編集部スタッフ 編
ケータイ Watchの編集部スタッフが選んだケータイ of the Yearです。使い方や好みによって、ベストケータイは人それぞれ。このコーナーでは、そうした個人的な見地から、2005年のベストケータイを選んでいます。読者のみなさまの投票で決定された「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2005」もぜひご覧ください。
【編集部スタッフの選出機種一覧】
俺のケータイ of the Year 2005 ケータイ Watch筆者編はこちら
私が今年の「ケータイ of the Year」に選んだのは、ボーダフォンの「703SHf」だ。読者投票ではランク外だが、これを選んだのにはそれ相応の理由がある。
3Gの立ち上げで足踏みをしてしまったボーダフォン。昨年の今頃、3Gの新モデルの販売が開始されたときには、正直、「さすがに、これはヤバイんでないの」と思わずにはいられなかった。結局、2005年初頭には毎月のように契約者数の純減を記録。これにはいろいろな原因があるのだろうが、端末という視点からすると、やはり日本では見慣れないユーザーインターフェイスを採用してしまったところに一番問題があったように思える。
しかし、意外なほど(と言っては失礼かもしれないが)復活は早かった。その兆しが見えたのは902Tを出した辺りだっただろうか。メニューまわりの見せ方を従来のPDC端末に近づける努力が見られた。その後、サイズやデザインの面でも十分満足して持ち歩ける703SH、GPSナビゲーションをサポートする903Tなどが登場するに至った。サービス面でも「LOVE定額」をはじめとする定額プランを打ち出し、かつてのボーダフォン(というかJ-フォン)らしさが戻ってきたようだ。
そんなボーダフォンの現行ラインナップの中で、最もバランス良くまとまっているのが703SHfだと思う。FeliCaという先進性を見せながら、欲しい機能を一通りサポートしており、サイズもコンパクト。ヘンに背伸びしている感じがしないのもいい。
もちろん、PDC端末にあって3G端末に無い機能もまだまだある。そうした穴を埋め、新たな機能を足していく必要があるだろう。その過程で、他社にはない、ボーダフォンらしいサービスの登場に期待したい。そんな思いを込めて703SHfを今年のベストケータイに選んでみた。
今年ナンバーワンのケータイ、それはもう「P902i」を置いてほかにない。その理由として、Bluetooth搭載、コンパクトボディなど、さまざまな要素を挙げることも可能だが、最も衝撃的だったのは、「ブラック×ラバーブラック」のイルミネーションの光り方、その格好良さだ。
ジャケットを着せ替えるだけで、イルミネーションの光り方まで変化させられるP902iは、ケータイのデザインに新たな軸を加えた。発表会で目にした当初は「イルミネーションがデザインに影響を与えるのか?」という疑問もあったが、発売後に実物を目にして考えが一変した。
キャンプをしていて、ぼーっとたき火を見つめたことがある。夏の夜には、川辺で蛍を愛でたこともある。P902iを持つことで、私たちはいつでも「光」の魅力を味わえるようになった。光を運ぶツールとして、これ以上身近なものは他にない。こういった光は「人工的で無機質」と言えるが、P902iのカスタムジャケット、特にラバーブラックの縁から漏れ出る間接的な灯りは味わい深い。
これまでのケータイは、着メロや待受画像に始まり、あらゆるところでカスタマイズ性が追求されてきた。カスタムジャケットは1つのブレイクスルーとなったが、LEDまで個々人の嗜好に合わせられるようになったのは、興味深い出来事だ。ここまで来ると、もはやケータイ上でカスタマイズできる領域は、ほぼ全て開拓されたという印象さえ受ける。果たしてここで進化が止まるのか、それとも新たな道が切り開かれるのか。
余談になるが、虎キチの私としては、タイガースジャケット登場への期待感もある一方、パナソニック製だからこそ、ガンバ大阪のジャケットの登場にも淡い期待を抱いている。
2005年は、人工皮革やベール・ビュー液晶といったケータイに新しい方向性を打ち出した「DOLCE」を推薦する。昨年「ツーカーS」を推して、今年「DOLCE」となると、「お前はただのジジイか?」と言われてしまいそうだが、今回はそれとは違った視点からDOLCEを語りたい。
私がDOLCEを推した最大の理由は、なんといっても人工皮革である。多くのケータイは樹脂ボディが採用されており、テレビやパソコン、AV機器等々、多くの先進的なテクノロジーが搭載された機械についても樹脂ボディが一般的だ。しかし、それらの機械とケータイは利用スタイルが大きく異なる。ケータイは、機械であると同時にファッションであり、財布や手帳、ポーチなどと同じく、もっとも個人的なツールであるということだ。
私は、DOLCEに人工皮革が採用されたことでケータイに温かみが加わったように思う。毎日何度となく手にとって、人目に触れることも多いケータイだ。手に優しく、目に優しいデザイン、つまり、有機的なデザインはごく当たり前のニーズではないかと思う。先進的な機能を持った端末が、無機的なデザインである必要はなく、人に優しい方がいい。Watch編集部には珍しいアナログ人間のせいか、DOLCEの人工皮革という答えはかなり琴線に触れた。また、脱メカメカしいデザインを、高機能なケータイを投入しているシャープが提供した点も面白い。プラスチック成型に人工皮革を圧着する技術は、クラレと共同開発したものだという。
確かにDOLCEは、赤外線通信機能やiアプリに対応しないなど、ハイエンドを求めるユーザーにはもの足りない面もあるが、インターフェイスの使い勝手はとてもよい。また、有機的なデザインは今後の1つの方向性だろう。わがままな1ユーザーとして、次はもっとコンパクトで、ワンセグなど新しい技術にも対応した高機能、かつハード・ソフトの両面で人に優しいケータイを期待したい。
iモードやカメラ、ゲームにはじまり、最近ではFeliCaなど、携帯電話に搭載される機能は増え続けている。しかし多くの場合、デジタルカメラやEdyのカード、ICレコーダーなど、専用の機器がすでに存在しているものがほとんどで、性能の面からみれば“ケータイでも○○ができる”といった簡易版の印象が否めない。しかし機能面では携帯電話の特徴を活かし、カメラならメールでのやり取り、Edyなら残高照会といった、携帯ならではの使い方が重要なポイントになっている。
私の2005年「俺のケータイ of the Year」には、auのW33SAを選んだ。最大の特徴は、携帯機器向けの地上デジタル放送「ワンセグ」を視聴できることだ。また、すでに書いたような機能と違い、今のところワンセグはこのW33SAでしか見られない。今後は専用の端末なども出てくるだろうし、カーナビなども対応する予定になっているが、今のところ代替機器や手段がなく、正式サービス前の試験放送中であるにもかかわらず対応端末をいち早く製品化した三洋とKDDIを高く評価したい。
普段あまりテレビを観ない筆者がテレビ機能がウリの端末を推薦するというのもおかしな話に思えるが、それほどまでに、ワンセグのデジタル放送と従来のアナログ放送の映りの差は歴然としている。W33SAのワンセグ受信機能についてはAV Watchの記事でも詳しくレポートされているが、室内でも安定して受信でき、音声も綺麗に聴くことができる。これなら手元に置いておきたい、と思わせるに十分な性能だ。ドイツのワールドカップが盛り上がる頃になれば、ワンセグ対応機能が注目されることは間違いないだろう。
ワンセグがキレイに映るのはワンセグ自体の仕様によるところも大きいが、W33SAでは、机の上で見るのに最適な角度で画面の開閉角度を固定できる、といった、テレビを観るための便利な機能も搭載している。また、三洋の端末らしく豊富な機能を搭載しているところも嬉しい。三洋は、ボーダフォン向けこそ久しく端末が発売されていないものの、au、NTTドコモ、ウィルコムに端末を供給する数少ないメーカー。シャープ、パナソニックのシェア拡大の話題に隠れがちだが、豊富な機能を搭載しながら素早く端末を開発して、auを軸に着実にシェアをのばしている。
昔観たSF映画の小道具、と言えば言い過ぎかもしれないが、W33SAの画面にクッキリとしたテレビが映っているのを見て「このクオリティでテレビが受信できる時代になったんだ」と感慨にふけってしまった。
昨年のこのコーナーでは、「ウィルコムにはAH-K3001Vを超えるサービスを」とは書いたものの、当時は正直大きな期待をしていなかった。ところが2005年のウィルコムは、音声定額や数年ぶりの新機種同時発売、W-SIMなど次々に話題を提供。中でもQWERTYキーボードや無線LAN機能を搭載したW-ZERO3は、今年大きな注目を集めたニュースの1つだろう。
ただし、多機能なW-ZERO3だが、音声端末という面で考えると通話やメール機能が今ひとつこなれておらず、1台だけ所持するメイン端末としては課題が多い。純粋に1台だけ端末を選ぶという視点から、今回はAH-K3001Vの後継となるWX310Kを挙げたい。
基本的な機能はAH-K3001Vをベースに、CPU処理の高速化やカメラ画素数の向上を図っただけでなく、ムービー機能やオフィス文書閲覧機能、BluetoothなどW-ZERO3にも負けず劣らずの機能が盛り込まれた。先日のファームウェアによって簡易ムービープレーヤーとしても利用できるなど、AH-K3001Vから考えれば信じられないほどの機能向上ぶりだ。Javaアプリ対応のWX310SAも同時に発売されているが、ウィルコム端末の一番の特徴といえるフルブラウザ機能を使いこなすという意味では、Flash対応により閲覧サイトが広がったWX310Kに軍配が上がるだろう。
ただし、新機能が追加されてはいるものの、中のソフトウェアはAH-K3001Vとほとんど変わらない。むしろ電話帳やメール作成などは使いにくくなった印象すら受ける。端末の使いやすさという点ではあまりブラッシュアップされなかった点は少々残念だ。
先日のファームウェアも1日以上接続できない事態が生じ、W-ZERO3もオンラインショップのサーバーがダウン、端末を求めて朝から行列ができる事態となった。勢いのあるウィルコムだが、その勢いに体制がついていっていないような一抹の不安も感じる。新規ユーザーの拡大ももちろんだが、ユーザーが安心してウィルコムを使い続けられるようなサービス体制強化にも期待したいと思う。
実際購入してみて良かったのは、やはりSD-Audio対応のミュージックプレーヤー機能。専用の音楽転送ソフト「SD-Jukebox Ver 5.0 LE for W32H」や、マイク付きのリモコン兼イヤホンアダプタ、パソコンとの接続用USBケーブルなど必要なものはひと通り同梱されている。これは当たり前のようにも思うけれど、ミュージックプレーヤー機能を謳っていても、これまでは携帯電話本体に必要なものが全部同梱されているモデルというのはなかったのである。実用的にたいへん嬉しい配慮であり今後ミュージックプレーヤー機能を謳う端末はぜひ見習ってほしい、というより揃ってなきゃ買わんゾ、と思いました。
同梱のソフト「SD-Jukebox」の使い勝手は、正直iTunesと比べてしまうとイマイチではあるけれど、携帯電話の他にiPod nanoをバッグに入れずに済む点は大きい。おかげでiPodは最初の2週間しか使わなかったわたしも、通勤電車の中で毎日音楽を聴くようになりました。
次に良かったのは、今さらですが、WIN端末であること。これまでA5406CAを使っていて最も不満だったのが、Webやメールの接続が遅いこと。どーも初期ネゴシエーションに異常に時間かかってる印象だったのですが、WINではこの点が改善され、ストレスなくメールやWebブラウジングが利用できます。
一見おとなしめ、無難で上品なボディデザインですが、このほかPCドキュメントビューアーやPCサイトビューアー機能も搭載し、EZナビウォークにも対応。auではFelica対応第一号の端末でもあり、機能的にはハイエンド寄りに位置する端末です。
さらにスペック的に贅沢を言うなら、EZナビウォークに対応しているなら電子コンパスをぜひ搭載してほしかったところです。また、個人的には別にデジカメを持っているので無問題ですが、カメラが128万画素でオートフォーカスじゃない点も、後継端末ではもう少しがんばってほしいかも。
2005/12/27
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