国破れて山河あり……「リボ割腹」も許されずに生き恥をさらしている私がきましたよ。ええ。D200、あれ発売してたんですか?なんて。もういいです。城春にして草木深しなんて季節までまったり待ちます。そんな今年最後の編集後記は悔し紛れな企画でございます。以上通常営業は終了。以下余談の枠でございます。
■俺のキーボード of the Year 2005■
今年買ったキーボードからベストキーボードを選ぶ「俺のキーボード of the Year 2005」には、米Wyse Technology Inc.の「900840-01」を選んだ。今年はFILCOのマジェスタッチに始まり、Cherryの現行製品からAppleの中古キーボード、コンパクトタイプまで、また新品(未使用品)は7本、中古は3本とラインナップは多岐に及んだ。
FILCO FKB108M/NB “Majestouch”
Cherry G80-3000 LPMEU
NMB RT6652TWJP Black
Apple Desktop Bus Keyboard
Apple Extended Keyboard II
IBM Model M 1391401
NMB RT101+
Wyse 900840-01
DECA DE-SK-86BK
Cherry G84-4100 LCAUS
まず、印象が強いのはIBMの「Model M 1391401」だろうか。圧倒的に頑丈な筐体や、鉄板と基板を一緒に湾曲させたカーブドスカルプチャ構造、クセのある骨太な打鍵感は代替のきかない唯一無二の製品であると感じられた。仕事では比較的軽いキータッチであるRealforce 101を使用していることもあり、あまりの打鍵スタイルの差から1391401を日常的に使うことは諦めたが、空母のようなデカく安定した設計は常に魅力的である。
残念ながらあまりいい印象が持てなかったのはFILCOの「FKB108M/NB」マジェスタッチだろうか。Cherry社の茶軸キースイッチ採用をウリにしていたが、スイッチのオンオフが行なわれるオペレーションポイントやクリック感こそ茶軸と同様と思われるものの、購入した製品のキータッチはスムースさに欠け、ガサガサ感ばかりの不快なもの。もちろんキートップを外すと茶軸が顔を出すが、Cherryの茶軸キーボードなどとは明らかに異なるキータッチに戸惑いを覚え、キーボー道の険しさを思い知らされた。コンパクトで丈夫なボディや、斜体のキートップフォント、日本語キーボードでカナなしタイプを用意するなど、魅力的な要素が多かっただけに残念だ。
Cherryの「G80-3000 LPMEU」は既に「本日の一品」でも紹介されているが、クリック感が無く、押下するほど反発力が強くなるリニアアクションと呼ばれるタイプのキースイッチ(黒軸)を採用した製品。黒軸のストロークは4mmでオペレーションポイントは2mm。つまり半分ほど押せば入力が可能で、底までガツガツ入力しなくてもいい気楽な打鍵スタイルにも対応する。
黒軸は単に「重い」などと言われてしまうこともあるようだが、個人的にはCherryのキースイッチの中で一番気に入っている。底まで打ちつける打鍵スタイルだとやや重めなのは確かだが、前述のように底まで打ちつけなくても軽くカタカタやっていれば入力できるのに加え、キーの反発力が強くキーの戻りが文字通りリニアなため、抜く指にキーが吸い付くような一体感を味わうことが可能だ。
ただし、G80-3000などCherryの現行製品ではほとんどがスイッチを基板に直マウントしており、筐体もフツーのため、絶対的に剛性が不足している。底までキーを打ちつけると基板が沈むのが目に見えて分かり、むしろショックを吸収させる意図的な設計なのだろうか、とも思ってしまう。
Wyseの「900840-01」は、そうしたCherry製キーボードに感じていた剛性不足を解消してくれる製品と感じられた。キースイッチは黒軸だが、厚めの鉄板にマウントされ、硬すぎるほどの剛性感が実現されている。基板のゆがみがない分、黒軸のリニアでスムースなストロークは極限まで研ぎ澄まされており、スイッチ特性こそ黒軸であるものの、感性に訴える部分では別製品と言っていいほどに孤高のキータッチを実現している、 と感じた。
しかしポイントである剛性感に関してはやや行き過ぎた感もあり、大理石の床をハイヒールで歩くような上品ながらも硬質で神経質な印象。Cherry製キーボードでは打ちつけると頼りなかったが、Wyseの900840-01では打ちつけると硬すぎて痛い。つまりいずれの製品にしても、打ちつけすぎない適度に力を抜いた打鍵スタイルが最適ということになる。ここまでくると軍服に体を合わせろ的逆転現象となっているが、Wyseのキーボードは2色成型のキートップや色分けされたキー配列、直線主体の筐体デザインなどと合わせ、総合的にも非常に満足度の高いキーボードであると感じられた。
パソコン本体に付属するキーボードはコスト削減の対象となって久しい。今年(買った中で)気に入ったり印象に残ったキーボードは、いずれもキーボードにコストをかけていた時代のものであったりする。IBMの1391401は基本的に10年以上前の設計を継承しているし、Wyseの900840-01に至ってはおそらくバラ売りはしていない、シンクライアント端末付属のキーボード。コンセプトがコスト重視のコンシューマ向けとは異なると思われる。
ミネベアが工場の整理とともに定番キーボードの生産を終了するなど(まだ在庫は豊富にあると思われる)、キーボードを取り巻く環境は決して明るいとは言えないが、東プレをはじめ品質重視の製品の登場と活躍に来年も期待したい。
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