電話番号はそのままに、携帯電話会社を変更できる番号ポータビリティ制度(MNP:Mobile Number Portability)がいよいよ10月24日からスタートする。携帯電話各社は、目前に迫るMNPに向けて端末やサービスを拡充し、新規ユーザーの獲得策や既存ユーザーのつなぎ止め策を打ち出してくるものと見られる。
■MNPとは何か?
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MNPがいよいよ始まる
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MNPは、ドコモやau、ボーダフォンといった携帯電話会社を変更しても、これまでの携帯電話番号を変更することなくそのまま使える制度だ。機種変更をする際に、これまではドコモならドコモ、auならau、ボーダフォンならボーダフォンというように、携帯電話会社を変更せず機種変更するのが一般的だった。携帯電話会社を変更する場合は、今まで使っていた携帯電話番号を捨てて、新たな携帯電話会社で新しい電話番号を利用しなければならなかったのだ。
「電話番号の持ち運び制度」とも言われるMNPは、ユーザーからすれば不都合とも思えるこうした携帯電話の制約から解放されるというメリットがある。自分が使いたい携帯電話を携帯電話会社を気にすることなく変更できるだけでなく、各社の料金プランやサービスを比較して、自分の利用スタイルにぴったりマッチした携帯電話会社も選べるというわけだ。
ただし、新しい携帯電話会社でそのまま利用できるのは、あくまで電話番号のみ。メールアドレスや携帯電話会社のポイントサービス、料金プランや長期割引などは引き継げないので要注意。ダウンロードしたアプリや着うた/着メロなども基本的に持ち運ぶことができず、おサイフケータイなどで利用していた電子マネーについても引き継げない場合があるので、事前にしっかりチェックしておこう。
■MNPの利用法は?
MNPを利用する場合は、まず、現在使っている携帯電話会社で「MNP予約申込み」を行なう必要がある。ショップや電話、Webなどから申し込みを行ない、予約番号が発行されるのを待とう。この「予約番号」と、新規契約に必要な「本人確認書類」や金融機関の届出印などを新しく契約する携帯電話会社のショップに持ち込み手続きを行なう。元の携帯電話会社側で乗換先の携帯電話会社の予約番号などが照合され、これまで利用していた携帯電話会社との解約が成立すると、新しい携帯電話会社との新規契約手続きが行なわれる。
なお、携帯電話事業に新しく参入するイー・モバイルについても、音声サービスのスタート当初からMNPに対応すると発表している。MNPの手続き方法は他の携帯電話会社と同じ形式になるものと見られる。
続いて、手続きに必要な料金を見てみよう。
ドコモ・au/ツーカー・ボーダフォンの3社ともに、新たな携帯電話会社を利用する際の手数料(転入時手数料)は無料で、MNPのために携帯電話会社を解約する際の手数料(転出時手数料)は2,100円となる。基本的な手数料は各社横並びの状態だ。
なお、転入時の手数料は無料だが、新規契約時にかかる契約事務手数料(2,835~3,150円)が各社ともに必要となる。また、年間割引などのオプションを利用していた場合は、移行する際に別途解除料などが発生する場合もあるので注意しよう。
これまで使っていた携帯電話会社へ2,100円、新しい携帯電話会社へ3,000円前後の手数料がかかるため、実質5,000円程度の費用がかかることになる。ただし、新たに転入してくるユーザーに対して、各社ともにキャンペーンを実施する。期間中にMNPの申し込みを行なうことで、それぞれのポイントサービスから2,000円分のポイントがプレゼントされる。
このほかボーダフォンでは、MNPを利用してボーダフォンから他社へ移ったユーザーが再びボーダフォンに転入した場合に備えて、ボーダフォンから他社に乗り換えてから60日以内であれば、元のメールアドレスが使える独自のサービスも展開する予定だ。
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【NTTドコモ】
- ドコモがMNPの手数料を明らかに、事前予約キャンペーンも(2006/08/29)
- ドコモ中村社長、「MNP導入で総合的な魅力度が問われる」(2006/07/19)
- ドコモ、MNP導入への危機感が漂う株主総会(2006/06/20))
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【au/ツーカー】
- MNP開始日は10月24日、auの手数料も明らかに(2006/08/09)
- au、メールアドレスのサブドメインを設定できる法人向けサービス(2006/09/06)
- ツーカーからauへの乗換優遇サービス、9日から受付再開(2005/11/08)
- ツーカーからauへの乗換サービス、申込受付を一時中断(2005/10/17)
- ツーカーからauへの同番移行サービス、受付時間は開店後1時間(2005/10/14)
- ツーカー、auへ移行に伴う優遇策を案内(2005/09/13)
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【ボーダフォン/ソフトバンク】
- ボーダフォン、MNPの手数料などを案内(2006/08/31)
- ボーダフォン、2008年3月31日にPDC端末の新規受付を終了へ(2006/08/31)
- ソフトバンク、MNPに向けてTOKAIグループと提携を検討(2006/08/03)
- ボーダフォン津田氏、MNP導入や新規参入による過当競争を警戒(2005/07/13)
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【総務省など】
- 携帯3社がMNPの手続き方法を公表、料金は未定(2006/05/17)
- 総務省、番号ポータビリティやFMCの利用意向を調査(2006/04/12)
- 総務省、番号ポータビリティに向け特設サイト(2006/04/07)
- 総務省、MNP実現に向けた省令案に対する意見を公開(2006/01/26)
- 総務省、MNP導入に向け電気通信番号規則改正(2005/11/22)
- 公取委、番号ポータビリティに対する独禁法上の見解を公開(2004/10/06)
- 総務省、番号ポータビリティ導入のガイドラインを公表(2004/05/28)
- 携帯番号ポータビリティ研究会、報告書をまとめ解散(2004/04/27)
- 総務省、「番号ポータビリティ」報告書案への意見募集(2004/04/02)
- 番号ポータビリティ、2006年半ば導入を目標に(2004/03/30)
- 総務省の研究会報告書案、「番号ポータビリティは導入」に(2004/02/26)
- 「番号ポータビリティ研究会」、導入コストやニーズを再確認(2004/01/22)
- 番号ポータビリティ、研究会は導入前提の議論へ(2003/12/16)
- 番号ポータビリティの研究会、キャリアの消極姿勢が目立つ(2003/11/25)
- 総務省、番号ポータビリティのユーザー負担額を2万円と試算(2003/06/23)
- 総務省調査、携帯電話番号ポータビリティは9割が「3,000円以下」を希望(2003/04/21)
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【調査】
- ネプロ調査、MNPでユーザーの2割が携帯会社を「変えたい」(2006/06/30)
- gooリサーチ、10万人に聞いた番号ポータビリティの利用意向(2006/06/22)
- MM総研調査、ネット利用者のほうがMNP利用意向高く(2006/06/15)
- 2006年第1四半期の国内携帯出荷、メーカー別シェアは混戦に(2006/06/06)
- ワンセグ対応端末、46%が買い替え意向(2006/05/24)
- 携帯電話の番号ポータビリティ、利用はごくわずか!? NRIが試算(2006/01/10)
- CIAJ、番号ポータビリティの利用意向などを調査(2005/07/27)
- 番号ポータビリティ、実現すれば乗り換えたいユーザーは19%(2004/04/02)
- 番号ポータビリティに関する調査、67.5%が「利用したい」(2003/11/27)
- 番号ポータビリティ、有料でも利用したいユーザーは1割弱(2003/11/11)
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【業界動向&MNP関連サービス】
- NTT東西、番号ポータビリティに向けて新たな接続料を申請(2005/10/18)
- ヤフー、携帯向けのコンテンツ配信プラットフォームに本格参入(2005/10/13)
- ライブドア、携帯向けコンテンツ配信プラットフォーム提供(2006/01/06)
- jig.jp、携帯・パソコン対応の無料Webメールサービス(2006/08/30)
- 独自ドメインの携帯電話向けメールポータビリティサービス(2005/12/16)
- 転送機能などが利用できる携帯向け無料サービス「JUGEMメール」(2006/08/02)
- メールアドレス変更通知機能を備える「携帯マスター17」(2006/06/15)
- MNP対応のコンテンツプロバイダ向け会員認証サービス(2006/08/24)
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【その他】
- 法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」 2006年のケータイ市場を占う「番号ポータビリティ」(2006/01/12)
- 第174回:番号ポータビリティ とは(2004/04/08)
- 【今週のお題】 番号ポータビリティ、導入すべき? ~結果~(2004/03/05)
- 【今週のお題】 MNP、利用する予定はある? ~結果~(2006/09/08)
2006/09/08