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見た目はオーディオ、中身はPC
「オンキヨーのHDオーディオコンピュータ」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。


オンキヨーのHDオーディオコンピューター

オンキヨーのHDオーディオコンピューター、HDC-1.0。Windows Vista Home Basic搭載のPCで、高品位な音楽再生に向けた機能・性能を持つ
 最近は専らPCやiPod等のポータブルプレーヤーで音楽を聴くようになっている俺。買った音楽CDはまずPCへとリッピング。これをポータブルプレーヤーに転送。そして、家ではPCで、出先ではポータブルプレーヤーで、聴く。わりと多くの人がやってるスタイルですな。

 より良い音で聴くための、わりとシッカリしたオーディオはある。具体的には、オンキヨーのアンプA-933とスピーカーD-302EとCDプレーヤーC-733。それから、ケンウッドのKA-S10+LS-S10


現在使用中の拙宅メインオーディオシステム。それぞれオンキヨー製で、アンプはA-933、スピーカーはD-302E、CDプレーヤーC-733。これに東芝のgigabeatを常時接続状態 ケンウッドの(ポータブルオーディオ向け!?)システム。アンプがKA-S10でスピーカーがLS-S10。音質も良好だが、非常に小さくシンプルなので、置き場所は自由自在で便利なのだ

 前者のシステムで音楽CDを再生すると、非常に良い音。わりとコンパクトなシステムだが、十二分に鑑賞に堪えうる音を楽しめる。後者は、卓上サイズって感じのアンプとスピーカーだが、サイズのわりに迫力がある。音質も、同じようなサイズの製品と比べると頭ヒトツ~フタツ抜けているという感じで好印象だ。

 でも結局、これらのオーディオ機器にポータブルプレーヤー繋いじゃったりする拙者。音楽CDを再生した方がクリアで自然な音で聴けるのはわかるが……だって音楽CD探してケース開いてプレーヤーに挿入してってな手順が面倒なんだもーん!! PCで音楽を再生させまくり中なのも、やはり音楽CDの面倒くささ……というかファイル化した音楽の扱いやすさからである。

 そんな拙者が激強い興味を抱いたのが、オンキヨーから発売されている“HDオーディオコンピューター”。パソコンが音楽リスニングの中心になってる人にとって、良さげな機能・性能を持つ。んだけど、パソコンとして見ると高いんですよね~。てなわけで、今回はメーカーからブツをお借りし、このHDオーディオコンピューターってどーなのよ? というトコロを見てみたい。


見た目はオーディオ、中身はPC

 HDオーディオコンピューターの詳細については、オンキヨーの製品紹介ページをご覧いただきたいが、コレ、基本的にはフツーのパソコン。だが、音質・音楽再生環境としての機能・性能をヤケに重視しているというスペックだ。

 パッケージとしては3種類あり、HDオーディオコンピューター単体のHDC-1.0、HDC-1.0にパワードスピーカーをセットにしたSPX-1、それからHDC-1.0に高品位デジタルアンプをセットにしたAPX-1となる。このうち、今回は、パソコン(HDC-1.0)+スピーカーのパッケージであるSPX-1を試用した。

 各パッケージのお値段は、オンキヨーの通販サイトでは、HDC-1.0が21万円(税込)、SPX-1が26万円(税込)、APX-1が24万8,000円(税込)。直販サイト以外のネット通販では(ショップにもよるが)、HDC-1.0が16~17万円、SPX-1が19万円前後、APX-1が18万円前後という感じ。

 さておき、まず第一印象だが、外見的にはモロにオーディオコンポですな。特にPC本体のHDC-1.0は、Core 2 Duoのステッカー剥がしちゃえば、目ざとくUSBポート見つけるよーな人以外全員、オーディオ機器だと思ってしまうであろー。


SPX-1一式。パッと見、オーディオコンポにしか見えない。が、銀色の小箱ことHDC-1.0は歴としたWindows Vista PCなのだ HDC-1.0は表面の質感・仕上げもオーディオそのもの。こんなにキレイに仕上げられたPCはちょいとナイかもしれない HDC-1.0はINTEC 205シリーズの各コンポーネントに合わせたサイズになっている。INTEC 205シリーズユーザーなら、HDC-1.0を“新たな音源”として迎え入れやすい!?

 実機を見て拍子抜けしたが、PC本体部であるHDC-1.0、非常に小さい。前面のスリットはCD/DVDの挿入口だが、ブックPCとミニPCの中間という印象のサイズだ。外形寸法は幅205×高さ92.5×奥行き240mmで、同社のINTEC 205シリーズの幅と同じ。デスクトップPCとして考えると、奥行きが24cmしかないという点も、HDC-1.0がコンパクトに感じられる要素かも。

 ちなみに、PCとしてのHDC-1.0のスペックは、CPUにインテル Core 2 Duo T5500(1.66GHz駆動)を搭載し、OSはWindows VistaTM Home Basic、メインメモリが1GBでHDD容量は120GBとなる。


HDC-1.0の基本的なスペックはこのよーな感じ エクスペリエンスインテックスの基本スコアは、グラフィック系が弱い。ま、音楽専科なPCってことですからネ 今時のデスクトップ機としては少なめのHDD容量。無圧縮サウンドをびしばしため込みつつ、外部ポータブルオーディオ転送用として圧縮音楽もビシビシ入れまくる、という場合は少々手狭か

 Vistaのエクスペリエンスインテックスの基本スコアは2.1で、これはオンボードグラフィックの非力さか出ちゃってる感じ。3Dゲームorグラフィック用途にはイマイチ向きませんな。また、初期状態でのHDD残量は約88GB。今時的デスクトップPCとしては、んーむ、ちょっとHDD容量少ないっすね。


すすす、凄く静かなんですけどコレ!!

 現在拙者がメインに使用中のPCは、NECの水冷デスクトップPCことVALUESTAR G タイプXである。これ、最近は室内の気温が30度になったりするというのに、相変わらずスゲく静かに連日稼働中だ。

 が!! なんか、このHDC-1.0、俺の最強に静かだと思われたマシンより静かなんですけど!! オンキヨーも“超静音”を謳っているが、本当ですな。HDC-1.0は電源がACアダプタだったり、独自設計の排熱ファンを使っていたりして、まず排熱ファンの騒音というのが非常に少ない。加えて、HDDのアクセス音も非常に小さいのだ。


HDC-1.0はACアダプタで動作する。電源部が無音っつーのは、静音PCとしてまず有利ですな 主にCPUを冷やすための小型ファンを1基実装している。非常に静かなファンで、起動時以外はめったに音が聞こえない!? エンコード等の重い処理を連続して行なうと回転数が上がるようだが、それでもウルサイと感じられるレベルにはなりにくいようだ ONKYOロゴの入ったCPU排熱ダクト。ファンは静音でありかつ低振動であるようで、動作中に本体等に触れても振動は感じられない

 前述のNEC水冷PCの場合、基本的には静か。だが、俺の場合はHDDを大容量のものに交換してあるので、HDDアクセス音はちょいと聞こえがち。特にアイドル時にHDD上のファイル操作をイロイロやってるっぽいVistaにおいては少々気になる音となる。

 が、HDC-1.0の場合は注意深く聞き耳を立てないとHDDアクセス音も聞こえてこない。排熱ファン音も同様に、本体に顔を近づけて聞き耳を立てないとよくわからないというレベル。排熱ファンに関しては起動時に高速で回転してプチうるさいものの、その後はたいてーの状況にて超静音と言えるレベルだ。

 あとですね、このPC、総じて振動っつーモンが感じられない。動作中、本体に触れても振動が……ない、のかな? と。HDDアクセス中にも同様。ファンの回転数が多少上がった時でも、本体がほとんど振動していない感じ。唯一、CDやDVDの読み書き時、低い唸りと少々の振動が感じられる。が、これも普通一般のデスクトップPCと比べると静かで低振動だと思う。

 ファンもHDDも静か。音楽をHDC-1.0のHDDに入れ、音源的に利用するなら、なるほどこの静粛さ加減はオーディオ向けですな。また、メーカーのサイトにも書かれているが、PC本体の振動を抑えることで、オーディオ機器としてノイズ低減・音質向上を実現しているんだそうだ。

 Windows Vista搭載デスクトップPCの場合、スリープ(低電力状態での待機モード)で使うケースが多いと思う。後述するが、付属のリモコンによりスリープへの移行・復帰、スピーカー電源のオンオフ、オンキヨー製アンプ等の電源オンオフができるので、オーディオシステムの一部としてのメリットも大きそうだ。


じっくり鑑賞できるきめ細かな音

 ヒッジョーに静かに稼働するHDC-1.0。音源となるHDC-1.0なので、コレが騒音を出さないっつーのは音楽聴取PCとして非常にグレイトですな。最近、静音とか低振動とかにこだわったPCが微妙に少ないだけに。

 でまあ本体が静かってのはわかったが、肝心の出音は? SPX-1の場合、つまりHDC-1.0と専用パワードスピーカーSPX-1の組み合わせ&拙者の主観ではあるが、ウチにあるPCやオーディオ機器の多くに勝ってる音質だと思ってしまって俺的には若干物悲しい。つーかこのSPX-1、イイ音を出す。クセがなくて平坦と言えばそうだが、細部の音までボカすことなく再現している感じ。「パソコンでもここまでイイ音が出るんだぁ」というのが実感である。


非常にスッキリした端子類。必要最小限の端子しかない感じ 外部オーディオ(外部アンプ等)との接続はRCAピン。入力も同様。もちろん金メッキ。この他、マイク端子等は一切ない サウンドカードは当然オンキヨー製。デカいコンデンサを多数実装し、VLSC回路も持つ、オンキヨーならではの低ノイズ・高品位サウンドカードだ

 HDC-1.0はVLSC回路を採用したサウンドカードを搭載し、デジタル機器特有のパルスノイズを除去してくれるらしく、アナログの出音には定評があるらしいが、わし、そーゆー細かいコトはよくわかんないス。でも、同じコンテンツを再生し比べても、SPX-1からの音の方が明らかに良いと思われるケースが多い。というか、曲の各音をジックリと聴く姿勢で比べると、「あ、HDC-1.0の方が細やかに鳴っている」と思いがちであった。


スピーカー部(SPX-1)は、2ウェイバスレフ型。右チャンネル側にアンプが内蔵されている。入力は2系統 右チャンネルスピーカーの前面には操作パネルが。電源、音量調節、入力バランス切り替えがある スピーカー部背面はこんな感じ。電源や外部からの入力は右チャンネルスピーカーへ接続する。左チャンネルには、右ちゃんねるからのケーブルがつながるだけだ

 ていうか、これはやっぱ、実際に実機の音を聴いてみて欲しい。現在、PCを中心としたリスニング環境があるけど満足できていないって人なら、静音性と音質の両方に光明を見いだせるカモ、と思った。

 ちなみに、HDC-1.0のコネクタまわりだが、本体背面にアナログ入力端子が1系統、出力が1系統、光端子(S/PDIF)は1系統あるが、出力のみで、マルチチャンネル出力は48kHz固定となっている。他、イーサネットポート、IEEE-1394ポート、4基のUSBポート、DVI-Iポートがあり、本体表面にはUSBポートを2基備えている。


割り切れば「ジョリーグッド!!」 欲張ると「……?」

 音楽聴取をメインに考えたデスクトップPC、という側面で特徴的なトコロを挙げれば、例えば専用リモコンが便利だったりする。本体のスリープ移行・復帰、スピーカー電源のオンオフができる他、CarryOn Music10やCyberLink Power DVD 7OEM版の操作・音量調節ができるワイヤレスリモコンになる。


AV家電向けっぽいリモコンが付属する。CarryOn Music10やCyberLink Power DVD 7OEM版のワイヤレスリモコンとして、あるいは、SPX-1の電源リモコンとして使える リモコンは付属のUSBアダプタにより、HDC-1.0と無線接続される。アダプタは単体でも、付属の台座と組み合わせてでも使える HDC-1.0上(のCarryOn Music10が管理する)曲データをリモコン上で見ることができる。リモコンでアーティスト、ジャンル、曲を選択して再生可能なのは便利&快適。だが、多量の曲中から一曲を探すとなると、一度に表示される情報量が少々少ないですな

 つまり、聴こう(観よう)かなと思ったら、スリープから復帰させ、リモコン上のボタンを操作。すると、コンテンツが再生される。リモコンはHDC-1.0と無線接続され、リモコン・PCで相互に情報交換しているので、例えば曲情報をリモコン上の液晶画面で見つつ操作していける。リモコンの機能・操作感としては、オールマイティというわけではないが、HDC-1.0をオーディオ然として扱うには快適であり、また他の機器ではちょっとあり得なかった利便もある。

 ちなみに、HDC-1.0で音楽を聴いたり集めたり録ったりする場合、CarryOn Music10を常用することになりますな。それが最もスムーズで、手間がかからず、リモコン関連においても問題がない方法だろう。もちろん、HDC-1.0はPCなので、他のソフトを使って工夫&自分なりの環境を構築することもできるが、そーゆーコトしたい人はHDC-1.0を選ばないんじゃなかろーか、と思う。


CarryOn Music10のライブラリ表示。PC内にためた楽曲を多角的に一覧・検索・再生できるモードですな。他、音楽CDからの楽曲取り込み、音楽配信サイトの利用等々、様々な機能がある 音楽配信サイトの利用例。HD高品質音楽配信サイトことe-onkyo musicから24bit/96kHzの高音質コンテンツを購入できる アナログ入力端子からの音声を録音することもできる。カセットテープやレコードからの録音を行なえば、Gracenote MusicIDを利用した“楽曲の自動認識・該当IDタグデータの自動付加”も可能だ

 そのよーな感じのHDC-1.0。拙者的には、正直、これ欲しいとか思いましたヨ。ただ、それは、音楽再生の要となる装置はPCが便利→音楽に特化したPCなら静音・小型がイイ→HDC-1.0がマッチ、という演繹の上。また、こっそりと実験的に音楽制作ソフトのACID Proをインストールして使ってみたが、ACIDを使うにはパフォーマンス十分だし、音の素材をキッチリ聴ける出音だし、静かでコンパクト。音楽聴取&音楽制作にもイイ!! と感じた。が、逆に言えば、音楽以外にもアレコレやりたいという場合、HDC-1.0はちょっとハードルというか価格の高い製品になりがちだ。

 HDC-1.0でも、もちろんWebやメールやOffice系アプリの利用や静止画あたりのブラウズ・レタッチまでフツーにデキる。ので、汎用PCでありかつ、音楽特化型でもあるという見方はできる。が、ゲームもやるかも、デジカメ多用派だからカードスロットも、あとそのリモコンってカーソル操作とかできないのかなぁ、と欲張るほどに、HDC-1.0はPCとして汎用性にプチ欠けるところが目立ってくる。

 一方で、超静音だわコンパクトだわ出音はイイわリモコンも使えるわで、コレって自作してもなかなか手に入らない機能・性能である。この点、音楽用途のPCをマジで探し中って人にとっては、非常に大きな魅力を持つ。あるいは、価格以上の良さを感じるかもしれない。

 ま、HDC-1.0の価値は、人によるってわけですな。でも、こういう尖った製品、今後も増えて欲しい。PC市場全体にイマヒトツ感が漂う中、「ソレはアリだよネ」と思わせてくれるHDC-1.0。これからのPC市場、こういう個性的マシンがもっと増えてくれると楽しいのだが。



URL
  オンキヨー「HDオーディオコンピューター」製品情報
  http://www2.jp.onkyo.com/what/news.nsf/view/070201hdc10

2007/06/11 11:05

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