」が先によく利用されていたのは、Android 5.0以上に搭載されている機能としてでしょう。

 一般的に、スマートフォンは一定時間放置しておくと画面が待受状態になったり、画面が真っ暗になったりします。あらかじめ設定しておけば、この時点でロックがかかり、スマートフォンの機能を使うには、認証画面でPINやパスワードなどを入力してロックを解除することになります。

Android 5.0以降で搭載された「スマートロック」は、Bluetooth機器などが近くにある環境では、自動的にセキュリティロックを解除できる機能だ

 しかし、Androidには、ある一定の条件が整った環境で、自動的にこのセキュリティを解除できるよう、設定できます。この機能が「スマートロック」と呼ばれるのです。

 Androidのスマートロックでは、「信頼できる端末」が近くにある、あるいはあらかじめ登録しておいた人の顔をカメラに写せば、ロックを解除するように設定できます。

 この場合の「信頼できる端末」とは、簡単にいえば、スマートフォンに登録したBluetooth機器やNFC機器のことです。たとえば、Bluetoothを搭載したスマートウォッチや、家の鍵に付けたBluetoothタグなど、肌身離さず身につけている物を登録しておきます。そしてスマートウォッチなどを身に着けたまま近くにいれば、ロック解除の手続きをせずに済む、という使い方ができます。

 たとえば、カーオーディオのBluetoothを信頼できる端末に設定しておくと、自動車に乗っているときは、パスワードなどを入力することなく、スワイプするだけでスマートフォンを使えるようになる、というわけです。

 「Google Play 開発者サービス v6.5」以降がインストールされているAndroidでは、ユーザーの現在地にあわせてスマートロックを利用できるようになっています。自宅などの場所をあらかじめ指定しておけば、スマートフォンがGPSなどで場所を検知し、ユーザーが指定した場所から数十m程度の場所にいれば、ロックを解除しておけます。

スマートフォンを家の鍵に使う

 最近、ニュースなどで見かける、もうひとつのスマートロックは「スマートフォンを家の鍵に使う、施錠方法のこと」です。自宅のドア向けの製品として、スマートフォンの接近を検知してドアロックを解除できる装置が販売されています。

 こういった装置を取り付けることで、家族のスマートフォンが近づけば家の鍵を解除する、といったことが可能になります。

 製品によっては、ロック解除用の暗証番号をあらかじめ設定し、なおかつその暗証番号が使える時間を設定できるものがあります。これにより、不動産の内見、民泊など一時的に入室する人に対して暗証番号を伝えておき、その人がその時間帯だけスマートロックを解除できるようにしておけるというわけです。

 また自宅へ来る友人のスマートフォンへ、スマートロックを解除できる鍵データを送っておき、訪問日時だけ解除できるようにする、といった使い方ができる製品もあります。鍵データは、FacebookやLINEなどのメッセージソフトで送ることができるので、直接友人のスマートフォンを設定しなくても、この一時的な鍵を渡すことができます。

 自宅の鍵用に使う「スマートロック」は、2016年現在、数万円程度の値段で購入できます。ものによっては家のドアの工事が必要になるものもありますが、テープで貼り付ける程度で簡単に取り付けることができるものもあります。