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俺のケータイ of the Year 2005

筆 者 編


 ケータイ Watchの筆者が選んだケータイ of the Yearです。使い方や好みによって、ベストケータイは人それぞれ。このコーナーでは、そうした個人的な見地から、2005年のベストケータイを選んでいます。読者のみなさまの投票で決定された「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2005」もぜひご覧ください。

【筆者の選出機種一覧】
法林岳之
au
A5512CA
スタパ齋藤
au
G'zOne TYPE-R
白根雅彦
ウィルコム
W-ZERO3
伊藤大地
NTTドコモ
D902i

俺のケータイ of the Year 2005 編集部スタッフ編はこちら


 法林岳之: au 「A5512CA」

A5512CA

 今年も各事業者及びメーカーからさまざまなケータイが登場し、我々の目を楽しませてくれた。端末において、今年ならではの共通したトピックはあまり見当たらないが、NTTドコモ、au、ボーダフォン3社のFeliCa搭載端末が出揃い、おサイフケータイが標準機能になるベースができたこと、音楽再生機能を持つ端末が増えたことなどは、今後のケータイの進化を占う上で、ひとつのキーになりそうだ。

 今年一年を振り返り、筆者は当初、「SH902i」「P902i」「W31CA」「G'zOne TYPE-R」「W32H」「V604SH」などを「俺のケータイ of the Year」の候補として考えた。G'zOne TYPE-R以外の端末は、いずれもここ数年の高機能化ケータイの流れをくむものであり、登場した時期によって多少の差異があるものの、現在の日本のケータイの最先端モデルであると言って差し支えないだろう。これに対し、4年ぶりの復活を遂げたタフネスケータイのG'zOne TYPE-Rは、スペック的にこれらの端末に一歩譲るものの、耐水・耐衝撃性という絶対的な個性を持つ。着実に存在するニーズに対して、事業者とメーカーがしっかりと応えた端末として、高く評価できる。また、候補には挙げなかったが、日本市場での新しい路線として、「W-ZERO3」「FOMA M1000」などのスマートフォンも今後、注目されるジャンルだろう。

 ただ、W-ZERO3については、正直に言って、ウィルコムの販売体制にかなり疑問が残った。音声定額で着実に契約者を伸ばしたことはたいへん喜ばしいが、こういう時期であるからこそ、市場のニーズや規模に合った体制を整える必要があるはずだ。詳細は割愛するが、営業体制、供給体制、サービス体制、サポート体制なども含め、今後のウィルコムの姿勢をユーザーは厳しく見守る必要があるだろう。

 さて、最終的な「俺のケータイ of the Year」だが、今年はau向けカシオ製端末「A5512CA」を選ぶことにした。意外な選択に思えるかもしれないが、筆者は最近のケータイの隠れたテーマとして、「使いやすさの追求」「持つ楽しさ」があると考えていたからだ。

 確かに、ケータイはさまざまな機能が搭載されることで、いろいろなことに活用できるようになった。通話やメールだけでなく、カメラ、テレビ、ラジオ、音楽や映像の再生、パソコン向けサイトやビジネス文書の閲覧、スケジュール管理など、ケータイの使い道は拡がる一方だ。しかし、機能を搭載すれば、誰もが同じように使えるというわけではない。やはり、搭載した機能を使ってもらうための工夫が必要なはずだ。

 カシオは従来から紹介しているように、カメラなどの機能を搭載するだけでなく、細かい使い勝手をよく考えた端末を開発することでも知られている。そのため、購入したユーザーの満足度も非常に高く、今年は顧客満足度の調査でも第1位を獲得している。

 A5512CAはそうしたカシオ製端末ならではの使いやすさに、持つ楽しさと親しみを組み合わせた完成度の高い端末だ。ユーザーの好みに合わせて使える3種類のメニュー画面、開く度に表情が変わる待受画面の「顔」、コンパクトで持ちやすく開きやすい折りたたみボディなど、随所に作った人たちの『愛』が感じられる。スペック的にはA5512CAを上回る機種はいくらでもあるが、使い込むほどに納得できる仕上りの良さは他の端末を一歩リードしている。ケータイの高機能化が進んできた今だからこそ、使いやすさと親しみやすさ、持つ楽しさにこだわったA5512CAを「俺のケータイ of the Year」として、おすすめしたい。


 スタパ齋藤: au 「G'zOne TYPE-R」

G'zOne TYPE-R

 今年2005年に拙者が購入したケータイは4機種。ボーダフォンの702NK、auのW31SA、NTTドコモのM1000、auのG'zOne TYPE-Rとなる。

 新しもの好きのわしが買った4機種中、いわゆるスマートフォンが2機種を占めるあたり、2005年はスマートフォン元年という感じになるんでしょーか? 年末には思わずウィルコムのW-ZERO3の予約せんとマウスカーソルを走らせたが、玉砕。今年のシメは最新スマートフォンだゼ!! という情熱はアッサリと冷めてしまった……てな話はさておき、W-ZERO3買ってたら、5台中3台がスマートフォンという結果になっていた。やっぱり今年はスマートフォンに始まってスマートフォンに終わった、と言えるのかも知れない。

 のだが、俺のケータイ of the Yearは、auのG'zOne TYPE-Rだったりする。理由は単純明快で、携帯電話端末として最も実用的であったからだ。いや、G'zOne TYPE-Rにも難点(というか不足点)はありますよええ。例えば外部メモリが使えないので、せっかくの“超小型水中デジカメ”としての機能を使い倒しづらいとか。あるいは、ワイルド&アウトドア系の端末として考えると、本体右側面にあるボタン類をウッカリと押下してしまうケースが多いとか。

 G'zOne TYPE-Rは、唯一と言っても差し支えない“真っ向から防水性能を実装した端末”だ。その利点は、言うまでもなく水辺での思いっきり高い実用性である。頑丈な本体、という点でも、他端末とは比べものにならない魅力───要はかなりラフに扱えるという実用性がある。

 んですけど、そういう方向性の端末として“割り切れていない”ようにも思うのだ。アウトドア指向の端末なら直射日光下でも液晶ギンギンに見えるようにしてくれよ、みたいな。グローブはめたままボタン押せるようにしてくれよ、みたいな。つーかむしろ折りたためなくてもいーし、みたいな。防水性能や耐久性の高さは有り難いのだが、ソコまでで止まっちゃってる中途半端な“アウトドア指向端末”と思えたりするわけだ。

 けど、メーカーの人に訊いたら、やっぱりそーゆー方向性だけで製品を訴求するのには、限度っつーか限界があるんだそうだ。モノホンのアウトドア端末を作れば、確かに大喜びするユーザーはあるが、でも、一般市場ではあまり売れない端末になっちゃう、というよーなコトらしい。ん~、そりゃそうですな。わかります。  でもまあ、そういう話は横に置いといても、G'zOne TYPE-Rはホントによく役立ってくれた端末だ。釣りにボートに不意の落下。拙者のケータイに対する「あっヤベぇッ!!」という不安を激減させてくれた。

 G'zOne TYPE-Rに、感謝。

 蛇足だが、2台のスマートフォンと、ちょいといじくった話題のスマートフォンなんですけど、それらに対する雑感を、誤解を恐れずにズギャッと書いてしまうと、どの機種も何だか“割り切れていない”ように感じる。大雑把な言い方ではあるが、例えば「そこまでやるなら、サブノートPCでいいんじゃない?」とか「それだけやるんなら一般のケータイで良くない?」とか「その大きさ・形状って、そもそもケータイとして……」と思っちゃう。

 とか言いつつもFOMA M1000使ってたりはするんですけど、使っている自分を冷静に見るとですね、なんつーか、こー、えーと、若干無理して使ってるようなところもあるわけですよ。この端末だけでメールもウェブも通話もPCとのデータ共有もできて、無線LAN環境ならばさらに実用性が高まるし!! という、若干不純な動機にての使用、かも、と。

 なんで不純かと言えば、目的より、プロセスとハードウェアを重視してる気がするんですな。M1000イジって盛り上がってる俺を見た冷静・淡々とした拙者は「でもさ、小型・軽量ノートPCと、今時のフツーのケータイ使ったほーが、より効率的に目的を達成できません?」と言い放つ。ま、俺の場合は、って話ですが。

 具体的な代替案すら出せないで要望ばっかり言うカタチにはなるのだが、もっとスンナリと受け入れられて、スンナリと目的を達成できる、マニアックな視点以外からも「あ~それなら欲しい」と思わせるよーなスマートフォンがジャカスカ出てきてくれたらなぁ、と思う。思うと同時に、スマートフォンまでとは行かないが、既にあるフツーのケータイって、スマートフォンとして立派に成立してたりするんだよなぁ、とも思ったりして。


 白根雅彦: ウィルコム 「W-ZERO3」

W-ZERO3

 来年のケータイ業界にはイベントが多そうだ。新規事業者の参入、番号ポータビリティ導入、「ワンセグ」開始などなど。そんな多くのイベントが来年に控えているせいか、今年は「準備する年」だったような印象がある。ユーザーに大きく影響する新サービスの追加はなかったし、端末スペックの目立った向上も見られなかった。携帯電話3キャリアからおサイフケータイが出揃ったが、まだ爆発的普及という段階でもない。あとは音楽再生機能の一般化だとか使い勝手の向上、デザインケータイの増加など、嬉しいが地味な進化が見られたくらいだろうか。

 そんな中、元気だったのがウィルコムだ。昨年のAH-K3001Vから勢いを取り戻したウィルコムは、今冬一気に新機種を発売し、さらにウィルコム定額プランなどサービス面も拡充させてシェアを高めつつある。さすがにケータイ3キャリアに比べると、端末ラインナップもサービスの充実度合いも追いついていないが、来年さらなる飛躍が期待できるキャリアだ。

 そこで筆者は、そんなウィルコムが投入したPDA型端末「W-ZERO3」を今年のケータイに選びたい。

 W-ZERO3は特殊なケータイだ。いや、正確に言えばケータイとはいえない。通信モジュールは取り外し可能だし、通話はできるもののデザインや機能、使い勝手はPDAそのものだ。OSに「Windows Mobile」を採用し、パソコン向けのWebサイトやメールアカウントへのアクセス、オフィスアプリケーションの利用など、パソコンのような機能も持っている。追加アプリケーションも有償・無償含めたくさんネットで公開されている。無線LANも内蔵し、公衆無線LANや自宅のネットワークに接続できるなど、モバイルデバイスとしては多機能だ。

 ところが「ケータイ」として見るとW-ZERO3は未完成品だ。Windows Mobileは使い方がわかりにくく動作も遅い。専門知識があればカタログに書かれている以上のことができるが、パソコンに詳しくない人は本来のスペックの半分も使いこなせないだろう。そもそもポケットに入れにくいこの大きさとデザインは「気軽に取り出せるように持ち歩く」というケータイに必要な条件を満たせない。W-ZERO3をメインのケータイとして使うのは、無謀の一言に尽きる。

 しかし2台目のケータイとして考えると、W-ZERO3はかなり有効なデバイスだ。ウィルコム定額プランが使えて、定額料金でフルブラウザも利用可能。メインのケータイとして普通のケータイを持っていても、機能的にほどんど重複しないので互いに機能を補完しあえる。万人が必要とする機能ではないが、ビジネスなどでケータイ以外のモバイル機器を持ち歩く必要がある人にとっては、有効な選択肢の一つだ。

 また、こうした「万人向けではないユニークな端末」の商品化を可能にした、取り外し可能な通信モジュール「W-SIM」も評価ポイントの一つだ。W-SIM対応機種は通信機能部分の開発が不要で、開発コストを下げられる。おかげでW-ZERO3のような、万人に売る必要はない割り切った端末を商品化しやすいというわけだ。W-SIM対応端末はまだW-ZERO3と「TT」「DD」しかないが、今後W-SIMを利用したさらにユニークな端末の登場を期待したい。


 伊藤大地: NTTドコモ 「D902i」

D902i

 今年の「ケータイ of the Year」は、悩みに悩んだ。というのは、今年も今年で10台近くのケータイを買ってきたわけだが、コレと言って思いつくモノがない。逆に言えば、総じてどの端末もレベルは高かったように思う。主に使ったのは、薄型のスライド式ボディが印象的な「D902i」、オールインワンパッケージで音楽が聴ける「W31S」、大型液晶、フルブラウザ、USBクレードルと機能面で不足のない「W31CA」の3機種だ。この中から悩みに悩んだが、ある程度評価の確立したW31S、W31CAはひとまず置いておいて、「D902i」を今年の「ケータイ of the Year」としたい。

 まずは、そのポテンシャルの高さだ。2.8型のワイド液晶とスライド式ボディの組み合わせはもちろんだが、その画面にカレンダーや新着メール、スケジュールを表示させることが可能で、さらに画面上のどこに、どのくらいの広さを使って表示するかこまかく指定できるカスタマイズ性が非常に印象的だった。PIM関連は常にいい物がないか探し求めているのだが、これまではなかなかしっくりくるものがなかった。紙の手帳はバッテリ切れがなく、書き込みやすいのが利点だがページを繰らなければならないし、酒に酔ってなくしでもしたら、バックアップはない。最近購入したW-ZERO3も悪くはないが、仕事上、ケータイを持ち歩くのをやめるわけにもいかず、ケータイに加え、W-ZERO3を持ち歩くとなると、荷物が増えてしまう。そんなわけで必然的に携帯電話に頼ることになる。そうした意味で、最もニーズを満たしてくれたのはD902iだった。W31CAも同等以上に満足していたのだが、Edyやら量販店のポイントカードやらをどうしてもおサイフケータイで処理したかったのと、スライド式がデータビューワーとして優れていると感じたため、D902iが最後に残ったのだ。

 このほか、ATOKがSymbian OSに対応し、久しぶりに搭載されたこと、圏外の場所で作成したメールを、電波が入る場所になると自動的に送信してくれる機能など、細かいところで重宝する機能が多かった。

 しかし、せっかく魅力的な機種なのにもかかわらず、発売からわずか数日後にモバイルSuicaに対応しないことが公表されたり(これまでの経緯からすると、902iシリーズは全対応であるべきだと思う)、液晶にホコリが入る問題が起きたりと、「ツメの甘さ」が露呈してしまったのが残念でならない。今回は、こうした問題があったわけだが、そうした問題とは別に、D902iのコンセプトのすばらしさや便利な機能を搭載したことに関して、そしてこれからもさらに魅力的なスライド型端末がDシリーズから生まれることを期待して、D902iを選出させていただいた。


2005/12/27


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